俺ジャーナル

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翻訳プロダクション、147トランスレーションのブログです。


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 10日に発売となった『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』の打ち上げで、編集者のSさんと高田馬場にある僕の行きつけ『角家(すみか)』へ。このお店、通いだした2005年当時はオープンからまだ半年ほどの創作和食のお店だったのだけれど、その後ちょこちょことコンセプトを変え、現在はうなぎとおでんのお店になっている。とはいえ開店当初よりお刺身が超おいしく、北海道人が舌を巻くレベルである。もちろん他のお料理もすべて素晴らしいうえに、お値段もけっこうリーズナブル。安いチェーン店に比べると当然安くはないけど、良心的な価格で楽しめる。

 打ち上げの目標は、僕が愛してやまない関西風の蒲焼である。「熊が絶滅した本の打ち上げで、絶滅危惧種を食べるというのもアレですねえ……」などと笑えない話をしながらお店へ。今日は、関東風と関西風の食べ比べができるセットを注文。うーん、やはり酒のあてにするのであれば関西風に迷わず軍配を上げてしまう。関東風はご飯と合わせたい。そして、ここのおでん最高。長靴いっぱい食べたい。

 馬場でお食事される際にはぜひどうぞ。超オススメしちゃう。

 さて、おそらく僕といちばんお仕事されている編集者が、このSさんである。2012年の忘年会、酔った勢いで「持ち込みたい本があるんです!」と声をかけたのが始まりで、それが『失われたものたちの本』『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』だった。それ以降、東京創元社から出している僕の訳書は、すべて彼女と一緒に仕事をしている。願わくば今後も、物書き人生が続く限りご一緒したい編集者だ。ちなみに、いつもタイトルはSさん任せにしている。この方のタイトル・センスは素晴らしい。当然かなりのオモシロさんで、会うのはいつも楽しみである。超リスペクトしている。

 この日は、今後のお仕事の話にも花が咲いた。現在は『ザ・ランド・オブ・ストーリーズ』に加えて他の仕事を2本請け負っているため来年の秋あたりまでは身動きが取れないのだけれど、その間に、またおかしな著者を探していく予定。そして、やはり自分のものも書かなくてはね、という話になった。ここ何年か「来年こそは時間を取って書くぞ」と思い続けてきたけど、そんなこと言ってたら書く時間なんてできないなと反省。まずは短編を書き溜めよう。今年はまず、十本くらいプロットを作るつもり。プロットさえできてしまえば、後はそんなにかからないだろう。

 で、『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』だけど、これはもう「どうぞ読んでください」としか言えない。そのくらい面白い。本筋から外れてしまう気がしてあとがきには書かなかったのだけれど、熊を絶滅させてしまったイギリス人のことを「ひどいなー、イギリス人!」と口では言いつつ、一方では「意外とそうでもないんじゃね?」という気持ちもある。というのは、当時の人々はきっと「ひどいことをしている」という自覚がなかったに違いないからだ。

 子供のころにはアリを踏み潰したりカエルやトカゲを殺したり、といったような残酷でひどいことをなんとなく平気でやってしまったりするものだけれど、これは本当は残酷なのではなく、未成熟なだけだと思うんだよな。で、自国の熊を絶滅に追いやった当時のイギリス人たちも同じことで、きっと未成熟だったのだ。たぶん、動物は絶滅しえるのだということも知らなかったんだろうし、絶滅したら困るだなんて、想像すらしなかったんだろう。生態学が発展したのなんて、19世紀とかの話だったわけだし。もしかしたら遠い未来、「昔の人たちって動物の肉を食べてたらしいよ。超ひでえよな」などと言われる時代が来るかもしれないし、たぶん来るのだろうと思っているけど、そういうのと似たような話。

 人間てやっぱりまだまだ未成熟なんだろうし、成熟へと向かう過程では、新旧ふたつの概念の間で大きな摩擦が起こったりするものなのだろう。これは、ここしばらく盛んになされている性差別や民族差別の議論でも強く感じること。少しずつ上ってきた成熟への階段を、逆にわざわざ降りていくようなことは、できる限り避けたいものだと切に願う。

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