
「熟年婚活」においては、伴侶亡き後の男性が自分の生活の面倒を見てくれたり 介護をしてくれる女性を求めるのに対して、 伴侶亡き後の女性は経済的な基盤を求め婚活を進めているのだなと思いました。 老婚斡旋団体の代表の方から聞いた話によると、老婚女性は必ずお相手の男性の年金額を聞くそうです。
「・・・年金、おいくらですか?」
からはじまる老活。男女お互いに需要と供給の関係を相互扶助していく関係と言えましょうか。
それに対して上野千鶴子先生の「おひとりさまの老後」は「 一人で十分に生きぬく力を持ち、実際に生き抜いてきた女性の老後自助」について考察されていました。 上野千鶴子先生は 社会学者であり日本を代表するフェミニスト、そして東大の名誉教授であられます。(現73歳)
当時50年前には誰もが結婚することが当たり前だった全員結婚社会の常識を打ち破り、独身キャリアウーマン「おひとりさま」という概念を牽引したのち、「おひとりさま」の老後はどうなっていくのか ということを描いた、 上野千鶴子先生の力強いメッセージ本。
「キャリアウーマン女性」の生涯は自助努力である。仕事のキャリアを持ち、知性を持ち、趣味を持ち、資産を持ち、 不動産を持ち、栄誉を持ち、友情を持ち。そんな「おひとりさま」の 老後一人暮らしは、ちっとも寂しくも怖くもないのであるということ。
おひとりさま、勝利宣言です。
本書より引用
幸せな結婚とは、少し前までは、父親の手から夫の手へと、愛娘をひきわたすものだった。結婚式は今でもそういう儀式を踏襲している。「 一生、お嬢さんをお守りします」 というのは、女にとって希望者の引き継ぎを意味する。そういえば、皇太子も雅子さんにそう言ったっけ。 誰から守るんだか。「 一生、ほかの男から守る」と言うなら余計なお世話。
公的年金は、基礎年金と報酬比例部分とで2階建てになっている。差がつくのは、この報酬比例部分。国民年金を収め続けてきた自営業者にはこの部分は関係ない。政府は、現役時代の収入の1/2までは確保しましょうというが、もし給与が月額70万円とか100万円近くあれば、 年金額は月に35~50万円。 持ち家のある老夫婦がこんなにもらう必要があるだろうか。
自分亡き後の莫大な遺産をどのように整理するのか。ちなみに上野千鶴子先生は、アジアからの貧しい留学生に奨学金として送りたい とおっしゃっています。自分が介護を必要とした際の「介護を受ける側の心得」までシュミレートされ、現在は心から打ち解けることのできる友人たちと時折集まっては お食事を楽しむ日々。
先生も そのことに関しては 文庫本のあとがきに書かれていました。
どんなメッセージにも、それが宛てられた正当な宛先である読者と、そうではないのに漏れ聞いてしまった非正統的な読者がいる。わたしの本は、団塊の世代以上の高齢者のために書いた、いわば自助努力のための本だが、それを子供世代の読者が読んで、「 私の問いの答えにならない」と言う。当たり前だと思う。
~ うっかりと先生の 輝かしい ライフスタイルを垣間見て しまった、非正統的読者のつぶやき~ by着物ママ
上野千鶴子先生をはじめ、 団塊の世代以上の高齢者の方々がいくらお洒落を楽しみ 生活を謳歌している様子を拝見して「眩しいな、素敵だな」 と思っても、それがイコール自分の老後になるとはとても思えないのですよ。少子化が進むなかで、我々の年金世代を一体どれだけの 人数の現役世代が 支えてくれるというのかしら。
老後の安定した年金をなしにして、私は一生涯を安心して暮らせるのかしら。20代の若者の国民年金納付率は5割以下なんて言われている昨今、国民年金を収めて貰える年金額よりも生活保護費の方が何倍も高いのだから、若者が国民年金を未納してしまうのもわかるような気もするし。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yokohanawa/20190823-00139327
現代人の「 女性おひとりさま」の 平均年収を300万円台とした時には、予想される年金受給額は毎月11万円ほど。上野千鶴子先生のような資産も不動産もない状態で 家賃・介護費込みの毎月11万円では、本当に暮らしていけるのかしら。
「 働く単身女性の3人に1人が年収114万円未満」
「 非正規雇用の若年女性の8割が困窮」
もしかしたら今のリアルって、こっちなんじゃないかしら? こちらの本に関しても、また機会があれば書いてみたいと思っています。。



