この問題について、 現役の呉服販売員が 語る意義は大きいと思うので 記事にしてみたいと思います。

上司からは常々、 呉服業界の不利になるようなことは記事に書かないようにと言われてきましたが、 この問題を考えていくことは 呉服業界のマイナスになるのではなく大きくプラスになるのではないかと思っています。

(私が思うには、電話の発信は個人携帯ではなく、会社から支給されている携帯電話からだと思います。また、お電話がしつこいようでしたら、はっきりとお断りした上で、それでもかけてくるようでしたら、「会社の相談室に電話します」と仰ってみて下さい。ピタリとやむと思います。)



呉服業界の売上の構成は、 振袖 店頭小物 着物のお手入れ 店頭売上 催事売上 などに分かれますが、 その中でも 大きく 売上を占めているのが 催事での売り上げです。 呉服催事とは主に 店頭では見ることのできない 作家ものと呼ばれる高額な商品を中心に扱います。 その際、催事場へのお誘いのメインは DMとお電話です。

呉服の販売員さん達のお仕事は、 この催事でのお客様へのお電話をかけることがメインのひとつとなります。 ここで大きな売上を作るのです。 日々店頭において 新規のお客様にお名前や住所電話番号を書いていただき、 お客様に書いていただいた名簿をもとに 催事のご案内をさせていただきます。

出勤においては電話日が設けられ、 基本的に電話の日は 店頭に立つことなく 一日中お知らせのお電話をさせていただきます。
ひとつの催事において何日間の電話日を設定されるのかは、 各個人の与えられた売上目標によって全く異なってきます。 もちろんベテランになればなるほど電話日の設定は多くなります。

基本的に電話日には電話件数を求められますので、同じ お客様につながるまで 恐ろしいほどの着信履歴が残ることが多々あります。

私は常々この電話でのお誘い方法のスタイルが 今の世の中の流れに合っていないのではないかと感じています。

同じお客様に何度も着信履歴を残してしまうことは お客様からの イメージダウンにも、 また社員の 心身へのダメージも 大きいのではないかと考えます。 電話による催事へのお誘いというのは、 そこで働く販売員さん達にも 精神的な負担が大きいのです。だからこそ 社員の離反が起きてしまい、 新人が育たない大きな原因になっていると考えています。(営業マンはどこもそうですよね。アセアセ

私は何度もこのことを上司に お話しさせて頂いておりますが、「会社の方針だから」 と叱責されて終わってしまいます。 確かにこの問題を投げかけることは、 会社やお店の士気を下げてしまうことになりますので、 今までずっと 呉服業界として 暗黙の了解の中で語られることはありませんでした。

しかし 私は先日も述べたように、LINE等の SNS をうまく活用した お知らせの方法が、今後はとても有効だと思っています。 私は基本的に一度お電話させていただいて お留守だった場合は、 LINE でのお知らせに切り替えさせて頂いております。 催事にご興味のあるお客様からは 返信が頂けますし、 返信がない場合は ご興味がなかったり、ご都合が悪いのだと切り替えています。

今までLINE は私が個人的に親しいお客様と交換させていただいておりましたが、 これからは 新規のお客様にも 会社として LINE での お知らせを強化してもいいように思います。 LINE のいいところはお客様のご都合に合わせて内容をご覧になっていただけるというところです。 電話ではお客様が出ることのできないお時間帯にかけてしまうことがあります。 それらのご迷惑を LINE で防ぐことができます。

また、 今までは展示会で しか見れなかった 作家ものと呼ばれる高額のお着物の新作のご紹介や、 産地の声、 新作の浴衣の発信など、様々なことの発信を お客様が足を運ばなくても アクセスできるような環境づくりというのも SNS上に あってもいいのではないかと思っています。

展示会に足を運ばなければ 上質なきものを見ることができないと言う 閉ざされた空間の中で 疲弊してしまうのではなく、 もっともっとオープンな スタイルを取っていくことも 今後の呉服業界に求められていくのではないかと思っています。

私の声が会社の上層部に届くことは、 悲しいかな現実的にはありえないので、 ここでブログとして発信させていただくこととしました。 読んでくれるかな? 読まないだろうな。アセアセ

今までの呉服屋さんでは、販売員個人の販売力や人間力により、 売上の数字が大きく支えられてきましたが、 もちろんそれらも 今後もとても大事なものではありますが、 そこだけに頼り切らない 販促展開というものも 多いに開拓されていくべきで あると思います。

また、 呉服屋のしつこいおすすめが嫌だったとか、 しつこい電話が嫌だったとか そういったダークな問題にも 目を逸らすことなく真摯に向き合い、 ではどうしたらいいのかという前向きな発想が 呉服業界には求められて行くと思います。

( 電話営業を一切やめるとか、新規のお客様にお名前を書いて頂く依頼をやめるとか、 店頭では商品をご紹介しない方がいいとか、日々の 営業活動の抑止をしたいわけではありません。 私はお給料をいただいている以上 これからも頑張って それらに取り組んでいきます。ニコニコ)

以上です。