私が生まれたとき

その時から

暖かい母の手が

抱きしめ頬ずりする

暖かい母の手があった

 

母の手は優しく髪を撫でつけ

いとおしく体を

そっと愛撫した

そして子守唄を

忍びやかに歌っては

おとぎの、夢の世界へと

私を静かに誘なった

 

大きくなり

私は見知らぬ世界を

憧れては

時には邪険に

母の手を振り払った

その時

その手は悲鳴を上げ

そうしてやがて

あなたは

寂しく微笑んだ

 

いつしか私は

自分と同じ年頃の

温かくたおやかな

手を得た

その手は

私を愛し、私の手と交わり

そして固く結ばれた

 

たおやかな手は

時には私の肩を抱き

時には顔の涙を

あふれ出る

自分の顔の涙を拭いた

 

私に、辛い日があるとき

たおやかな手は

大切な宝もののように

私の手を取り

その温かい頬に

そっと押し付けた

 

今、私は

全てを振り返るとき

私を愛すたおやかな手に

熱い思いが溢れ出る

 

おお、女よ

その温かくたおやかな手よ

私たち男は

その手と固く結ばれ

青い宇宙の中で

軽やかに舞い踊り

そしていつまでも

固く抱きあいながら

五千年、一万年の

時を刻んでいくのだ