鏡川の

澄んだ

青い流れの上を

木箱に乗せられた

五匹の子猫が

泣き叫び

身もだえし

手は虚空をつかみながら

私の前を過ぎ去ろうとしていた

 

一瞬

私を見つめた

一匹の

子猫の目には

かって、棲んでいた家の

かぐわしい香りや

母猫の温もりや

家族の思いやりや

庭の木々の緑のやさしさや

今まで生きてきた日の

何もかも

全ての思い出が

いっぱいあふれていた