猛暑続きなので畑へは早朝にと思って昨夜は早く寝ました。ところが夜中に目が覚めてしまい、再び寝入ったら予定の時間には起きられませんでした。それで畑には出そびれたものの、今日は今夏最高気温になったので結果オーライと言えるでしょう。

 

例年政界も夏休みの今頃はマスコミ界隈も夏枯れです。テレビはオリンピックと猛暑のニュースで助かっている感じです。その分朝から晩まで同じニューズで埋められています。それで、図書館から予約の本を借出して来て読書三昧の一日としました。

 

佐久間文子<ツボちゃんの話 夫・坪内祐三>が、まさに「巻を措く能わず」の読み応えです。筆者は坪内祐三の妻であり、彼の最後を看取った人です。古本屋の棚にあるのを長く眺めていたのに、何で早く読まなかったのかとの思いになっています。

 

第一章の「亡くなった日のこと」では、人の死に立ち会うことのリアルに衝撃を受けました。第二、三章は朝日の記者であり編集者だった筆者が坪内と結ばれるまでの曲折が語られています。第六章は坪内が新宿で瀕死の重傷を負った事件の顛末です。

 

旺盛な読書欲と、泉が溢れるように書き続けた好漢なのです。これまで坪内祐三の本は脈絡無く読み散らしていましたが、この本によって坪内の著作の流れとその執筆の背景を知り、もう一度網羅的に読んでみたくなりました。

 

書き出しの章で印象に残った文章は、筆者が坪内に「書物の未来」についての原稿を依頼して、書物の未来に興味はないと一旦は断られ、そのことを書いて欲しいと押したら、以下の文章で結ばれた原稿が届いたという件です。

 

「どんな時代にも、私を含めて、こんなにも手軽で安上がりで時間も場所も選ばない『乗物』としての書物を求める人間は、絶えることがないだろう」