今年の夏は疲労困憊の上救助を要請する中高年の登山者が出ているとのニュースを目にすることが多いです。この猛暑が山の天気にも影響しているのかも知れません。梅雨前線が残って中部山岳から東北にかけては不安定な天気が続いています。

 

それで、夏山に行く計画が立てずらく、畑仕事以外は巣籠りの日が続いています。でも、パリ・オリンピックが始まったし、大相撲もプロ野球の試合も有って、それなりに退屈はしません。今夜は隅田川に加えてこちらでも花火大会がありました。

 

そうではあるけれど、やっぱり活字を追いたくなる性は消せません。只、気が散ることが多いので、ここしばらくは文章の好みが合う旧刊を引っ張り出して読み散らすことになっています。そんな時はやっぱり高島俊男が良いです。

 

今日何度目か判らない再読をしたのは<本が好き、悪口言うのはもっと好き>です。1995年の発刊で、講談社エッセイ賞を受けており、その年の受賞式は彼にとって「わが六十数年の不振の人生における唯一最大の晴れがましい一日」だったようです。

 

1995年は、渋谷の社宅から丸の内に通勤していて、私にとっても印象深い年でした。会社の取引先との新年会が大阪で開かれたその翌日に阪神大震災が発生しました、オームによる地下鉄サリン事件が発生したのは出勤したオフィスで知りました。

 

著者によれば、「まあこんな時期に無名のオッサンが書いたこの変な題の本を買って読む人あるわけないと思っていたら、思いがけず書評に多く取り上げられて、半年の間に十ぺん近く増し刷りすることになった」そうです。

 

高島俊男を評価する人が多くいる中で、文庫本の解説で語っている坂梨隆三の言葉を以下引用します。「高島さんの文章はまず小気味よい。・・・高島さんの文章は私の脳底のリズム感をピリピリと震わせ、・・・ピンピンとはねるような弾力性がある」