(レンジャー訓練基本編)
今日は、「限界への挑戦」と言うことで書いてみます。
話の内容は、陸上自衛隊の中で、一番過酷と言われるレンジャー訓練に関することです。表題を「自分は、どこまで頑張れるのか?「限界への挑戦」」としました。
今から50年前、私が23歳のとき実際に経験した内容です。

平時において自衛隊員は、災害派遣などで活躍していますが、その最も最前線の危険な場所で任務を行うのがレンジャー部隊と言われる隊員達です。
文字通り、彼らは体力・気力に優れた精鋭の集まりで、過酷な任務を完遂出来るよう訓練を受けています。・・・私が、実際にその訓練に参加し卒業した経験がありますので、その内容について書いてみたいと思います。内容的には、人間の精神面等に焦点を当てて書きます。

一番最初に思い出すのは、レンジャー訓練の事務所前とか寝起きする居室に掲げられていた、「愚癡と悲鳴はやめよう」という言葉です。
この言葉は、訓練におけるのキャッチフレーズ(強い印象付けを目的とした謳い文句)として作られたものであり、人間苦しくなると「愚癡を言ったり」・「悲鳴を上げたり」しますが、その様な自分自身の弱い部分を克服せよという意味を持っています。

このレンジャー訓練というのは、とても過酷で命にかかわる訓練を行うので、誰もが参加出来る訳ではありません。
任期制の隊員(非正規雇用者)は、「熱烈な希望者」の中から選考し、正規の隊員(いわゆる陸曹と言われる、職業自衛官)は、半ば命令です。
私の場合は、半年間(本採用の隊員となるための)陸曹教育隊での訓練を修了し、正規雇用の隊員(職業軍人)になったばかりでしたので命令一つで参加を命じられました。

まず、健康で体力もそこそこあるというのは必須条件ですが、それ以上に「根性(こんじょう)」がないと勤まりません。
自分は「根性がある」、と何事もない平時においてなら誰でも(そう)言うことが出来ますが、レンジャー訓練は「その人間の根性を、とことん痛めつけ更に成長させる訓練」なので、どこでも誰にでも行うことが出来ません。
・・・その為、その訓練は「そこそこ大きな部隊で、年一回程度」開催されるものでした。
(つづく)
※この記事は、(その4)まで続きます。