はい、この映画についていつか感想を書くと言ってから何日たったでしょう。

言い訳はいろいろありますが、一番に持ってくるとしたなら

「わたしはバカだ」

これを色々な意味で再認識しすぎて途方に暮れた。こんなところかな。

 

あと、映画を見ると、どうしても作品のいろいろな部分に本音で突っ込みを入れまくりたくなるんだけど

ここは、玉木宏のファンとして始めたブログ。

最近「闘病ブログに鞍替えした」とか宣言しちゃうぐらい体調が不安定で今も新しい病気の疑いで日赤に通ってるんだけど

玉木君が出ているからこそ観に行った映画を語るなら

やはり、ファンとしてですね、

味噌で言うなら西京味噌風味で行こうと。

無添加麦味噌とかじゃなくて。

いつまで余計な前置きを書いてるんでしょう。

では、行きます。

 

この作品の原作漫画がヒットしたのはもう30年ぐらい前になるんですね。

当時夫が毎週「モーニング」を買っていたので、わたしも読んでいました。

だから、原作を知っているものとして映画を鑑賞した、つもりでした。

でも、映画を観終わって思い出しました。絵柄が趣味に合わないので殆ど飛ばし読みしていたことを。

つまり、大体の設定以外なーんにも覚えていなかったのです。

 

とりあえず、大沢さん演じる原子力潜水艦「シーバット」艦長海江田(独立国家やまとの首長でもある)と、玉木君演じる

潜水艦「たつなみ」艦長深町が終始対立していて、深町が海江田の「暴走」を意地でも止めようとしていた、

そしてアメリカの艦隊とシーバットー「やまと」(海江田命名)の攻防が延々続いていた、このぐらいしか覚えてませんでした。

大変長尺な連載漫画だったのですが、始まって5分ぐらいで、「こりゃ終わらせる気がないどころか何作も作らないと筋を追うのさえ無理だな」と覚悟しました。

とにかく、展開が丁寧でスロー。

大沢さん演じる海江田艦長の「何考えてるかわからない」「不気味なほど冷静」「表情が読めない」「ものすごく強い信念がある」そのカリスマ性は見事に再現されてました。うまいなあ、大沢たかお。以前から何やっても様になる人だなと思っていたんだけど

これ観ると、彼以外に海江田を演じられた人はいないんじゃないかと思うぐらい、立ち姿さえ絵になってる。

ほとんどのシーンでただ「突っ立ってる」だけなんだけど(本人曰く、撮影全部を通してぼく七歩ぐらいしか歩いてないですよ、って。相当辛かったらしい)

それなのに見るものを飽きさせない存在感、さすが。

そして我らが玉木君です。

出番多い!!!(だから原作思い出せば当たり前だって)出演時間、大沢さんに負けてない。

漫画の深町はあごの四角いゴツめの男で、海江田をお前とか貴様とか呼び散らかしてたんだけど

同じに海江田と対立していても、玉木深町は「あなた」呼びなんですよね。

これ、なんかぐっとくるんだなあ。

原作ファンにとっては「深町にしてはシュッとし過ぎてる」「優男すぎる」「無駄にキレイめ」とか嬉しい苦言が多かった気がしますが

あえて、潜水艦長としての、そして海の男としての重量感を出すより、知的で思慮深く、熱いけれど乱暴な方向にはいかない。

というキャラにしたんですね。

そして制服の似合うこと!背筋がびしっと伸びていつも感じる立ち姿のきれいさや横顔の憂いがたまらん。

さらに。

夫曰く「玉木宏、よかったじゃない。演技上手くなったね!」

この人今まで一度も玉木君のこと褒めたことないんです。でも私も正直、感じました。たつなみの艦長として、しっかりと芯の通った、そして「鑑賞者の視線に寄り添う」立場として、思惑のわからない海江田の暴走を何とか止めようと懸命になるキャラを実に自然に無理なく、きっちりと演じ切ってました。

副艦長が女性(水川あさみ)というのが原作と違うところなんだけど、(原作漫画には政治家も含めて女性はほとんど出てきません)意外に彼女、よかった。演技もすごくこなれた感じで、男の世界の中で妙に突っ張った感じもなく、気負わずでも凛としていい感じに演じてました。彼女も成長したなー。

そして、大沢さんが兎に角「突っ立って上から口調でしゃべってるシーンばかり」なのに対して、深町はよく動きます。潜水艦から潜水艦へとゴムボートで乗り移ったり、水川あさみや部下との熱いやり取りもあったり。

大沢さんとは直接顔を合わせるシーンはごく短いわけですが、大沢さんの

「待っていたぞ、深町」

米軍の攻撃を受けるたつなみ危うし、のシーンで

「深町ならよけられる」

ここらへんのリスペクト感、ぐっときましたねえ。

ところで私殆どストーリーに触れてませんが、この作品で描かれているのは、(以下超ネタバレなのでこれから観る人は読まないで)

日本の潜水艦の艦長だった海江田が事故で乗組員ともども海に沈んで殉職した、と思いきや実は生きていて

日本とアメリカが秘密裏に合同で作っていた原子力潜水艦「シーバット」にそっくり乗り込み、しかも核ミサイルまで搭載し、さらに日本とアメリカ双方の意向を裏切って「独立国家やまと」を宣言し、「世界統一国家をつくる」とかトンデモな宣言をする。

 

なななんだってー?というところで、映画は終わってしまうんですね。

多分自衛隊が協力しての潜水艦映画となると、ミリオタの皆さんは、潜水艦内部の構造とかアメリカの艦隊との攻防のCGの出来具合とかVFXのレベルとかをまず厳しく観察すると思うんですが、これは上出来と言ってよかったと思います。

不自然さもチープさもなく、おおッと画面に集中できる迫真の画面作りができてました。

問題はですね……

わたしのような「原作を知ってるつもり」だった鑑賞者が「?」となったままになる点が、ひとつの作品としては多すぎたんじゃないかと。いや、もちろんわたしがアホすぎるのが一番いけないんですが。

そもそも、なんでアメリカと日本は秘密裏に原子力潜水艦を作ったのか? これ説明されてたっけ?

海江田とその部下がそれに乗り込むところまでは折り込み済みだったようだけど、えーと、アメリカはなにがさせたかったの?

潜水艦って、武器だよね? 何と戦うためにシーバットを作ったんだろうか。

海江田が米国の裏をかいて核を搭載してしまい(このやりかたも、そんな簡単にできんの?って感じ)

事実上自分の私物として原潜そのものを「やまとという国」だと言い切るのも

えとあの、核を搭載してるだけで国にできるって、強気すぎない? と思ったり。

海江田とともにシーバットに乗ってる部下たちは、そもそも、彼の最終目的を理解したうえで行動を共にしてるの?

世界を一つにするのが理想って、何かの宗教に取りつかれたようで、あと非現実すぎてどうもついていけないというか

「狂ってる…」とつぶやいた深町が一番、理解できる人物になってる。

あと、日本の政治家連中がひたすら右往左往なのもなー。

総理大臣の情けなさは、シン・ゴジラの大杉漣に負けてません。

(「総理になんかなるんじゃなかったなー」といいながら、ゴジラの暴れ回る東京の執務室でうどん啜ってたよね)

アメリカ側は、大統領を始めそれなりに様になってたけどね。

 

あっ、西京味噌が麦みそになってきた。

 

とにかく、この映画一作だけを評価するのは難しいです。これは「沈黙の艦隊」という長い物語の始まりに過ぎないので。

それでも続編があると信じてるから原作ファンは「ハイ次!」という姿勢でバッチこーいしてるわけですが、

間違っても、続編作るつもりだったけど頓挫しちゃったてへ、にならないことを祈ってます。

 

あっ、大事なこと。

わたしは本音では一人でも多くの、とくに潜水艦映画好きな人にこの作品見てほしいと思ってるんですよ。

潜水艦内の再現度とか戦闘シーンの迫真度とか素晴らしかったですから。

それと、わたしが「なんでこうなるの」と書いた多くの疑問点は、ちゃんと台詞を聞き逃さず二度三度見れば解決するものも多かったかもしれません。それも確かめに、ぜひ映画館へ足を運んでください。

この物語はここから、ぐんと盛り上がっていくんです。続編をさらに楽しむためにも、初回は是非見ておいてほしいと思います。

 

ところで、バカすぎる私はちゃんと最後までマンガ読んだ(でも飛ばし読み)にもかかわらず物語の後半部分はほぼ忘れてたわけですが

無情な夫が「忘れたの?ほら結局やまとは×××…で海江田は×××…」

と、うまいこと忘れちゃったんだから映画の続編を楽しみにしていようと思ってた私に冷水を浴びせやがったんです。

許しません。

最近家のあちこちに謎にナメクジが入り込んでるんですが、いつか昼寝してるとき額の上に乗せてやろうと思ってます。