平清盛、ついに義朝が最期を迎えました……
(ツイッター上では葬儀会場までできてるし
)
ネタバレはずっと避けてきたんですが、こうきましたか。
雪がふわふわと降る中での主従差し違え……
期待にたがわず、義朝と正清の主従愛、硬質にしてゆるぎなき関係、堪能させていただきました。
あの口数の少ない正清に、孤独を深める義朝がどんなに信頼を預けていたか痛いようにわかるだけに
最後の最後に彼がそばにいて、そして命のやり取りをすることができて
誇り高い殿にとっては幸いなことだと涙で見てました。
前々から、あの目の持つ凄みを生かした役をもっともっと見たい、と思ってきただけに
最終回の、義朝の目には、胸を打たれっぱなしでした。
敗走する馬上の、生命力の抜けた目。
傷ついた息子を手にかける父の、壮絶な非哀の目。
全てをあきらめ運命を受け入れると決めたときの、従者正清に対する優しげな眼。
そして、自らを陥れた長田忠致にたいする羅刹のような目。
こと切れるまで、正清と交し合った視線に対しては、もう言葉もございません。悔しさと切なさと苦悶と、ここまで自分に付き従った彼に対する万感の思い。
そして、その胸に清盛の面影は去来したんだろうか? ……
(て、去来してたよね、競べ馬のシーン。わたし実はあまり痛いシーンは見返せないんです、最近)
その清盛は、かつての友、義朝の悲惨な最期を聞いても表情一つ動かさず、彼の縁故のものたちは容赦なく罰する、と言い渡します。
そして生き残り、捕えられた息子、頼朝。
(しかしこの少年の瞳の清々しさはまたなんという。命の洗濯だわ十四歳!)
父の髭切の太刀を捜しにもどった先で一行とはぐれた頼朝は、清盛の前に引き出され、
父の残した髭切を見せられます。
一騎打ちののち、義朝が河原に残していったものだと。
そして父も兄弟も全滅と聞いて、涙する頼朝。
もはや生きる気力もなく、その髭切の太刀で自分を切ってくれと懇願します。が。
今まで情の一遍も見せなかった清盛が、ここにきて感情爆発。
思わず殴り倒した相手は、もう頼朝じゃなくて義朝。絵面もそうだし言ってることも、聞いてる頼朝としては大混乱必至。
そして組み伏せた義朝に向かって、清盛の思いのたけが。
……お前はそれで気が済んだろう。
ただ一心に太刀を振り回し、武士として生き武士として死んだ。そう思っておるのだろう。
だが俺はどうだ。
俺はこれからも生きていかねばならぬ。
お前のおらぬこの世で、武士が頂に立つ世を切り開いていかねばならぬのだ。
それがいかに苦しいことかわかるか。いかに空しいことかわかるか!
だが俺は乗り越える。乗り越えてこその武士じゃ。
醜きことにまみれようと、必ずこの世の頂に立つ。
途中で降りた愚かなお前が見ることのなかった景色をこの目で見てやる。
そのときこそ思い知れ、源氏は平氏に負けたのだと。
あのつまらぬ乱を起こしたことを悔やみ、己の愚かさをののしれ。
俺はおまえを絶対に許さぬ!
……武士が頂に立つ世を作り出してゆくのは清盛の悲願で、決して空しい仕事ではないはず。そう、このむなしい、は「お前のおらぬこの世で」にかかってるんですね。
この独白を一言にまとめると、義朝ラストの撮影でケンイチ君がぽつりと言ったあの台詞
「死んでほしくないなあ……」
これに集約されると思うのです。
死んでほしくなかった。なぜ生きて自分と手に手を携えて、新しき世を共に作り出してくれなかったのか。この憂き世に俺を一人にしておいて行きやがってええ!!
悲しみは恨みとなり、自らへの叱咤激励と覚悟となっての、あの咆哮。
賢い頼朝くんはそこをちゃんと受け止めていたようです。
「誰が殺してなどやるものか。真の武士がいかなるものか見せてやる!」
という宣告とともに、流罪をもって源氏の棟梁の息子の命を助ける清盛。
頼朝は清盛が、その背に、父が果たせなかった夢と悲願を背負っているのを見るわけです。
そして常盤もまた、生まれて間もない牛若と二人の子を連れ、清盛の元へ。
「情に訴えれば何とかなるかも」と、みずから姿を現す道を選んだ常盤。
このかたは、自分の魅力と、実は情に弱い清盛の本質を見抜いている、案外したたかなお嬢さんなのでした。
子どもたちの命を守るためならばこの身はどうなってもいい、とわが身を差し出しながら、私はあくまで源義朝の妻。と清盛の目の前で凛と宣言します。
その覚悟やよし。これは嬉しかった(涙)
そして、常盤も子どもの命も受け入れる清盛。
けれど結局この情けが平氏を滅ぼすことになるとは、なんという運命の皮肉……
こうして見ると義朝さまは、絵にかいたような悲劇の将なんですね。(いまさらかい)
けれど彼の幸運は、良き妻と従者と子に恵まれたことでしょう。
史実上でも男前であったようですが、その妻も子もことごとく、
夫を誇りに思い、父を敬うよう教えられたからこそ、長じてその誇りを受け継いだのですよね。
現代ではこうはいかないでしょう。男が男であった時代の悲劇とロマンが、ここにあります。そしてそんな時代のロマンに、何とも姿かたちからよく似合う、美丈夫で、強くて切ない、見事な義朝像でした。
ここで少々不埒なことをぬかします。
清盛ってやたら義朝に馬乗りになりますよね……
というか結構玉木くんて組み敷かれる役が多いような。
わたしがついつい思い出していたのは、のだめカンタービレの、ポンヌフでのとび蹴りです。
お前のようなめんどくさい変態はたくさんだ、と千秋に背を向けられたのだめが激怒して、爆走した挙句むきゃー!!ととび蹴りをかまして千秋に馬乗りになるシーン。
河原で義朝に背を向けられた清盛が、させるかー!と背後から爆走して蹴り倒し、馬乗りになって
「近づいたと思ったら逃げてゆく!お前も、武士の世も……」
……アホな妄想してすみません。
今回の平清盛は、最初から最後まで力がみなぎっていい出来でした。
清盛も、一時のちぐはぐさがなくなって、一族の長としての孤独に立ち向かう男の姿を、悲哀とともに見せてくれてる。主人公としてはいい成長の仕方です。
でもなあ。
来週からどうしようかな、清盛。脱力しちゃったし。
うーむ。
(ツイッター上では葬儀会場までできてるし
)ネタバレはずっと避けてきたんですが、こうきましたか。
雪がふわふわと降る中での主従差し違え……
期待にたがわず、義朝と正清の主従愛、硬質にしてゆるぎなき関係、堪能させていただきました。
あの口数の少ない正清に、孤独を深める義朝がどんなに信頼を預けていたか痛いようにわかるだけに
最後の最後に彼がそばにいて、そして命のやり取りをすることができて
誇り高い殿にとっては幸いなことだと涙で見てました。
前々から、あの目の持つ凄みを生かした役をもっともっと見たい、と思ってきただけに
最終回の、義朝の目には、胸を打たれっぱなしでした。
敗走する馬上の、生命力の抜けた目。
傷ついた息子を手にかける父の、壮絶な非哀の目。
全てをあきらめ運命を受け入れると決めたときの、従者正清に対する優しげな眼。
そして、自らを陥れた長田忠致にたいする羅刹のような目。
こと切れるまで、正清と交し合った視線に対しては、もう言葉もございません。悔しさと切なさと苦悶と、ここまで自分に付き従った彼に対する万感の思い。
そして、その胸に清盛の面影は去来したんだろうか? ……
(て、去来してたよね、競べ馬のシーン。わたし実はあまり痛いシーンは見返せないんです、最近)
その清盛は、かつての友、義朝の悲惨な最期を聞いても表情一つ動かさず、彼の縁故のものたちは容赦なく罰する、と言い渡します。
そして生き残り、捕えられた息子、頼朝。
(しかしこの少年の瞳の清々しさはまたなんという。命の洗濯だわ十四歳!)
父の髭切の太刀を捜しにもどった先で一行とはぐれた頼朝は、清盛の前に引き出され、
父の残した髭切を見せられます。
一騎打ちののち、義朝が河原に残していったものだと。
そして父も兄弟も全滅と聞いて、涙する頼朝。
もはや生きる気力もなく、その髭切の太刀で自分を切ってくれと懇願します。が。
今まで情の一遍も見せなかった清盛が、ここにきて感情爆発。
思わず殴り倒した相手は、もう頼朝じゃなくて義朝。絵面もそうだし言ってることも、聞いてる頼朝としては大混乱必至。
そして組み伏せた義朝に向かって、清盛の思いのたけが。
……お前はそれで気が済んだろう。
ただ一心に太刀を振り回し、武士として生き武士として死んだ。そう思っておるのだろう。
だが俺はどうだ。
俺はこれからも生きていかねばならぬ。
お前のおらぬこの世で、武士が頂に立つ世を切り開いていかねばならぬのだ。
それがいかに苦しいことかわかるか。いかに空しいことかわかるか!
だが俺は乗り越える。乗り越えてこその武士じゃ。
醜きことにまみれようと、必ずこの世の頂に立つ。
途中で降りた愚かなお前が見ることのなかった景色をこの目で見てやる。
そのときこそ思い知れ、源氏は平氏に負けたのだと。
あのつまらぬ乱を起こしたことを悔やみ、己の愚かさをののしれ。
俺はおまえを絶対に許さぬ!
……武士が頂に立つ世を作り出してゆくのは清盛の悲願で、決して空しい仕事ではないはず。そう、このむなしい、は「お前のおらぬこの世で」にかかってるんですね。
この独白を一言にまとめると、義朝ラストの撮影でケンイチ君がぽつりと言ったあの台詞
「死んでほしくないなあ……」
これに集約されると思うのです。
死んでほしくなかった。なぜ生きて自分と手に手を携えて、新しき世を共に作り出してくれなかったのか。この憂き世に俺を一人にしておいて行きやがってええ!!
悲しみは恨みとなり、自らへの叱咤激励と覚悟となっての、あの咆哮。
賢い頼朝くんはそこをちゃんと受け止めていたようです。
「誰が殺してなどやるものか。真の武士がいかなるものか見せてやる!」
という宣告とともに、流罪をもって源氏の棟梁の息子の命を助ける清盛。
頼朝は清盛が、その背に、父が果たせなかった夢と悲願を背負っているのを見るわけです。
そして常盤もまた、生まれて間もない牛若と二人の子を連れ、清盛の元へ。
「情に訴えれば何とかなるかも」と、みずから姿を現す道を選んだ常盤。
このかたは、自分の魅力と、実は情に弱い清盛の本質を見抜いている、案外したたかなお嬢さんなのでした。
子どもたちの命を守るためならばこの身はどうなってもいい、とわが身を差し出しながら、私はあくまで源義朝の妻。と清盛の目の前で凛と宣言します。
その覚悟やよし。これは嬉しかった(涙)
そして、常盤も子どもの命も受け入れる清盛。
けれど結局この情けが平氏を滅ぼすことになるとは、なんという運命の皮肉……
こうして見ると義朝さまは、絵にかいたような悲劇の将なんですね。(いまさらかい)
けれど彼の幸運は、良き妻と従者と子に恵まれたことでしょう。
史実上でも男前であったようですが、その妻も子もことごとく、
夫を誇りに思い、父を敬うよう教えられたからこそ、長じてその誇りを受け継いだのですよね。
現代ではこうはいかないでしょう。男が男であった時代の悲劇とロマンが、ここにあります。そしてそんな時代のロマンに、何とも姿かたちからよく似合う、美丈夫で、強くて切ない、見事な義朝像でした。
ここで少々不埒なことをぬかします。
清盛ってやたら義朝に馬乗りになりますよね……
というか結構玉木くんて組み敷かれる役が多いような。
わたしがついつい思い出していたのは、のだめカンタービレの、ポンヌフでのとび蹴りです。
お前のようなめんどくさい変態はたくさんだ、と千秋に背を向けられたのだめが激怒して、爆走した挙句むきゃー!!ととび蹴りをかまして千秋に馬乗りになるシーン。
河原で義朝に背を向けられた清盛が、させるかー!と背後から爆走して蹴り倒し、馬乗りになって
「近づいたと思ったら逃げてゆく!お前も、武士の世も……」
……アホな妄想してすみません。
今回の平清盛は、最初から最後まで力がみなぎっていい出来でした。
清盛も、一時のちぐはぐさがなくなって、一族の長としての孤独に立ち向かう男の姿を、悲哀とともに見せてくれてる。主人公としてはいい成長の仕方です。
でもなあ。
来週からどうしようかな、清盛。脱力しちゃったし。
うーむ。