ドケルバン症(狭窄性腱鞘炎)の鍼灸治療 | みちえ鍼灸院のブログ

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看護師でリンパ浮腫指導技能者の資格を持つ鍼灸師が鍼灸院を開院いたしました。鍼灸治療に加え、リンパ浮腫治療も行えます。

今回は、腱鞘炎の患者さんの症例を紹介いたします

 

腱鞘炎の中でも、母指を他の4本の指で握れないほど痛い、または、握ることで痛みが増強するなどの症状(フィンケルスタインテスト陽性)がでる腱鞘炎をドケルバン症という。

 

母指にあるCM(C:手根骨、M:中手骨)関節の炎症で、正式には狭窄性腱鞘炎という。

 

手や手首、腕などの使い過ぎによると言われていて、安静が一番の治療の近道であるが、少し良くなると、ついつい使わずにはいられないのが手であるため、治るには時間がかかることが多い。

 

【症例】 50代後半男性の患者様 左母指腱鞘炎

 2か月前より疼痛あったが放置。思い当たるのは三味線の練習を1日2時間していたことくらい。すぐに治ると思っていたが中々治らないので、1か月たってようやく近くの大学病院を受診。レントゲン撮影では異常なしと言われた。湿布(病院より処方)と固定装具(自身で購入)のみで様子をみていたが、痛みが増強するため当鍼灸院に来院。

首から方・肩甲骨、上腕・前腕に凝りがあった。腰部には違和感があり、体位変換時には今にもぎっくり腰を起こしそうな動きでぎこちなくゆっくりした起き上がり方である。

 

鍼灸治療

首から肩、肩甲骨、背部、腰部の治療で痛みは3割減少。

腕橈骨筋、内側上顆、小胸筋など、腱鞘炎を起こしている筋や腱以外に施術。

急性期を過ぎていたので、痛みのある部位に施灸して終了とした。

 

1回目の治療で痛みはあるものの、握ることが出来なかった母指が握れるようになり、喜んで帰っていきました。その後2週間に1回の治療を3回行い、痛みがほぼ消失し日常生活に不自由を感じなくなってきたので全4回の治療で終了となった。

 

*通常、今回のように3回の治療で腱鞘炎が治ることはありません。このことから考えると、腱鞘炎を引き起こしていた原因は三味線ではなく、頸・肩・肩甲骨、腰など全身に疲労が蓄積した結果、手の母指に腱鞘炎として現れたのであろうと考えられる。実際に治療の度に、全身状態が良くなり、身体が軽くなって「身体についていた悪いものがとれた感じがする」と感想をおしゃっていた。