『神人靈媒日記2020.5.9』
〜靈人との対話/織田信長公〜
2007年、京都市百万遍のVEGANレストランを任され、わたしがまだ料理指導&マネージャーをしていた頃のある日の出来事です。
ランチの慌しさも終わり暇な時間帯になり始めた頃、小柄でミニスカートを履いたひとりの可愛らしい女の子が、店に入って来ました。そして、
女の子:「私がここに来た理由が分かる者がいるか?」
と尋ねました。突然の意味不明な質問にスタッフもわたしも困惑し、
私:「どういう御用件でしょうか?お客様でしょうか?」
と伺ってみると、
女の子:「ふん、客ではあるが、私がここに来た理由が分かる者はいるか?ここに来れば分かると言われて来たのだが」
と更に不可解な返答に対してみんなで首を傾げ、少し頭の弱い子なのかと思いながらも、
私:「取り敢えずお席に着いて、メニューをご覧になられながら少々お待ち下さい」
と席を案内させました。
彼女は店内を見廻しながら、何やら独り言をぶつぶつ言っている様子で、厄介な客が来たとスタッフたちと苦笑しながら注文を待ちました。
そして、暫くしてから注文が決まったかどうかを、わたしが尋ねにゆくと、
女の子:「私はバスに乗るように言われ、そして、そこのバス停で降りるように言われたのだ。そして、この店に入るように言われた。そうすれば、私が来た理由が分かる者いるからと。それで来たのだ。そのような者はここにいるか?」
明らかに可愛らしい容姿とは異なる話し方と振る舞いを見て、もしや憑依されている人ではないか?と私は咄嗟に思い、
私:「お客様、こちらでは他にもお客様が居られますから、よろしければ他の部屋でお話を伺わせて頂きます」
と伝え、彼女を別階にある控え室へと案内しました。
そして、座って楽にするように伝えた後、
ミニスカートにも関わらずあぐらをかきながら座っている彼女に対して、
私:「あの、もしかして、あなたは憑依されていますか?」
と私は尋ねました。
そうしたら、彼女は戸惑いながらも怯えたように少し首を縦に動かし、そして全く違う表情に変わり、
靈人:「わしが誰か分かるか?」
と強面の男の表情で、わたしを睨みつけながら、静かに聞いて来たのです。
驚いたわたしは、気持ちを切り替えながら、
私:「お前は誰だ?このように女性に取り憑いて何が目的だ?」
と憑依靈との対話を試みました。
靈人:「わしが誰か分からんのか?」
私:「名乗られてもいないのだから、分かるはずもないだろう」
靈人:「ふん、それもその通りじゃなぁ。わしは信長じゃ」
私:「何だと?」
靈人:「わしは信長じゃ。わしが分からんのか?」
私:「有名人の名を語る悪霊は多いものだ。そのようなこと簡単に信じる訳がなかろう」
靈人:「ふん。なるほど、まぁいい」
私:「お前はなぜ、この子に取り憑いている?」
靈人:「わしの女だからじゃ」
私:「お前の女だと?」
靈人:「そうじゃ。こやつはわしの女よ」
私:「そうは見えないがな」
靈人:「お前はこいつが好きか?どうだ?」
スカートをめくり上げ片膝を立てながら
私:「そのようなことをするのは止めろ。この子が可哀想だろうが」
靈人:「わしの女だ。何をしようがお前に関係あるまい」
私:「お前の女かどうか分からないが、初めて会う人前で下着を見させられて喜ぶ女がいるか?もう可哀想だからそのようなことは止めろ。お前はただの悪霊だ」
靈人:「はっはっはっは、わしが悪霊か。お主、誰にものを申しているか、やはり分かっておらんなぁ。まぁ、大した度胸じゃ」
私:「お前が織田信長であるという証拠はどこにもない。はっきりしているのは、嫁入り前の若い女の子に取り憑き、いやらしい真似をさせているタチの悪い悪霊に過ぎないということだ」
靈人:「うるさい、黙れ!偉そうにものを申すな」
私:「お前は何のためにここに来た。私に何の用だ?」
靈人:「お前がどんな者か確かめに来たのじゃ」
私:「私を見に来ただと?」
靈人:「まぁいい。そのうち分かる。いづれ膝まづかせてやるわい」
私:「有名人の名を語れば、誰もが触れ伏すと思うなよ。成り済ましの悪霊めが」
靈人:「はっはっはっは、そうか、面白い。まぁ、そのうち分かるわい」
彼女の表情が急に変わり、とても恥ずかしそうに下を向きながら身なりを整えて、
女の子:「あ、すいません。私、あの…」
私:「大丈夫だよ。大変だったね」
女の子:「よく分からないんですけど、ここに来るように言われて。ただ言われるままに来ただけなんです」
私:「そうだったんだね。君は靈媒の人なんだね?」
女の子:「はい、たぶん…。すいません、突然に」
私:「いつから取り憑いて来たのかな?」
女の子:「よく分からないですけど」
私:「織田信長とか言っていたけど、有名人の名前を語る成り済ましは多いからね。気をつけた方が良いよ」
女の子:「はい。ありがとうございます。でも、信ちゃんは本当は凄く優しいんです。私の話も聞いてくれて」
私:「信ちゃん?!」
女の子:「はい、私、信ちゃんって呼んでて」
私:「信ちゃん、ねー…。まぁ、いいけど、気をつけなきゃ駄目だよ。何でもかんでも靈の言いなりになるとおかしくなってしまうからね」
女の子:「はい。でも信ちゃんは本当に大丈夫です」
私:「そうか。じゃあまた何かあったら遊びに来てね」
女の子:「はい、どうもありがとうございました。また来ます」
私:「はい、ありがとう」
その日はそれで女の子は帰って行きました。そしてその後も、彼女は何度か来店するようになり、普通の女の子の状態で楽しそうにスタッフと話しながら過ごしていました。
ある晴れた夕方、京都の船岡山公園にある野外ステージを観るために、バイクで初めて訪れた時のことです。良き場所であると噂を聞いていたため、いつか自主イベントが出来ないかと思い、一度視察をしたかったのです。
京都市内が北から南へと一望出来る丘の上からの景色は、快晴の下とても気持ちの良い眺めの素晴らしい所でした。
そして、帰り際に公園内にある一つの神社を見つけました。名前だけは以前から知っていましたが、訪れたことがなかったため、良き場所との御縁を繋いで頂いた御礼も兼ねて参拝したのです。
夕暮れ時でしたので参拝者もなく、一人拍手をし目を閉じた瞬間のことでした。周囲に物凄く強い鳥肌が立つような殺気を感じたのです。悪霊に取り囲まれているようでしたので、私は尋ねました。
私:「何者だ?なぜこのようなことをするんだ?」
靈人:「ようやく来たな。待っていたぞ」
私:「何だと?」
靈人:「わしじゃ」
わたしは目を見開きながら神社本殿を見ました。そしてハッとして、金縛りに遭っていることに気づきました
私:「あっ、もしかして…?」
靈人:「そうよ」
私:「ここは…?」
靈人:「わしの所よ」
私:「わしの所?」
靈人:「さて、お主はここから生きて帰れるかのう?」
私:「…なぜ、このようなことを?」
靈人:「ようやく、わしが誰だか分かったようじゃな」
私:「いったい、何が望みなのですか?」
靈人:「わしの言うことを聞いてもらおうか」
私:「なぜ、わたしなのですか?」
靈人:「お主は中々面白い。わしが使ってやるとする」
私:「いったい何をすれば良いのですか?」
靈人:「うるさい、そのうち分かる。もう帰れ」
わたしは金縛りが解けましたが、身体は全身に鳥肌が立ち震えていました。
恐る恐る振り返り、早くその場から逃げたくなり足速に歩きました。
そして、ふと目をやるとそこには御祭神の案内板があり、読んでみるとそこには、織田信長公の名前が綴られていました。
わたしはとにかく恐ろしくなり、バイクを飛ばして帰宅し、ひとり酒を煽りました。
それからは、不思議なほどに岐阜県との縁が深まり、織田信長公ゆかりの各神社仏閣へと何度も足を運ばされたのでした。
そして暫く経ったある日、神人の支援者に連れられて岐阜県の山奥にある神社へと参拝した際のことです。
鳥居の前でお辞儀をし、参道へ足を踏み入れようとしたら、
ある靈人:「貴様、何者だ?何の用だ?貴様のようなものは、ここから先には一歩も入るな」
わたしは前方から威嚇して来る声たちに驚き、鳥居前で佇んでいると、背後から、
靈人:「構わず行け!」
と聞こえる声に従いながら、神社の階段を上がってゆきました。
群勢の靈人たち:「貴様!出てゆけ!」
と威嚇してくる声の数が徐々に増してゆくと共に、頭や首肩は靈症により痛みを感じ始めながら、わたしは背後の声に従うままに歩み進めました。
そして、わたしは神楽殿に登り参道を見下ろしました。その後、靈人はわたしの身体を乗っ取り、舞踊を始めたのです。
それはこれまで見たことのないような雄々しい舞であり、古の武術の型と舞が融合したような力強い身体運びに、わたしは自身の体の中からその動きを眺めながら、すっかり魅了されました。
それは、美しく勇ましく惚れ惚れするような立ち居振る舞いの格好良さでした。
その際、周りを取り囲んでいた数え切れない群勢の靈人たちの声の中から聞こえてきたのです。
ある靈人:「あれは、信長さまの舞じゃ。あれは信長さまじゃ。間違いない。信長さまがお戻りになられたのじゃ」
数千の群勢の靈人たちは、一斉に平伏しながら
群勢の靈人たち:「ははー。信長さま」
ようやくわたしの身体の動きが止まり、残身を決めながら群勢に向かって靈人は言ったのです
靈人:「皆の者、待たせたな。今、戻ったぞ。わしはこの者の身体を借りてここまで来た。色々と世間を観させてもらったぞ。わしの居らぬ間、ご苦労であったぞ。礼を申す」
群勢の靈人たち:「ははー。信長さま」
靈人:「皆の者、では参ろうぞ!」
群勢の靈人たち:「ははー」
靈人:「健仁よ、世話になったな。この礼は必ず後でさせる。さらばじゃ」
そして、群勢の靈人たちもみんな、一瞬のうちに消えてゆきました。
わたしはひとり呟きました。
「の、信ちゃん…」
わたしは織田信長公の御靈に魅了されました。太々しい立ち居振る舞いの厳粛さの中に、人並み外れた強さと優しさを兼ね備え、男女問わず魅了させる偉人たる魅力を確かに感じとったのです。
これは、大日月地神示を降した後のことでありました。実は、神人が靈媒としての御役目を最初にさせて頂いた方が、織田信長公の御靈であり、その後、戦国時代の因縁解消に使われてゆきました。
2020.5.9 神人 拝
↓
↓