互換品のカートリッジを販売するエレコムが、ブラザー工業に約1500万円の損害賠償などを求めた訴訟において、東京地裁は150万円の一部認容の判決をしています。

 

知的財産法そのもののではなく、独占禁止法に関する判決になりますが、有名なキヤノンのインクカートリッジ事件とは、逆方向の判決です。

 

カートリッジの再産が新たな生産に該当するという話ではなく、ブラザーが互換品を認識しないように設計を変えたことが独禁法違反で、エレコムに返品などの損害が発生したという事件になります。

 

プリンターだけでなく、カメラの交換レンズなどでも互換品が認識されないようにしたり、互換品の性能が低下する設計をすることもあるようですが、今後は難しくなるかもしれません。

 

インクジェットプリンターの設計を変え、純正品のインクカートリッジしか使えないようにする対応で市場から排除されたとして、互換品のカートリッジを販売するエレコムが、ブラザー工業に約1500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は1日までに、独占禁止法違反(不公正な取引方法)を認め、約150万円の支払いを命じた。判決は9月30日付。

判決によると、ブラザーは2018年12月以降に製造したプリンターについて、互換品を認識しないように設計を変えた。これに対し、エレコムは19年3月以降、設計変更に対応した互換品を売り出した。

判決理由で朝倉裁判長は、設計変更について「具体的な必要性はなく、互換品のカートリッジの販売を難しくする目的があった」と指摘。プリンターの利用者は純正品を購入せざるを得ず、ブラザーの手法は公正な競争を妨げる「抱き合わせ販売」に当たると認めた。エレコムは販売店への返金などを迫られ、損害を被ったと結論づけた。

エレコムは設計変更の差し止めも求めたが、変更に適合した互換品をすでに販売していることから請求は退けられた。