経済産業調査会の近刊です。

近年の裁判例を考慮した、6年ぶりの改訂版です。

 

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裁判例から抽出される進歩性の判断基準についての結論!
発明に特許権が成立するかどうかの予測・判断の際の必読書
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発明に「新規性」と「進歩性」とがなければ、発明に特許権は成立しません。この2つの条件のうちの「新規性」に関しては、その判断も容易です。ところが、もう1つの条件である「進歩性」については、その判断は容易ではなく、同じ発明について、ある人は進歩性があると判断しても、他の人は進歩性がないと判断する事態がおこることが避けられません。

そのため、正確な進歩性判断を行うためには、個々の具体的事案における進歩性の具体的判断を行った裁判例から、個々の事案の特殊性を超えて妥当する一般的な進歩性の判断基準を見出すことが不可欠です。進歩性判断についての近年の裁判例は、進歩性判断は検証可能なものでなければならず、「容易に想到することができる」ことを認定できる客観的証拠がなければ、進歩性を否定することはできない、という考え方に基づいており、しごく当然な考え方です。

しかし、問題は、客観的証拠によって認定されるべき「容易に想到することができる」事実の内実は何か、そして、「容易に想到することができるかどうかを検証可能にする」とは具体的にはどのようなものであるのかです。それが明らかにされなければ、「容易」という不明確な概念もって定義されている「進歩性」の判断や予測が困難である事態から抜け出すことはできません。

本書は、この問題意識に基づき、裁判例から進歩性の判断基準を分析したものであり、下記の1と2とが裁判例から抽出される進歩性の判断基準についての結論であります。

1 「進歩性」の定義である「容易に発明をすることができたとにいう「容易」とは、証拠によって認定することができない「簡単に行うことができること」とか「やさしいこと」といったいう量的な概念ではなく、「課題の共通性」や「作用・機能の共通性」等といった証拠によって認定することができる「先行公知技術から対象発明に到達することを着想する契機という客観的事実」である質的概念であること。

2 進歩性の判断基準である「先行公知技術から対象発明に到達することを着想する契機という客観的事実」は、対象発明が主引用発明と相違している部分(「相違点に係る対象発明の構成)が主引用発明が対象発明と相違している部分(相違点に係る構成)が相違する態様によって異なるから、「相違点に係る対象発明の構成」が「相違点に係る主引用発明の構成」と相違する各態様で機能する容易想到性の判断基準を提示したこと。

特許の審査審判実務や特許訴訟に関与する弁理士や弁護士等の実務家の手引き書としてはもちろん、技術開発、技術開発管理、知的財産管理等の各業務に従事する人々にとっても手引きとなる一冊です。