今朝の日経法務面に、「変わる特許紛争の構図 IoT普及で異業種間増加」という記事と、「『特許紛争の変化、企業も関心を』特許庁長官に聞く」という記事が載っていました。

 

IoTの普及により、異業種からのライセンスの申し出、権利行使が増え、企業の負担が増加しているという趣旨です。

 

自動車など物がネットで接続されるようになると、これまでとは違った権利者への対応が必要になるのは確かでしょう。

 

しかし、IoTという言葉が流行る前から、地デジTVがネットに接続されたり、デジカメやプリンタがWifiやBlue Toothで接続されるようになるという技術動向はわかっていました。

 

自動車だって、タクシーやバスは昔から無線で通信していました。

自動車と無線通信は元々、切り離せない技術です。

 

一方、1本100円のボールペンや、1枚数百円の肌着をネットで接続する方がいるでしょうか。

技術的には意味があるのかもしれませんが、コストに見合いません。IoT肌着を洗えば、チップが破壊されたり、流されたりするかもしれません。

 

IoTで全ての物がネットに繋がるというのは、幻想と言うよりも悪い冗談でしかありません。

 

自動車やカメラのように、必要性のある物はIoT化されるでしょうが、IoTの時代だから特別な対策が必要というのは、浮き足立ちすぎです。より冷静な議論が必要でしょう。

 

以下が「変わる特許紛争の構図 IoT普及で異業種間増加」の記事です。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2293272031102017TCJ000/

 特許紛争の構図が大きく変わり始めている。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及に伴い、通信大手が自動車メーカーにライセンス料を求めるなど異業種間の紛争が目立ち始めた。交渉を巡るルールが未成熟のうえ当事者の相場観や慣習も違い、深刻な対立に陥りやすいという。(植松正史)

 

 アバンシの標的は、通信機能を備える「コネクテッドカー(つながる車)」やスマートメーター(次世代電力計)など。標準規格を満たす製品を造るために必ず使わなくてはいけない「標準必須特許」は自分たちが保有しているとして、世界の大手メーカーに対し、次々とライセンス交渉を迫っているといわれる。

 

 「IoTがライセンス実務を変えた」。特許庁は10月、標準必須特許を巡る世界的な構造変化を指摘するリポートをまとめた。川上敏寛・制度審議室長は「従来は同業他社の争いが大半だったが、あらゆる製品がIT(情報技術)化して、異業種間紛争が始まった」と話す。アバンシと自動車業界の攻防はその先駆け。電力や物流などの業界にも広がっていく可能性が高いとみる。

 

こちらが宗像特許庁長官へのインタビューです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23051860S7A101C1TCJ000/

 ――異業種間の特許紛争では何が問題になるのでしょうか。

 「従来の同業他社間の争いに比べ、紛争解決が困難になりがちということだ。クロスライセンスなどの解決を図りにくいうえ、ライセンス料の相場観や交渉の進め方も違うなど障害が多い」

 

 「あらゆる製品やサービスで無線通信技術が使われるようになり、従来は特許にあまり縁がなかった企業も巻き込まれる恐れがある。交渉経験が豊富な大手通信企業などからタフな交渉をぶつけられた場合、適切に対処できるのか心配だ」

 

 ――深刻な争いはすでに起きているのですか。

 「ライセンス交渉は水面下で行われるのが通常なので、なかなか実態を把握しにくい。だが国内外の大手企業へのヒアリングを通じ、例えば通信業界と自動車業界の間でライセンス料を巡る非常に激しい攻防が進みつつあることがうかがえる」