昨日の生かせ!知財ビジネスで、「どうする、超難題『特許価値向上』」というテーマで、知財訴訟に関する話題が採り上げられていました。

 

いつものことながら、知財訴訟の勝訴率が低い、損害賠償が低いという、紋切り型、ステレオタイプの報道です。

 

以下の通り、勝訴的和解も含めると我が国の知財訴訟の勝訴率は40%を越えています。

http://www.ip.courts.go.jp/vcms_lf/jiyutoseigi201504.pdf

2011~2013年に判決又は和解で終局した計238件のうち101~111件、割合にして42~47%(1%未満四捨五入)において、訴訟を通じて権利の実現が図られたといえることになる。

 

そして、我が国では、訴訟になる前のライセンス交渉等で結着することが大半です。

訴訟の目的は損害賠償ではなく(「倍賞」ではない)、多くの場合差止です。

 

いくら金銭をもらったところで、市場を荒らされれば意味がありません。

 

この記事では、「特許価値向上を何に活用するために進めるのか、日本人、日本企業としての本格的な議論に期待したい。」と結んでいますが、知財も法務の一分野です。

予防法務的に紛争を事前に避け、ビジネスを確実に守ることが、知財の一番の役割ではないでしょうか。

 

損害賠償金を得ても、事業で負ければ、ほとんどの場合、意味がありません。

 

米国の人口は日本の3倍です。日本の知財訴訟件数が、訴訟大国米国の1/8ならば、訴訟件数は決して少なくありません。

 

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/170721/cpd1707210500004-n1.htm

最近、内閣府知的財産推進事務局が知財の有識者をヒアリングしており、特許庁も新たな調査研究を準備している。自民党は知的財産戦略調査会の知財紛争処理システム検討会で対策制度導入を提案した。

 

 根本的な問題の一つは特許をマネタイズ(収益化)の活用対象として、どこまで考えるかにある。日本では特許侵害時の損害賠償額と原告勝訴率が他国に比べて低すぎる。これは日本より米国やドイツ、中国などへ特許出願し、その国の裁判所で争った方が権利を守ることができ、より多くの損害賠償金を得られるという発想につながる半面、日本で発明し、権利を活用する動機付けが低下するという懸念が生じる。これを自民党は日本における「特許資産デフレ」と呼んでいる。

 

 実際、年間の知財訴訟件数は約500件で米国の8分の1程度。1億円を超える損害倍賞額は数件に過ぎず、米国なら1年間の訴訟費用で消えてしまう。原告勝訴率は2割前後と低く、敗訴率と和解率は4割前後と高い。