今回は、EPOの無料データベースを採り上げます。
外国特許DBの中で、おそらくもっとも利用者が多いのが、この Esp@cenet ではないかと思います。
なお、包袋閲覧には EPOLINE というDBを用います。
それから、スペイン語等になりますが、南米の特許情報を収録した Latipat という姉妹DBも用意されています。
Esp@cenetのここが○
1.無料で世界90ヵ国・機関の検索ができる。これだけ収録源が豊富なデータベースはなかなかない。
2.INPADOCパテントファミリーを無料で検索でき、リーガルステータスも収録。
3.IPCやECLAを使った特許分類検索も可能。米国公報もECLAで検索できる場合がある。
4.主要国の特許情報ついては、PAJなど各国特許庁データ、または英語ファミリーにより、英語要約が用意される。
5.機械翻訳機能により、ドイツ語とフランス語の明細書を英語に翻訳できる。
6.Google検索に似たSmart Search(Beta版)を備える。
7.主要国の公報ダウンロードが可能。
8.サイトの改良により、1つのボックス内に単語を10個まで入れられるようになった。
9.日本語のメニューも用意されている(ただしメニューのみで、内容は日本語公報以外は、公報の言語のまま)。
Esp@cenetのここが×
1.世界90ヵ国・機関が収録されているといっても、途上国のデータには抜けが多く、結果を信用できない。
2.集合演算(履歴間演算)ができないため、複雑な検索式が組めない。
3.テキスト検索できる範囲が、タイトルと要約のみ(+書誌事項)で、クレームや明細書全文の検索はできない。
4.米国公報も収録されているが、USPCを使った検索はできない。そのため、米国調査の精度は劣る。
5.1つのボックス内に単語を10個まで入れられるよう改良されたが、まだまだ複雑な検索式を組むのは困難。
6.単語の形変化を自動で検出する機能(ステミング)がなく、トランケーション("*
"や"?")を用いて、自分で形変化を指定する必要がある。
7.公報の一括ダウンロードができず、不便。
8.出願日を指定した検索ができない。例えば侵害予防調査を行う際に、出願日で20年以内といった指定をすることができない。
9.EPやヨーロッパ諸国のリーガルステータスには強いが、米国や中国のステータスには強くない。
10.公開公報のみで、登録公報の収録がない場合もある。
11.データ提供元が原因だが、日本や中国、韓国、台湾の実用新案については収録漏れが多く、あまり役には立たない。
12.出願人・権利者名が間違っていたり、抜けていることも、しばしば。
13.日本時間のお昼頃(ヨーロッパの朝4時ごろ)、メンテナンスがあるようで、良く固まって動かなくなる。
Ecp@cenetは無料で外国特許の検索ができるため、非常に便利なツールですが、欧米以外は収録漏れ等も少なくないことから、使い方にはやや注意が必要です。
もっとも、不十分な情報であっても、全く調査できないよりは、はるかにマシですから、仕様の限界を知ったうえで利用すれば、非常に便利な無料ツールになると思います。
なお、Thomson Innovation等の有料DBにもEsp@cenetと同じDOCDB(INPADOC+英語等の要約)が収録されていますが、こちらは集合間演算もでき、単語数制限の上限も高いので、複雑な検索をすることができます。