外国特許データベースの第2回ということで、RWSグループが提供するPatBaseを採り上げます。
私はPatBaseユーザーではありませんが、トライアルで2回試用したことがあります。
RWSはイギリスに本社のある調査・翻訳会社で、データベースだけでなく、調査や翻訳のサービスも提供しています。
組織図を見てみると、フランス、ドイツ、中国、日本、スイス、アメリカ等に子会社があり、結構大きな会社です。
http://www.rws.com/lang_english/pdf/group_structure.pdf
PatBaseのここが○
1.収録国・機関が豊富。合計75ヵ国の特許庁公式データをカバー。古いデータソースは1790年から収録がある。意匠特許の収録もある。
2.USPC, IPC, ECLAはもちろん、JP検索時にはFI,Fタームも使える。
3.レコードがファミリー単位で収録されているが、DWPIのように1つの抄録文ではなく、各国の要約が収録されており、検索漏れを減らす作りになっている。
4.インタフェースが軽快で、動作も早い。
5.料金は基本的に年間固定制。特許調査会社など、外部へ情報提供する業者も利用できる。
6.精度はあまり良くないが、機械翻訳で、独仏、中韓等の公報を検索できる。
7.トランケーション、近接演算、簡易な概念検索など、一通りの検索機能を備える。
8.簡単な統計、分析機能を備える。
PatBaseのここが×
1.公報ダウンロードや図面参照は基本的に別料金で、構造系、機械系の調査では不便。
2.リーガルステータスを確認する際、一回一回各国特許庁サイトへジャンプするので、確認に時間がかかる。ステータスの一括ダウンロードもできない。侵害予防調査時は、かなり不便。
3.下位分類を含めた検索ができない。例えば、USPCである分野の公報すべてを検索したい場合には、USPCを数十個 OR して入力する必要がある。
4.75ヵ国以上収録とのことだが、途上国の場合はデータソースに漏れがあるため、PatBaseも収録漏れとなる。なお、実際に全文検索ができるのは、US/EP/PCT/GB/FR/DE/CA/INの8カ国・機関のみ。
5.1IDで年間71万円からと、やや高い。別途公報代も。
PatBaseは調査会社が開発したデータベースだけあって、先行技術や技術動向を調査するのに適しています。公報PDFや図面、リーガルステータスの問題が解消すれば、かなり強力なツールに大化けすると思います。