さて、今回から外国特許のデータベースを採り上げます。その1はトムソン・ロイターが提供するThomson Innovationです。
http://www.thomsoninnovation.com/
元々、トムソン・ロイターの前身であるトムソン・サイエンティフィックは、IBMから買収したDelphionというデータベースを持っていました。その後、Micropatent社を買収したことにより、PatentWebもトムソンブランドのサービスとなりました。その結果、似たようなDBを並行して提供する状況が、しばらく続いていました。
2008年4月に、トムソンがロイターを合併しましたが、これとほぼ同時期に登場したのがThomson Innovationになります。
トムソン・ロイターの公式発表によれば、DelphionとPatentWebの機能をすべて引き継いで統合したものがInnovationになるとのことです。
Thomson Innovationのここが○
1.収録データが豊富。US/EP/PCT/DE/FR/GB/JPとKRの英語要約/INPADOCDB(正確にはDOCDB)がデフォルト。
オプションで固定料金制のDWPIやアジアオプション(日本と中国の明細書機械翻訳英文)が用意されている。
2.学術文献もオプションで用意されている。Web of ScienceやInspecも利用できる。オプションでビジネス情報も収録。
3.近接演算やトランケーション、ステミング(型変化を自動で考慮)など、外国特許に必要な機能は、一通り揃っている。
4.デフォルトで、簡単な分析機能が付く。オプションでAurekaも利用可能。
5.USクラスやECLAの公報発行時だけでなく、データ更新された後の最新分類についても検索ができる。下位分類を含めた検索も、ある程度は可能。
6.料金体系は基本的に固定料金で、公報ダウンロードもマイナーものを除いて、追加料金なし。
7.コマンド検索もできる。
8.機械翻訳で、ドイツ語やフランス語明細書を、英語へ翻訳して見られる。
9.DWPIオプションと併用すれば、DWPIファミリーとINPADOCファミリー情報を併用でき、ファミリー情報の漏れが減る。
Thomson Innovationのここが×
1.もっさりしたユーザーインタフェース。文字も小さくて見にくい。文字は次期バージョンで大きくなるとのこと。
2.基本的に固定料金だが、毎年少しずつ上がって行くスライド制。データの蓄積が多くなる分料金が高くなるという言い分は理解できるものの、ちょっと殿様商売。
3.いろいろオプションをつけると、あっという間に年間数百万円に。
4.アジアオプションは、2007年以降しか収録がなく、今のところ使い物にならないが、それなりの金額。
5.ダウンロードした際のexcelファイルがOffice2007のxlsx形式で、職場のPCが対応していないと不便。ユーザにあまり親切ではないです。
6.公報ダウンロードが遅い。
7.誰でも契約できるわけではなく、大企業などトムソン・ロイターが取引したい相手だけが利用できる。
最後に書きましたが、誰でも契約できる訳ではなく、料金もユーザの規模等によりまちまちのようですが、新しいサービスのため、比較的欠点の少ないデータベースと思います。