信州読書会

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2017.7.21に行った武者小路実篤の『愛と死』読書会もようです。

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私も書きました。

『見ることと描くこと』


私は、この小説を読んで、印象派の画家ルノアールとモデルの話を思い出した。ルノアールは近所のある少女をモデルにして、絵を描いた。彼女が少女でなくなった後も、晩年まで何作も彼女をモデルにして絵を描いたという。

モデルと画家の間にスパークするものがなければ、作品は生命を得ない。

それには、「見る」ということが、とても大切なのだそうだ。

ルノアールにとっては、見ることこそが、描くことだった。

村岡は、軽演劇で活躍する夏子を、熱心に見ている。まるで自分のことのように、心配しながら見守りつつ、観客に見られている夏子の印象まで、細かく追いかけている。

たとえば、それは、モデルを前に、画家が絵を描きながら、その絵が、自分自身に何を訴え、また、この絵を見た、第三者や批評家がどういう印象を与えるのかを思い、また、そのモデルを実物で見た、第三者や批評家が、モデルと、絵とを比べて、画家の見つめたもの確かさを思うか、どうか? 見ることと描くことのこんな格闘が、描かれたモデルに生命を吹き込む。

だから、武者先生に描かれた夏子は、今も読者の前で生き生きと宙返りしている

(引用はじめ)

あなたの意識していない、存外あなたは、意識しているかとも思いますが、美しさは、私が見たかったものであり、見せたかったものなのです。私はいつのまにか、あの劇を自分が書いたもののような気がし、また興行師のような気になっていたようです。

(引用おわり)

夏子は、兄の野々村が、村岡を尊敬しているから好きになった。また、村岡も、野々村をライバルとして認めているから、その妹である夏子を好きになった。夏子がモデルで、画家が村岡、第三者たる批評家は、野々村である。

三者の関係性の中で、夏子は、強い生命を得た。彼女の唐突な死は、読者に強い衝撃を与えるが、生前の活発な生命の面影は、今もなお、息づいているようだ。

ルノワールの見つめたモデルの生命が、彼らの死の後もなお、力にあふれているように。

(おわり)




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