小林side
先生と二人で教室に戻ると、みんなは静かに自習をしていた。愛佳をのぞいて。
愛佳はというと、携帯を見たまま動かない。ただ、焦っていることはわかる。
愛「ね、ねぇ由依。てちがめっちゃ怒ってr『知らない。素直に謝れば?』
愛「・・・・・・・」
きっと、てちが状況を察してくれてるんだろうな。
理「はい、小林さんももどってきたことだし、授業始めるよー」
生徒指導か・・・・・今まで受けたことないな・・・・
それよりさっきの和歌の意味・・・・・
”貴方を恋しく思っていると、貴方に逢う前はどんな気持ちで過ごしていたか不思議に思われる。”
由「・・・・・・・・・・」
渡邉先生の声で聞くとなおさら素敵に思えるな・・・・・・
あぁ!ダメだダメだ!今は授業に集中しないとっ!
なんか・・・・最近上の空だな・・・私・・・
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放課後
ね「由依、一緒帰ろー」
うん、って言いたいところだけど・・・
由「ごめん、今日残らなくちゃいけなくて・・・・」
守「由依が?珍しいね・・って今日そういえば授業サボってたのか・・・・」
由「言わないでよ・・・・・」
ね「・・・あ、ってことは渡邉先生と二人ってこと?!」
由「ま、まぁ・・・そうなるね。」
ね/守「(・∀・)ニヤニヤ」
由「な、なに?」
守「いやぁ~由依はさぞかしうれしかろうなぁ~ってね!」
ね「そしてさぞかし緊張してるだろうなぁ~ってね!」
・・・・・この二人まで愛佳病が感染してきたな。
てかこの場に愛佳いなくてよかった・・・もし愛佳がいたら・・・・
「私の渡邉先生への気持ちがばれちゃうっっ!!」
愛「な~んっつって!」
由「・・・・・・・・・・・なんでいんの。」
愛「おっと?これはまたまた当ててしまったパティーンかな?」
うざっ。
愛「いや聞こえてるよっっ」
由「あれ、こえでてた?」
愛「・・・・・・・・・・」
ね「ていうか、てちとはどうなったの?」
愛「ん?あぁー私がなぜか土下座して許してもらった」
由「ぷっ・・・・」
愛「・・・・さては由依がてちに何か送ったな」
由「しらん。じゃあ私行ってくるから先帰ってて!」
守「はーい!」
ね「あ!ちょっと由依待って!」
由「ん?なに?」
ねるが近づいてきて、なんだろう?と思いながらも耳を傾けるとねるから、
「渡邉先生に、恋って何ですかって聞いてみたら?」
なんて言われた。
由「・・・・何急に・・・」
ね「いや?少しはヒントになるんじゃないかなーって!」
由「ヒント?何のヒントのこと?なんか問題出されたっけ、私。」
ね「まぁまぁ、いずれわかるよ」
由「うーん・・よくわかんないけど・・・わかった・・・」
ね「うん!じゃ、頑張ってね~」
さて、行くか・・・・・
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コンコンッ
由「失礼します。」
理「どうぞー、じゃあここに座って。」
由「はい・・・・・」
渡邉先生と机を挟んで座っている状況。
これはガチで説教される感じだな・・・・
理「よし、早速本題に入るけど・・・・なんでここに呼ばれたかわかってるよね?」
由「えーっと・・・私が最近授業にまじめに参加してなかったり・・・」
理「うんうん・・・それで、あとは?」
由「あ、あとは・・・・その・・・サボったり・・・・」
はぁ・・・・先生に嫌われたかな・・・・
由「本当にすみませんでした・・・以後気を付けるので・・・あのっ」
ヤバいっ・・涙出てきた・・・・このままだとほんとに嫌われちゃう・・・
ずっと頭を下げていると
理「ふふっ」
由「え・・・・・・・」
理「いいよ。顔上げて!そんなかしこまらなくていいよ!私も全然怒ってないし、冗談・・・って、え!?な、泣いてるの!?」
由「うぅ・・・・グスッ」
安心したのか、私の涙腺は崩壊してしまった。
理「ご、ごめん!ほんとにごめん!!泣かせるつもりじゃ・・・・」
渡邉先生はすぐに立ち上がって私のそばへ駆け寄り、背中をさすってくれた。
そういうのも、今の私にとっては余計に涙が止まらなくなる行動だった。
由「ちが、うんですっ・・」
理「え?・・・・」
由「わたし・・・わたなべせんせいにっ、きらわれたんじゃないかって、・・・・」
理「・・・・・・・・」
由「でもっせんせいだけには、きらわれたくなくてっ・・・おねがいだからっ・・・」
「きらいにならないでっ・・・」
なに言ってんだろ・・・私・・・もう完全にめんどくさいやつって思われた。
由「す、すみません・・・どうでもいいですよね・・・」
立ち上がろうとした瞬間、私は先生の腕の中に閉じ込められた。
由「・・・・・・・・」
理「ごめんね。急に・・・嫌だったら振りほどいていいから・・・・」
そんなこと・・・・・
由「そんなこと、できるわけ・・・ないじゃないですか・・・・・」
理「ふふっ、そっか・・・ねぇ、もうちょっとこのままでいい?」
由「っ///・・・・せんせいっ、」
理「ん?」
由「ホントに怒ってないですか?・・・・」
理「怒ってないよ。」
由「嫌いに、なりましたか・・・私のこと・・・」
理「なるわけないでしょ?」
由「・・・ほんとですか?・・・」
理「ホントにホント!」
その言葉を聞いて再び視界がぼやける。
由「うぅ・・よかった・・・・」
理「えぇ!?また泣いちゃった!?ご、ごめんね?ほんとに泣くとは思わなくて・・・お願いだから泣き止んで~!」
私を抱きしめたまま背中をポンッポンッと優しく叩く。
あぁ、やっぱり私、渡邉先生のこと・・・好きだなぁ・・・
どういう好きかはわからないけどとりあえず、好きなんだ。
由「せんせっ、・・・好きです・・・」
理「っ・・・・それって・・・どういう好きなの・・・・」
由「え?わ、わからないですけど・・・・でも・・・」
「どうしようもないくらい・・・好きなんです。」
理「そっ、か・・・・・うん、私もね、好きだよ。小林さんのこと」
ズキッ
なんか・・・胸が痛い・・・
由「ふふっ、すごい・・・嬉しいです・・・」
私も先生の背中に手をまわし、服を少しだけ握る。
理「・・・・よしっ、少しは落ち着いた?って私のせいなんだけど・・・」
由「はいっ、すみません・・・・」
私たちはまた席に座る。
理「あのね、実は今日呼んだ理由は他にあって・・・・」
由「そうなんですか?」
理「小林さんともっとはなしてみたいなぁーってずっと思ってたの。」
ズキッ・・・
また・・・・
由「は、話って・・・・」
理「んー、自分のことを話してくれたら嬉しいなー。もっと知りたい。小林さんのこと。」
由「・・・・・・・・・」
理「なんでもいいよ!こんなのが好き、とか。」
由「あ、あの・・・先生、」
理「ん?」
由「一つ質問していいですか?」
理「お!いいよなんでもはなしてごらん!」
由「ありがとうございます・・・その、知りたいことがあって・・・」
理「うん、なになに?」
「”恋”って、なんですか?」