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【ロバート・ケネス・レスラー】

(Robert Kenneth Ressler、1937年2月15日 - 2013年5月5日)は、アメリカ合衆国の元FBI捜査官、コンサルタント、司法行動学研究所(FBS)所長。

《略歴》
1937年、イリノイ州シカゴ生まれ。9歳の時、ウィリアム・ハイレンズ(“リップスティック・キラー”の異名で知られる連続殺人犯)の事件に強く惹かれ、犯罪捜査及び殺人者の心理に対して強い関心を持つようになる。

ハイスクールを卒業後、シカゴのコミュニティーカレッジに二年間通った後、アメリカ陸軍へ入隊し、結婚後、沖縄に配属された。

2年の軍隊勤務の後、ミシガン州立大学で学位取得。
そして、大学院で一学期を終え、軍隊に戻った。
ドイツで憲兵の指揮官として過ごした後、犯罪捜査隊(CID)の指揮官となる。
その後、大学院に戻り、修士号を取得。再び、軍で2年過ごした後、FBI特別捜査官となる。

1974年、クワンティコにあるFBI行動科学課の主任プロファイラーとして、大勢の凶悪犯と面談して得た知識により数々の事件の解決に貢献。

引退後は、法執行機関のコンサルタントや裁判の専門家証人をする一方、司法行動学研究所を設立。所長を務めている。

1994年、著書『FBI心理分析官』が日本でもベストセラーとなった。

晩年はパーキンソン病を患い、闘病生活を送っていた。2013年5月5日、ヴァージニア州の自宅で死去。76歳没。

《プロファイリング》
1974年当時、設立されたばかりのFBI行動科学課において、チャールズ・マンソン、ジョン・ウェイン・ゲイシー、リチャード・チェイス、エドモント・ケンパー、ジェリー・ブルードス、ジェフリー・ダーマー、デビッド・バーコウィッツ、テッド・バンディを初めとする殺人犯たちと対談を行い、彼らの心理分析を行いプロファイリング技術の確立に貢献(それらの対談の様子は、レスラーの著書『FBI心理分析官』に収録されている)。
この研究から凶悪犯の犯行原因は幼少期の環境が原因であり、快楽殺人者は更生できないから死ぬまで社会から隔離されなければならないと唱えている。

「シリアルキラー」(連続殺人犯)という言葉を提唱して現在使われるようになった。

作家のトマス・ハリスはレスラーに情報を提供されたことにより『レッド・ドラゴン』『羊たちの沈黙』を執筆し映画化もされた。映画『コピーキャット』の題材にもなっている。
しかし、映画の内容については、新人捜査官をいきなり一人で凶悪犯の面接に行かせたり、登場した連続殺人者についてあのような特徴はありえない。映画のような無能な警察を尻目にプロファイラーが犯人を逮捕することはなく、あくまで捜査の手助けをするだけで地道に捜査をして犯人を逮捕するのは警察であるとレスラーは批判している。

《秩序型と無秩序型》
レスラーは、著書『FBI心理分析官』の中で、殺人を『秩序型』と『無秩序型』の2つに分類している。秩序型の犯人は、事前に犯行計画を練っており、自分の空想を現実にする。その空想は、何年も前から犯人の頭の中で徐々に形作られていくという。
秩序型犯罪の被害者の大半は、犯人とは面識が無く、犯人にはたまたま狙われたという場合が多い。
特定の地域を歩いて、年齢、容姿、職業、髪形、生活様式が決定的な要素となる。
また、秩序型の犯人は、被害者を自分の思うままにするため、謀略によって相手を騙すという手段を取ることが多く、口が達者で、被害者を上手に誘い込むだけの高い知能を持っているという。
また、被害者を殺害する前に、会話をかわすなどして人間として扱う。
レスラーは、この類型をジョン・ウェイン・ゲイシーやテッド・バンディに当てはめている。

一方の無秩序型は、被害者を気まぐれに選ぶ。
殺す標的が、自分にとって殺すのに危険を伴う、状況を思いのままに支配できない相手を選ぶという。
被害者の遺体を見ると、被害者が激しく抵抗したことを示す防御創が見られる場合があるとレスラーは言う。
また、無秩序型の犯人は、被害者の人格には一切の関心を示さない。
会話をかわさず、すぐに相手の意識を失わせたり傷を付けたりして、人格を抹殺し、人間扱いをしないことが多いという。
この点も、秩序型の犯人とは大きく異なる点である。

秩序型の犯人の犯罪は計画的に行われるため、犯行には犯人の論理が示されているが、無秩序型の犯人の犯行には、論理が欠如しており、捕らえられてから自分の犯した行為について説明させない限り、なぜその被害者を選び、その犯行を犯したのかが分からないことが多い、という。

17人を殺害したジェフリー・ダーマーについては、レスラーは秩序型にも無秩序型にも当てはまらない、「混合型」の殺人者であると見ており、「精神異常」を理由として、裁判では情状酌量の余地があり、刑務所ではなく精神病院に収容すべきだと考えた。

レスラーは、大昔から現代に至るまで、どの時代、どの国にも、無秩序型殺人犯は一定の割合で存在しており、何かの拍子で見境いなく人間を殺し、捕まるか殺されるかしない限り、やむことはないという。いつの世にも、こうした殺人犯は存在してきたし、現実の犯罪(殺人)を防ぐことはできないとしている。

《著書》
『FBI心理分析官~異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記~』相原真理子訳 早川書房 1994年 ハヤカワ文庫 2000年
『FBI心理分析官2~世界の異常殺人に迫る戦慄のプロファイリング~』田中一江訳 早川書房 1996年 ハヤカワ文庫 2001年
『FBI心理分析官~凶悪犯罪捜査マニュアル~』
『FBI特別捜査官 裁かれた判事~若き日のレスラー捜査官の事件簿より~』
『FBI心理分析官異常殺人者ファイル』
『快楽殺人の心理~FBI心理分析官のノートより~』ロバート・K・レスラー ジョン・W・ダグラス(元FBI主任特別捜査官)アン・W・バージェス共著 狩野秀之訳 講談社 1995年

《FBIによる犯罪者プロファイリング》
犯罪捜査にはFBIが様々な学問を導入して捜査を効率化することを目的として始められた。米国の場合、地域ごとの州法があり、各州の独立性が極めて高く法制度が大きく異なるため、情報の共有が円滑に行われない上にFBIも暴力犯罪には参画できない。そうした事情もあり、検挙率が極めて低い状態が続いてきた中で、広域型・組織型・非従来型・快楽殺人型といった犯罪の種類だけでなく、事例・事象・経験・データを元に犯人像を絞りこみ、限られた法執行機関の資源(人・物・金)の中で効率的に活動を進めるべく研究されたのがFBIによる犯罪者プロファイリングである。初期のものは犯罪捜査専門家同士の経験則に基づく討論会のようなものであったが、これら経験則をデータベース化することである種の犯罪には一定の共通項も存在することがわかり、犯罪捜査の一環として用いる価値があると判断された。
1972年FBIに行動科学課が創設され、ジェイムズ・A・ブラッセル医学博士、ハワード・テテン、ロバート・K・レスラー、ジョン・ダグラス等がプロファイリングを担当した。プロファイリング関係の書籍で挙げられている事例は、テッド・バンディ事件やジェフリー・ダーマー事件など25年以上前の事件が多い。現在のような高度なDNA鑑定・指紋データベース・コンピュータが存在しなかった過去においては、検挙率を高めるためにはあらゆる学問を総動員しなければならなかった。プロファイリングは、高度なデータベースや鑑識技術がなかった昔に現実の必要性に迫られて発展したものである。
1982年、米国バージニア州クアンティコのFBIアカデミーに「反復殺人者の素性を割り出して犯人をつきとめる」目的でNCAVC(国立暴力犯罪分析センター)が設立され、全国規模の情報交換センターとしてデータベースと専門家を集約し、全米における凶暴犯逮捕プログラムとプロファイリングの中核施設とした。現在このNCAVCの行動科学部特別捜査官に配属されるためには、最低でも修士の学位と一定以上の捜査経験が求められる。
以上の点から判るようにFBIプロファイリングチームは警察に対する助言者であり、犯罪分析専門担当者であり、犯罪研究者であるが捜査官ではない。後述のデヴィット・カンターはFBIプロファイリングチームを評する際に『犯罪捜査コンサルタント』と言う表現を用いている。
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