北海道八雲町の八雲総合病院で月経不順に処方されていた薬が漫然と処方されていたために患者さんが血栓症(おそらく脳梗塞)の合併症を負ったため町を訴えていた裁判で、裁判所は訴えをみとめ1億9400万円の賠償を支払う判決を言い渡したそうです。

 

処方されていた薬はピルだと思いますが、ピルは血栓を形成しやすいことは産婦人科の医者でなくても常識です。また片頭痛などに使用されるイミグランも血栓症を発症しやすいことはよく知られています。そのためイミグランを処方する際は心筋梗塞や脳梗塞の既往がないこと、ピルを服用していないことを患者さんに確認して使用しなくてはいけません。

私の知り合いの医師でピルを服用している時に、イミグランを使用し軽度の脳梗塞を発症した人がいます。医師の不養生ですね。

 

最近では「ラスミジタン」などの新しい片頭痛薬が開発されており、血栓歴のある患者さんにも片頭痛治療ができるようになりました。

 

このように薬を漫然と使用することは危険なのですが、以前から処方されているからと言って同じ処方を続けることは危険です。「ピル」を処方し続けていても他院からイミグランを処方されていないかを確認することは医師の責任です。しかし私の周りの医師は他院から処方されている薬に興味を持たない人が多い印象です。

 

日本の卒後研修では「病棟研修」が中心であり、「外来研修」がないがしろにされてきました。外来研修を行っていないと問診で患者さんに聞くべき問診事項などを研修医たちは学ぶ機会がありません。新しい研修制度でようやく外来研修が取り入れましたが、指導できる医者が少ないのが現状です。