糖尿病とは血糖値が上昇する病気です。本来は糖(血)病なのですが、血糖が上昇すると尿中の糖も上昇します。細胞内に糖が取り込まれないので血糖値は上昇しますが細胞内は飢餓状態です。細胞内でブドウ糖が利用できないと脂肪をエネルギーとして利用します。脂肪の利用が過多になりすぎると体内でケトン体が合成されて不調をきたします。

 

糖尿病には主に二つのタイプがあります。内服で治療するタイプとインスリンが必要なタイプです。内服で治療するタイプは細胞受容体の異常であり、ブドウ糖を細胞内に取り込めなくなります。これに対し、インスリンが必要なタイプは膵臓からのインスリン分泌が低下します。

 

当初は内服で治療できていても、長期の年数が経過するとインスリン分泌が枯渇しインスリンが必要なタイプに移行することもあります。内服で血糖コントロールが良好だった患者さんが急に血糖コントロールが悪くなったときは①内服できていない可能性 ②食生活が大きく乱れた可能性 ③インスリン分泌能が低下した可能性を考慮します。

 

インスリン分泌能は血液検査の「C-ペプチド」を測定して判断します。

 

地域医療を行っていて前医から患者さんを引き継いだ時、「C-ペプチド」を測定されているのを見たことがありません。血糖コントロールが悪くなっているにも関わらずです。もちろん糖尿病を専門にしている医者は測定しています。しかし糖尿病を専門にしていなくても地域医療をおこなうプライマリケア医なら測定するべきです。C-ペプチドを測定せずに内服薬を増量されるのです。

 

このような医療は患者さん側からは見えません。プライマリケアを行うなら非専門分野も学び続ける必要があります。