SUSAC症候群については片頭痛の項目で触れました。SUSAC症候群は脳、網膜、内耳における原因不明の微小血管障害です。小児から成人まで報告があります。症状としては難聴、視野の障害、頭痛、発熱を伴います。頭痛が出現する場合は神経症状を伴う片頭痛との鑑別が必要となります。あまりメジャーな疾患ではないのでSUSAC症候群という名前すらしらない医者が多いと思います。

 

頭部のMRIで白質に異常信号を認めます。MRIでの異常信号から神経sweet病、神経ベーチェット病、多発性硬化症などとの鑑別も必要となります。明確な診断基準はありません。

 

Brain. 2022 Apr 29;145(3):858-871.doi: 10.1093/brain/awab476.

に総説が記載されています。

以下に要約を記載します。

 

スザック症候群は、血管内皮細胞に対する自己免疫反応が介在すると考えられている疾患で、脳症、分枝動脈閉塞による視覚障害、感音難聴という特徴的な臨床三徴候を引き起こす。 脳症、分枝動脈閉塞による視覚障害、感音性聴覚障害という特徴的な臨床三徴候をもたらす。網膜蛍光血管造影、視神経干渉断層計、MRI、音波聴力検査は、治療中の疾患活動性の診断とモニタリングに有用な方法である。対照的に、疾患活動性をモニターするための信頼できる客観的な血液免疫マーカーはない。現在の治療法は免疫抑制療法であり、高用量のコルチコステロイド療法が中心であるが、免疫グロブリン静注療法、シクロホスファミド療法、リツキシマブ療法、ミコフェノール酸モフェチル療法などの追加療法がしばしば必要となる。残念なことに、罹患率の低さ、発症の多様性、客観的バイオマーカーの少なさが、スザック症候群治療のための前向き対照臨床試験を困難にしている。そのため、現在の免疫抑制療法は、主にレトロスペクティブな症例シリーズや専門家の意見から得られた経験的証拠に基づいている。本総説では、スザック症候群の鑑別診断の必要性に注目する。