Blue in Blue fu-minのブログ〈☆嵐&大宮小説☆〉

嵐、特に大野さんに溺れています。
「空へ、望む未来へ」は5人に演じて欲しいなと思って作った絆がテーマのストーリーです。
他に、BL、妄想、ファンタジー、色々あります(大宮メイン♡)
よろしかったらお寄りください☆


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シーンは変わり中3の冬、最終の三者面談の進路指導室。

翔の隣には神妙な顔をした父親が座っていた。

 

 

「櫻井、本当にT高校でいいのか? 君の成績なら、どこの高校でも狙えるんだぞ?」

 

担任の教師が何度目かの意思確認をする。学校側にとってはもっと難関の私立高校にでも進学してもらって、この中学の名を上げて欲しいと思うところだろうが、翔の意志は変わらなかった。懇願するような担任の視線を正面から受け止める。

 

 

「はい、以前にも言ったと思いますが、僕が将来家業を継ぐ時、日本の経済は今よりもずっと伸び悩んでいる状況だと思うのです。父の会社は今は文房具一本ですが、激しい競争社会の中、生き残っていく為にはもっと多岐に渡って事業を展開していかなければならないのです。経営の勉強はいつでも出来ます。頭と心の柔軟な今の内に、芸術の分野を学んでおけば絶対に将来のために役立つのです」

 
きっぱりと言い切る。

 

「さすがだな、翔。お前はもうそんな先のことまで考えているのか。我が子ながら見上げたもんだ」

 

社員の間では厳格なことで有名な初代社長だが、優秀な我が息子は自慢の種で、その聡明さにすでに全幅の信頼を置いていた。

 

(悪い、親父)

 

涙ぐまんばかりの感激した表情で満足げに頷く父に、翔は心の中で詫びた。今滔々と述べた口上は、単に智と同じ芸術系のT高校に進みたいがために考えたこじ付けだった。

 

担任が諦めたようにふうっと息を吐いた。

 

「そこまで考えているのなら、もう何も言わんがな。私は君はてっきりは松本と同じN高校に行くもんだと思ってたよ」

 

担任は、同級生の松本潤の名を出した。いつも翔と学年のトップ争いをしているライバルであるが、小学校からの幼馴染でもあり普通に仲がいい。翔もずっとそのつもりでいた。

 

あの日、智と出会うまでは。

 

「勉強は続けます。そして三年後には潤と同じ大学に入るつもりです」

「そうか。うん、櫻井ならやれると思うが…。逆にT高校はな…。いや、成績面ではなんの心配もいらんのだが、何しろ入試科目には実技があるからな…」

「はい、その辺りは充分自覚していますので、先生方に助言を頂きたいと思ってます」

 

『翔の絵って、独創的だよね』

 

ふと、智の言葉を思い出す。決して『ヘタだ』などと言わないところが智らしいと思ったが、自分の絵を見つめている真剣な目は、本気でそう思っていることを語っていた。

 

『僕にはこんな解釈は絶対に出来ない』

 

 

などと呟いて、翔の描いた美術の課題の名画『モナリザ』の模写を飽くことなく眺めていた。

 

 

 

 

 

 

数か月後、翔は担任と美術教師の多大なるフォローにより、あまり実技に比重を置かない学科を選択して、何とかT高校に滑り込んだ。実技のマイナス評価を、最高点を獲得した芸術理論のペーパーテストで補った最善の結果だった。

 

(高校生活は充実していた。俺は、智の姿を追い、声を脳内に取り込み、決して気取られぬことのないよう、智の全てを心に刻んだ。そして何よりも智の絵を愛して、その才能に惚れ込んだ。俺の夢と野望は智を中心にして芽吹き、育っていった…)

 

 

 安らいでいる脳は、さらに過去を辿る。

 

高校1年の夏休み、鎌倉に行った。芸術系の学校らしく、日本の古美術や工芸品をモチーフとして何らかの作品を提出せよという課題が出ていた。

 

「まったく、もっと明快な文章で説明して欲しいよな」

 

 

歴史ある美術品と言えば鎌倉という単純な発想で電車に乗ったが、翔はどこから手をつけてよいのかまったく分からなかった。シートに座り、課題の書かれたプリントを読み返しながら途方に暮れる。

 

「こんな曖昧な書き方じゃ何も分らない。具体的な例を提示すべきだ。そうだろ?」

「何でもいいんじゃない? 翔は考え過ぎなんだって」

 

もちろん、隣には智がいた。

 

 

「それが出来れば苦労しないよ…」

 

発車のアナウンスが流れ、電車が静かに動き出す。

 

「それより、帰りにちょっとだけ、海にいこうよ。烏帽子岩に沈む夕日って、映像でしか見た事ないんだ」

 

智はまるで、遠足気分の小学生のように楽しげに窓の外を眺めている。翔はため息をついた。先日受け取った一学期の成績表が頭を過ぎる。ある程度覚悟はしていたが、まさかあんなにひどいとは思わなかった。

 

翔が在籍している『美術科・芸術理論コース』は、芸術全般の歴史や知識を学び、美術評論家、鑑定士、美術館職員や学芸員、画廊経営等の職業につくことを目標としている。なので実技はあまり重要視されていない。だが、やはり最低限の画力は必要とされていた。

 

夏休み前、職員室での教師の言葉が甦る。

 

「言いたくはないが、今の君の状況では合格点は上げられないな。最終目標はどうでも、ある程度の基本は身につけておかなければならない。君は、聞けば中学の成績はかなりの物だったらしいじゃないか。何故、この学校を選んだのかは解らないが…」

 

手には、学期末に提出した翔のデッサンを持っている。その口元が何かを堪えるように微妙に曲がったのを翔は見逃さなかった。

 

「…ま、とにかく、夏期休暇の課題は必ず提出しなさい。君の場合、他の科目は全て優秀だから、実技に関しては完成、提出を目標としよう」

「はい、ありがとうございます」

 

席を立ち、職員室のドアを閉める為に振り返った時、教師の肩が上下に揺れているのが遠目にも分かった。

 

 プライドを傷つけられる事が何より嫌いなはずなのに、こうして他人に自分の絵を笑われても、不思議なことに全く気にならなかった。そんな事は、智の絵を間近で見られ、その日々の進化を肌で感じられる事の感動に比べれば、ほんの些細な事だったのだ。

 

智はというと、入学後1ヶ月のうちにすでに周りに一目置かれる存在となっていた。

 

入試の際に決められた短い時間で描かれたデッサンは、その完成度において群を抜いており、速攻で学校案内のホームページにアップされた。

その後も智の作品は、ほんの落書き程度の小さな物でも、どこか独特で個性が光っており、校長室の隣の、校内の優れた作品を集めた『ミュージアム』と名付けられた部屋に常時展示してあった。

 

 

そして、来客や時折訪れるOBの画家達に絶賛を浴びていたのだ。だが、翔とは逆に、他の一般教科はかなり苦手だった。ペーパーテストも赤点ギリギリだったが、何より重要視される絵の才能のお陰で、かなり大目に見てもらえていた。

 

翔のデッサンを見て笑いを堪えていた教師が、

 

「全く、君と大野君を足して2で割れば、パーフェクトなんだがな…」

 

と本気でぼやいていた。

 
 
 
 
.....そのもう片方は、最悪だけども。
 
 
 
 
 
 
続く。
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