街はクリスマス一色で、今年ももう、そんな季節なんだね。

心に残るクリスマスを、誰かと過ごしたことがありますか?
今の彼とは、クリスマスイブを一緒に過ごしたことはないけど、今でも心に残る思い出がある。
彼とまだ、付き合ってもいない頃に、彼からこんなことを聞かれた。
『クリスマスイブは、何しているの?』
衣料品店で働いていた私には、クリスマスは稼ぎときだったから、
『仕事だよ。』って答えると、
『家に帰ったら、ケーキとか食べるのか?』って聞いてきた彼。
『私、ケーキが大好きなんだけど、ホール食いしたら太るでしょ?せっかく痩せたから、ケーキは我慢かな…』って、笑いながら答えると、
『俺が、買ってやるか?』って。
私は、そんな彼に、
冗談交じりで、
『どうせさ、◯◯さんが買ってくれるのって、スーパーで売っている¥99円くらいの安いケーキでしょ!どうせなら、大きいケーキが食べたい!』って、彼に言いながら笑いかけた。
クリスマスイブの夜、仕事終わりに買い物をしていると、彼が私の所に来て、
『クリスマスケーキ買ってたから!』って言いながら、ケーキが入った箱を渡してきた。
近くで私の同僚も買い物をしているし、彼の職場の人たちも側に居て、私は彼から、それを受け取る事が出来ませんでした。
冗談で言ったことを覚えてくれていて、嬉しくて、ドキドキも止まらないくらいだったのに、
『◯◯さんからは貰えないよ。。。』
『だから…
お子さんに持っててあげて。。。』って、
そう言って、せっかく用意してくれたケーキを受け取らなった。
彼は、『なんで?買ってあげたかったから、買ったのに…』って言いながら、少し寂しそうな顔で私を見ていた。
『本当に要らないのか?』って、聞き返して来た彼に、私は小さくうなずいた。
彼は、
『わかった…』とだけ言って、ケーキを右手に持ちながら、店の外に歩いていった。
そんな彼の後ろ姿を見ながら、私は心の中で、『ごめんなさい…』と、何度もつぶやいてた。

家に帰ってからも、
ずっと彼の寂しそうな背中が、目に焼き付いてて、
頭から離れなかった。

その姿を思い出していた。
あのとき、なんで私なんかの為に、クリスマスケーキを買っててくれていたのかは、その後付き合うようになってからも、一度も彼に聞いたことがない。
彼もあの時のことには、一度も私に触れたことがない。
何気ない会話を覚えててくれたこと、私の為に用意してくれたクリスマスケーキに、すごくすごく嬉しかったのに、
家庭のある彼からは、貰っちゃいけないと、気持ちにブレーキをかけて、素直になれなかった私。
もし彼に、家庭がなかったなら、あのとき私は、素直に受け取っていたはずだ。
『ありがとう』と言って。。。
あのクリスマスイブから、11年の月日が経つけど、
イブの夜は、毎年のようにあの時のことを思い出す。

あの時のことを思い出しながら、イブの夜は、過ぎていくことでしょう。。。