収録中、アコのことが気になって仕方なかった。
それでも俺はプロなわけで。
私事で仕事を疎かにするわけにはいかない。
テンションを上げすぎて、自分でもコントロール出来なくなっている俺を、メンバーがフォローしてくれどうにか収録は終わった。
「本日は以上になりまーす!おつかれさまでした!!」
「「「「「ありがとうございましたー!」」」」」
スタッフさん・番協さん達に挨拶をして捌ける時
「ニノ、先行きなよ。」
そう言って行かせてくれた。
急いで戻りアコに電話をする。
…何度かけても、呼び出し音が延々と続くだけでアコの声は聞こえてこない。
心配のし過ぎなのか。もう寝て るだけかも。
他のメンバーも戻ってきた。
「ニノ、アコちゃんなんかあったの?」
『いや、ちょっとおかしかったんすよ、様子。いつもと違うっていうか。』
「で、繋がったの?電話。」
『いや。出ない。』
「寝てるだけってこともあるかもよ~?」
『私も、そうであってほしいと思ってるんだけど。ちょっと心配なんで、お先失礼します。すんません。』
マンションに着くとアコの家へと直行した。
合鍵を使って中へ入るが…中は真っ暗。
『アコ…』
アコはいつも寝る時、常夜灯を点けて寝る。
それが点いていない。
『アコッ!!』
玄関から叫ぶようにしてリビングまで入った。
また過呼吸の発作でも起きたのか。それとも……⁉︎
手探りで電気を点ける。
パッと明るくなったリビング。
アコは……⁉︎
そこにアコの姿はなかった。
『アコッ!』
寝室にもいない。
『アコッ!』
トイレにもいない。
まさか⁉︎風呂場⁉︎
『アコッ!!』
祈るような思いで俺は、洗面所まで行き風呂場の戸を開けた。