げ、もうお昼だ。あぁ~まだまだ寝れそう。
カズさんは…お仕事だよね。
何時に行ったんだろ。ちゃんと謝罪とお礼しなくちゃだなー。
とりあえず、カズさんへメールをする。
>おはようございます…。
昨日はご迷惑おかけしてすみませんでした。
今日は何時までお仕事ですか??
早く帰れるなら、昨日の謝罪とお礼を込めてハンバーグを作ろうかと思っていますが、いかがでしょうか。
お仕事頑張って下さい。
シャワーを浴びて戻ると返信がきていた。
≫おはよう。
今日はそんな遅くなんないと思う。ハンバーグ楽しみにして帰ります。
やった!カズさんと一緒に過ごせる!
買い物行こっ!!
ご飯を食べ、支度をして家を出る。鍵をかけようと鍵を挿して回そうとするが…
あれ⁉︎回らない。え⁉︎壊れた⁉︎なんで??
鍵を抜いたり挿したり。玄関の中へ入って鍵をかけたり開けたり。もう1度外に出て鍵を挿したり抜いたり回そうとしてみたり。
おっかしいな~本当に壊れちゃったのかなぁ。鍵屋さん呼ばなきゃダメ?困ったなぁ。
よし、もう一回やってみよう!
この鍵を……
って、あれ⁉︎家の鍵2個になってる!!え?なんで⁉︎
家・トランクルーム・会社のロッカー・実家の計4つだった鍵が、5つに増えていた。
全く記憶にない。
とりあえず、そのうちの一つを挿してみるが…回らない。
それじゃあ…と、もう一つを挿してみると……
カチャン!
回った~!!
え?じゃあコッチの鍵は何…?
ふと、カズさんの笑いを堪えた澄まし顔が浮かんだ。
…⁉︎カズさん!!
クククッ
今度は腕で口元を隠して笑うカズさんの顔が浮かんだ。
もぉー!すごい焦ったよぉ。
汗だくだよぉ!
文句を言いながらも、道中も買い物中も、嬉しくて嬉しくてその鍵を握り締めたり眺めたりしてニヤニヤしていた私。
帰宅してからは、ダイニングテーブルの上に鍵を置いて、眺めながらご飯の支度をした。
カズさんからの帰るコールがきた。
私はいつも通り、ベランダから外を眺めカズさんの車を待ち、カズさんの帰宅を待った。
「おかえりなさーい!」
『ただいま。ちゃんといい子にしてた?』
「うん。あ、オウチの鍵がね、壊れちゃったかと思ってピンチだったんだけどね、あとは大丈夫だったよ。」
『オウチの鍵?』
話をしながらリビングへ入り、ダイニングテーブルの上にある鍵達を見付けると、カズさんは『ククッ』と笑って
『そういうことね。さすがアコちゃん』
と言った。
「もぉー笑い事じゃなかったんだからー。鍵は挿さるのに回らなくって、本当に鍵屋さん呼ぼうかと思ったんだよー!
……でも。
ありがとう。とっても嬉しい!」
私はカズさんに後ろからギュッと抱き付いた。
『……く、苦しい。』
「あ、ごめん。」
抱き締める腕を弱めると、カズさんはクルッと向きを変え私を正面で抱き締めた。
私はカズさんの腰に手を回し応える。すると、
……⁉︎
「もう、カズさん…///」
カズさんの真ん中が主張しているのに気づいてしまった。
『仕方ないんすよ、アコのこと大好きなんでね。もう自分じゃどうしようもできない、こればっかりは。』
「もう…///」
身体中が熱い。
『アコちゃん、耳まで真っ赤よ?大丈夫??
ところで “コレ”どうします?“昨日のお詫び”してくれてもいいけど??』
…無言で首を横に振る。
『あ、そうね。後でにしよう、お楽しみは…』
そう言うとカズさんは口角を上げたまま、洗面所へと行ってしまった。
残された私は1人、手で顔をパタバタ仰いでキッチンへ向かうのだった。
「ふぅ~。カズさんったら…」