文字数オーバーにて、メリクリ④は同日1分違いで④-1と④-2の2つに分けてアップしています。
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「あ~~!くそぉ!!」はぁ。はぁ。はぁ。はぁ。
息が切れて足は震え、膝に手置き下を向いて立ち止まった。
サンタからのエールに見えていた雪が、今では邪魔くさくてしょうがない。
もしかしたらこっちじゃないのかもしれない。
あっちで帰るって可能性もある。
あっちも行ってみよう。
そう思って顔を上げた時。
……!
君の姿が目に入った。
「おい!ちょ、待って!」
『……⁉︎⁉︎ なん…で。バイトは…⁉︎』
「ははは。」
はぁ。はぁ。はぁ。はぁ。
「抜けて…きちゃったよ……」
はぁ。はぁ。はぁ。はぁ。
『なん…で。』
「なんでって…。それ聞きたいのは………こっちでしょうよ」
はぁ。はぁ。はぁ。
『ふふ!あははは!』
君は急に楽しそうに笑い出した。
「なんで……笑ってんの……」
はぁ。はぁ。はぁ。
『だって 真っ白な雪の中でなんかケーキの上の苺みたいなんだもん。』
「え?」
俺は夢中過ぎて、今の今まで気が付いていなかった。自分がサンタクロースの格好のまま走り回ってたことに。
『いやいや、わざとよ、わざと。君を驚かそうと思ってのことよ。』
そうわざとらしい言い訳をして君を見ると、この三日間で1番の笑顔で俺の事を見ていた。
あまりに綺麗な君の笑顔に見とれ、目がそらせない。
君の瞳に吸い寄せられるように、俺は君を抱きしめた。
せっかく落ち着いてきていた胸の鼓動が、また早まるのが分かった。君を抱きしめながらそっと深呼吸をして呼吸を整える。
体を離し君の目を見て最後に一言。
「メリークリスマス!」
俺はそれだけ言うと走ってバイト先へ戻った。
なぜなら。
上がりの時間までにあと2個ケーキを売らなくてはならないから。
今日の目標個数…。
俺のケジメ。
自分で決めたルール…。