メリクリ② | 01-maiのニノ & 3児の母ちゃん blog

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嵐・二宮和也❤︎に関するつぶやき〜

夢で会えたお話。
妄想のお話。


23日(金)
勢いで決めたバイトの日がきた。

よくよく考えると、クリスマスを幸せに過ごそうとしてる奴らにケーキを売る仕事なんて…傷口に塩を塗るようなもんじゃないか。
他にもっと何かあったろうに。


「あぁー、めんど。やめときゃ良かったよ。」



重い体を引きずってどうにかバイト先へと行った。


「お疲れ様っす。3日間よろしくお願いします。」


「おぉ、こちらこそよろしく頼むよ。この間説明した通り、このサンタの服着て店先でケーキを売ってね。マニュアルはこっち。あ、それと、こちらが3日間のバディね。ま、お互い挨拶でもして、仲良くよろしく!」


「あ、はい。」


この間の子と一緒だ。


『よろしくお願いします!』


「こちらこそよろしくお願いします。俺、やったことないんだよね、こういうの。」



『大丈夫ですよ!ニコッって笑うんです。心のこもった笑顔って伝染するんですよ。自分の笑顔で相手が元気になってくれるかもって考えると、嬉しいですよね!』

君の飛び切りの眩しい笑顔を見ていると、自分も自然と笑顔になっていて、面倒臭いと思っていた気持ちがいつの間にか 楽しそうだな という前向きな気持ちに変わっていることに驚いた。

今、目の前にあることをきちんとやろう。





「いらっしゃいませー!」

心を込めた笑顔…。
心を込めた…って、心ってどやって込めんだよ。
そんなヘタクソな笑顔の俺に反して、
隣の君は


『いらっしゃいませ!いかがですかー!』
キラキラとした100%の笑顔をケーキに添えている。同じケーキなのに君の前にあるケーキの方が美味しそうに見えるのは目の錯覚だろうか。



それにしても寒い。

「う~寒っ。」


『大丈夫ですか?』


「君は平気なの?」


『カイロも貼ってるし、防寒対策バッチリですから』
そう言ってまたキラキラの笑顔を向ける。


その君の笑顔があまりに眩しくて、つい目を逸らして星空を見上げた。



「冬のこの星空の下で、………………んだろ…」



『え?なんですか??』



「あ、いやね。こんな綺麗な星空の下で、何人のサンタクロース達が働いてんのかなーって思ってさ。駅前だけでもこんなにいんのよ?」



『うふふ。そこですか?せっかくのクリスマスなんだから、なんかもっとこうロマンチックなのとか家族団らんとかあるでしょう?』



「ん~俺さ、良い思い出ってないのよね、クリスマスに。お願いするんだけどね、今年こそはってさ。でも叶えてくんねぇのよ、サンタクロースの奴。」



『ふーん、そうなんですね。今年こそはサンタさんからプレゼントもらえるといいですね!』


そう言って君はまたキラキラの笑顔をくれた。
その笑顔を見ていると、寒い体とは裏腹に  このままでいたい…  なんて、思う俺がいた。





「お疲れ様でした。」



「お疲れ様~。また明日もよろしく。」


「はい。こちらこそお願いします。」


店長へ挨拶し事務所を出ると君が居た。


「お。お疲れ様。」



『お疲れ様です!明日もまたよろしくお願いします!」



「そか。3日間同じだもんな。よろしく。…あ、俺さ、なんとなくわかった気がする、君が最初に言ってた事。」



『私…何か言いましたっけ??』



「あれよ、あれ。心を込めた笑顔は伝染する  とかってやつよ。何言ってんだろって思ったよ、初めはね。けど君を見てたらいつの間にかなっちゃってたのよね、笑顔に。」



『本当⁉︎嬉しいな。私の笑顔であなたを笑顔にできたなんて、本当に嬉しい。』



その時俺は、君の事まだ何も知らないけど   この笑顔を大切にしたい   って思ったんだ。


『ん?どうかしたんですか?』



「あ、いや、なんでもないよ。どっちかなっと思って、帰る方向。」
ありがちだけど、奇跡的に同じ方向だったり…するわけねぇか。





『…◯◯です。』



ありがちな奇跡…あった。
「あ、じゃ、帰り道同じだ。俺、△△。」



こうして俺たちは途中まで一緒に帰る事になった。

このバイトをしようと思った理由とか、地元はどこかとか、普段何してるとか、他愛もない話で盛り上がった。
沈黙が気まずい…なんて事がないくらい、君との会話は楽しかった。

けど、君とのこの微妙な距離がもどかしい。手が触れそうで触れない。
もう少し。…あと少し。




しかしあっという間に別れの時。


『じゃ、私ここなんで。また明日よろしくお願いします。お疲れ様でした。』



「んん、帰り気を付けて。また。」






俺は自宅に着き、いつもの流れでいつもの通りビール片手にゲームを始めた。
しかし昨日までと明らかに違うことがあった。

頭に浮かんでくるのは君の事ばかり。
君の笑顔。君の声。君との会話。もどかしい距離。
君にもっと近付きたい。君の事をもっと知りたい。俺の事も知ってほしい。

どうにかならないかな…



「あ、そうだ。今年のお願いはこれにしよう!今年こそは叶えろよ、サンタ。いや、サンタクロース様、お願いします。」