F5緊急ニュース
フィンガー4なんてありえないよ!
晃が変声期!?妙子もダウン
F5はもうダメなの?
メンバーがファンの疑問に率直に答える
晃の声がまだかすれるときがある。
その心配にくわえて、妙子の病気。
「晃と妙子が、もし抜けたら、F5はどうなるの?」
そんな疑問が、ファンに起こるのも無理はない。
そこで、F5のメンバーは…。
F5の兄妹に危機説が…
「フィンガー5が解散するって、ほんとう?」
「フィンガー5の妙子が抜けて、フィンガー4になるんですって?」
このところ、こんな問い合わせの電話や手紙がST編集部に殺到している。
とくに連休前後の富山や大阪での地方公演以来、それは激増した。
というのも、このとき妙子が出場したのは、ショーの3分の1程度だったから、妙子は引退するのかもしれない、という噂が流れたのだろう。
たしかに、4月はじめ、国際放映のスタジオで腹痛を起こして以来、妙子の体調は思わしくない。
そのとき、肝臓が腫れていると言われた診断は、その後の精密検査で、
"一時的な現象で異常はないものの、激しい運動は避けること"
という診断にかわり、まずまず関係者をホッとさせた。
そんな妙子にくわえて、4月の"ウエスタンカーニバル"でいためた晃の喉の状態も、パーフェクトとはいえない。
あめをしゃぶったり、楽屋で吸引器をあてたりしているが、ときとして声がかすれたりする。
こんなことから、フィンガー5の危機説が生まれたのだろうけれど、これに対して長男の一夫は、
「解散したって、もともときょうだいの5人ですから結局帰るところは同じです」
と冗談めかして、解散はあり得ないと言い切る。
「晃は変声期でしょう?」
というファンの声に、
「晃の喉を悪くしたのは、ぼくに責任の一端があるんで、まだ変声期じゃないんです」
と頭をかくのは正男。
正男が空手映画の『燃えよドラゴン』を観て、空手のまねをしてみせたのがいけなかった。
刺激を受けやすいタチといおうか、何事も素直に吸収する美徳のためといおうか、晃はさっそく正男の影響を受けて、
「キェーッ!!」と、奇妙な声をあげては、飛び上がったり、ひっくりかえったり…。
「よーし、相手になるよ」
「キェーッ」
「ギャオーッ」
と、妙子がこれにからんで、楽屋はにぎやかそのものになったのだ。
もともと、ステージでもアクションの激しいところへもってきて、楽屋でのアクションも激しいーーとなれば、疲れるのは当然。
それに、人気街道まっしぐらのフィンガー5にすれば、スケジュールもハードそのものだった。
3月までのスケジュールをみると、夜の8時、9時まで生番組に出演し、そのあと新聞、雑誌の取材、あるいは次のテレビの打ち合わせなどでギッシリ。
当然わが家に辿り着くのは午前2時近く、ということで、いかに若いフィンガー5といえども、グロッキー気味ではあったのだ。
そこでまず、スケジュールの調整をして、負担のかかりすぎを正すとともに、まず妙子の身体を丈夫にしようと考えた。
かわいい妹のためならば
「いいかい、妙子に生タマゴを毎朝食べさせること」
「うん、ぼくらもいっしょにたべよう」
「そうすりゃ、妙子もきらいだなんて、わがままいえないしな」
一夫、光男、正男が相談するのを、横からきいて晃が、
「ウエーッ、ぼくもかい」
と顔をしかめる。
「バカ、当たり前だ、妙子のためだからな」
一夫にいわれて、晃もしぶしぶ承知。
衆議一決で、玉元家の朝食のテーブルにそれぞれ、生タマゴがつくようになった。
玉元家の朝は忙しい。
一夫をのぞいて4人がそれぞれの学校へ行くので、慌ただしいのだけど、そのなかで、学校の近い妙子が、いちばん遅く朝食のテーブルにつく。
その妙子へのデモンストレーションのために、一夫もまじえて4人が全員、タマゴのからをテーブルに残しておく。
"みんなも生タマゴを、飲んだよ。妙子も飲みなさい"
という意思表示で、これでは妙子も飲まざるを得ない。
ところで、晃も実は生タマゴがあまり好きではない。そこで妙子の茶碗に自分の分の生タマゴを、割って入れておき、こんな置き手紙を残しておく。
"妙子が1日も早く元気になるように、ぼくの分のタマゴも妙子にプレゼント"
そんな日の夕方は、楽屋でこんな騒ぎが始まる。
口をアーッとあけて、吸入を受けながら晃がいう。
「モー、ジニャンニャロ(もう時間だろ)」
「ちがう、まだ始めたばっかだぞ」
妙子がチラッと腕時計をのぞいていう。
が、じつはもう10分以上も過ぎている。
「ヘンニャラァ(へんだなあ)」
「へんじゃない。私がちゃんと計ってる」
「オハエニャアテニャラハイヨー(おまえじゃ、あてにならないよ)」
妙子にたっぷりサバを読まれて、晃のアゴはがくがくになってしまうのだ。
これからのF5を見て!!
負けず嫌いの妙子だから、ステージは休まないと言い張ったのだけど、富山や大阪のショーのように、妙子の出番は最小限にとどめるようにしている。
「楽屋でひとりポツンと待っている妙子もつらいだろうけれど、ぼくたちだって妙子のことが気になるんだよ」
光男のことばに、妙子はうなずいて、いまではダダをこねなくなったという。
そのかわり、妙子はいじらしいほど、楽屋で兄たちの世話を焼く。
ステージが終わってもどってきた兄たちの着替えを手伝い、つぎの出番に備えて靴を並べるなど、なかなかの世話女房ぶりだ。
妙子にしてみれば、そうやって自分もショーに参加していると、いいたいのだろう。
「早く行かないと、時間に遅れるよ、と妙子に背中を叩かれると、ああ妙子も出たいんだろうなあと、しみじみ思うんです」
と一夫はいうが、いまはとにかく、我慢してもらうよりしかたがない。
晃、妙子という義務教育期間中の2人のために、8時以降の生番組、たとえば"ベスト30歌謡曲""紅白歌のベストテン"などの出演はとりやめたし、毎週土曜日は完全に休日にするスケジュールも組んだ。
「いままでは、スケジュールに振り回されてました。テレビなどで疲れた表情をファンにおみせしていたことは反省します。今後のぼくらを見てください!」
と一夫はいい、これを機会に、ひとりひとりのソロを、ショーに取り入れて行くという。
5人のそれぞれの個性を表面に押し出すとともに、残りの4人が休める、という一挙両得のプランだ。
その成果は8月22日から25日まで、浅草の国際劇場でひらく"デビュー1周年記念リサイタル"で、とくにみごとに花を咲かせるだろう。
そのためにもジャクソンファイブやオズモンズの公演などを、一夫、正男、光男が研究中だという。
「解散などとんでもない。ぼくらは近い将来、アメリカでショーを開こうと、話し合ってるほどです」
大きな希望を語る一夫のもと、フィンガー5はますますガッチリとスクラムを組んだ。
そのスクラムのなかで、晃ののどはもちろん、妙子のからだも、メキメキ復調している。