僕は海外の友人や選手を自分の可能な範囲で、もてなす事を心掛けています。

大前提として、「好き」な選手と一緒にいます。好きも様々あり、プレースタイルが好き、性格が好き、考え方が好き、など特定ではなく様々な好きや尊敬するものを持つメンバーにするようにしています。

それは、まず一緒にいて気持ちいいから。これは同じ時間を過ごす上で最も大切な事だと思っています。
次に、何かを学ぶものを持っている人。しかしながら、与えて貰ってばかりでは相手側にメリットがないので、与えてもらうだけでなく、僕も何かを与えられるように、「場」を作ったり、また技術的な事や考え方に関しても隠さずにシェアするようにしています。

初めて海外に出た時に、右も左も分からず、試合に出てもすぐ敗退。とてもじゃないけど世界一を目指せる場所に居ませんでした。
なので、彼らから教えを乞いたいと思ったのです。しかし、練習を申し込んでも、小さい無名のアジア人が相手をして貰える訳もなく。

当然の事でしたが、悔しい思いをしたのを覚えています。
では、どうすれば彼らが教えてくれるのか?
答えは簡単。仲良くなればいいのです。

1. 教えてもらう=僕が与えて貰う
2. 僕が与える=??

この、??を埋めるところから始めたのです。恐らくこの??は人によって違うので、彼らが望んでいるものを考えました。
(強くなるのが手っ取り早いのですが、強くなる為の手段を僕は当時持ち合わせていなかったのです。)

ニーズがあったのが、日本開催の大会の時に、楽しい時間を過ごしたいということでした。

買い物行きたい、美味しいものを食べたい、観光したい、クラブに行きたい、など多岐に渡っての要望がありました。
当時の僕はお金も人脈も何にもありませんでしたが、ガッツと時間はあったので、彼らが望む要望にできるだけ応えるようにしました。
そうすると徐々に彼らも練習の輪に入れてくれ、また技術的な事も教えてくれるようになりました。
でも、それ以上に大きかったのが、彼らのニーズに応えるために、考え、企画し、準備して、行動した事が自分にとって楽しく、そして、色んな意味での社会勉強になっていたのでした。
昨年には、親友のエルワン・ルペシュー選手の結婚式に出席するためにフランスのプロバンスまで行くという貴重な経験も出来ました。
英語も得意じゃなく、人見知り(言ってもなかなか信じて貰えませんが)の僕が出来たのだから、そう難しい事ではないと思っています。
要はそこまでして、勝ちたいかどうかです。
事の発端は、世界で勝ちたいという強烈な思いです。そのエネルギーがあったから出来たのだと思います。純粋な気持ちと少しの手段があれば自分自身の可能性は大きく広がると思います。
面倒臭いと言う人もいます。そうなんです、面倒臭いのです。面倒臭い事は他の人がやらないので、他と差を付けるチャンスなのです。

競技結果と直接的に関係しない為、肯定的でない選手やコーチもいますが、長い時間軸で考えたら絶対にやった方がいいと信じています。

先日の高円宮牌の食事は優勝したアメリカのメンバーとフランスのメンバーが何故か揃いました。試合では悔しかったですが、こうやって彼らのお祝いを出来ることを嬉しく思いながら楽しく過ごしました。是非、海外に出るチャンスのある人は積極的に絡んでいきましょう。

今では、損得だけでなく、楽しい時間を過ごせる友人が出来ました。

その存在も、その時間そのものも僕にとって『財産』なのです。
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