アメリカの狂気
共和党予備選でトランプ氏連勝のご機嫌…いよいよ迫られる日本の「もしトラ」への覚悟
今年11月の米大統領選に向け、共和党予備選の第2戦が23日、ニューハンプシャー州で行われ、トランプ前大統領(77)が連勝した。初戦のアイオワ州で2着だったデサンティス・フロリダ州知事(45)が撤退したため、事実上の一騎打ちとなっているヘイリー元国連大使(52)を下し、トランプは満足げ。「彼女には、ひどい夜になったね」と皮肉った。
ヘイリーは撤退せず、地元サウスカロライナ州での雪辱を期す。今回、無党派層がヘイリーに投票したとみられ、得票差は事前の世論調査に比べ縮まった。ヘイリーに逆転の可能性はあるのか。
「ヘイリー氏が勝てそうなのが白人が多く、北東部リベラル州のニューハンプシャーでした。このチャンスを逃したことで、共和党はほぼトランプ氏に決まったと言っていい。ヘイリー陣営はお通夜状態で、あとはいつ撤退するかです」(上智大教授・前嶋和弘氏=現代米国政治)
民主党も非公認ながら23日、ニューハンプシャー州で予備選が始まり、現職のバイデン大統領(81)が圧勝した。高齢批判がありながらも、党内の混乱回避で民主党はバイデン「一択」。11月の本選は再びのバイデンVSトランプとなる確率がさらに高まっている。
■ 無理な“ディール”をまた押し付けられるのか
世界中で恐る恐る語られてきた「もしトラ(もしトランプが再選されたら)」がいよいよ現実味を帯びてきて、「米国のNATO(北大西洋条約機構)脱退」への警戒が強まる欧州では、各国の外交官がトランプ周辺に接触しているという。日本でも自民党の麻生副総裁が、今月上旬の訪米時にトランプ側の関係者と面会したと報じられた。
トランプ再登板が現実になれば、在日米軍の駐留経費の増額や、米国の貿易赤字の大幅削減など、無理な“ディール”を、また押し付けられそうだ。
「もっとも世論調査の数字は、現職のバイデン氏に比べ、アウトサイダーにより高く出る傾向がある。予備選で連勝という結果を受け、『トランプ氏になったらまずい』という揺り戻しがこれから起こり、数字は下がっていくでしょう。米大統領選は最後は『戸別訪問』が鍵を握る。勝負の行方はまだまだ見えません」(前嶋和弘氏)
「もしトラ」への覚悟が必要になってきたのは間違いない。
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