7化防、一時帰宅者を支援 除染を一手に
1特防の除染所閉鎖
福島県田村市の総合体育館に設置されていた県のスクリーニング会場が5月8日、閉鎖された。
田村市内に3月14日の福島第1原発事故の発災から1特殊武器防護隊(練馬駐屯地、隊長・速水孝智2佐)が除染所を開設、56日間任務を遂行してきた。
1特防は今後、南相馬市の相双県保健福祉事務所に移動して次の除染任務等に備える。
一時帰宅者 慣れぬ防護服姿で 7化防隊員、細かく配慮
福島第1原発20キロ圏内への2回目の一時帰宅が実施された5月12日、中継基地となった福島県川内村村民体育センター内には、一時帰宅者が放射性物質に汚染された事態に備え、7化防隊の隊員約10人が除染所で待機し、住民のスクリーニングを見守っていた。
この日、同センター付近の放射線の測定値は約0・2マイクロシーベルトと高くはなかったが、原子力安全・保安院の担当者らから説明を聞く住民の表情は固かった。慣れない防護服に戸惑う一時帰宅者に保安院の担当者が手取り足取り着る手順を教え、最後にマスクを着用。全身白ずくめの帰宅者は出口付近でこれまで着ていた衣類を預けると、携帯用の線量計とトランシーバーを身に付けて次々とバスに乗り込んだ。
体育センター内に設置された除染所はテントを二つつなげたもので、テント内の入り口付近には受け付けとガイガーカウンターによる測定場所を設けるとともに、その奥には脱衣所も設置。テント内でもプライバシーが守られるように、衝立てで区切られた場所で同時に2人が脱衣できるように配慮された。
天利隊長は「隊員と違い、一時帰宅者のような一般人を除染することはこれまでの訓練では想定されていなかった。6基あるシャワーを2部屋に区切って2基だけ使うなどプライバシーを守るために最大限配慮した」と話した。
除染のためのシャワー室には、足腰の弱い高齢者に配慮して座ったまま身体が洗えるように椅子が置かれたほか、シャワーもバルブの開閉ではなく手元のスイッチで操作できるように改良を施した。さらに一時帰宅時に気分が悪くなった場合も想定し、担架のままでテント内に搬送し、横になった状態で除染できるような台を設けるなど創意工夫を加えたという。
住民の一時帰宅中、抜き打ちで訓練も行われた。高齢者の女性が除染所に運ばれた事態を想定し、受け付けから脱衣、除染までの一連の動作を確認。高齢者役の隊員に対して、誘導する隊員が「ここで名前を記入してください」「着衣はここで脱いでください」などと丁寧な口調で手順を説明。除染所を運営する除染班長の八木律賀雄2曹は「被災者の不安を取り除き、安全を確保できるよう全力でやります」と頼もしい口ぶり。
約2時間の自宅滞在後、バスで同センターまで戻ってきた住民らは、両手を広げて放射線測定器によるスクリーニングを受け、マスクや防護服を脱いだ後、自宅から持ち出した家族の思い出の詰まったアルバムや通帳などの貴重品を受け取った。10、12日の2日間のスクリーニングでは幸い除染対象者は出なかった。一時帰宅者は「不安だったが、中継基地に自衛隊が除染所を設置してくれて安心してわが家に帰れた」「自衛隊の活動には期待している。これからも頑張って」と感謝の言葉を述べていた。
除染の出番こそなかったが、雨で住民の防護服がぬれないようにバスの停車位置と同センターの入口をつないで天幕を設営するなど住民の不安をすこしでも取り除こうとする7化防隊員の細かい心づかいが各所で目についた。 (新井哉記者)
東日本大震災・主な動き (5月10~16日)
●5月10日(火)
福島第1原発から半径20キロ圏内の住民の一時帰宅が始まる。自衛隊はこれを支援するため川内村の村民体育センターに7化防(東千歳)が「除染ポイント」を開設し住民の除染を実施。
一時帰宅の除染支援について北沢防衛相、「自衛隊の協力が求められているので、十分にこれを行っていきたい」と会見で。
●5月11日(水)
自衛隊の災派規模、初めて10万人を切って約9万9750人に。内訳は陸自約7万人、海自約1万900人、空自約1万8500人、原子力災害対処約350人、航空機約400機、艦船36隻。
天皇、皇后両陛下、自衛隊機で福島県入りし、福島市と相馬市の避難所で暮らす被災者をお見舞い。
●5月12日(木)
陸自が活動実績を発表。11日の実績は、遺体収容6体(累計8306体)、給食支援3・2万食(343万食)、給水支援107トン(2万7084トン)、入浴支援32カ所1万214人(54万5773人)、道路啓開1・7キロ(319キロ)、衛生支援53人(1万6241人)、原子力災害対処は除染所運営7カ所、避難者の一時立入支援。即応予備自の活動もこの日で終了。延べ2179人が被災者の生活支援などに当たった。
東京電力、「福島第1原発1号機炉心の燃料棒が半分以上溶け、炉心を覆う圧力、格納両容器とも損傷したとみられる」と発表。
●5月13日(金)
中部電力、菅首相からの要請を受け、静岡・御前崎市の浜岡原発4号機原子炉を停止。
●5月14日(土)
中部電力、浜岡原発5号機原子炉を停止。これにより廃炉となる1、2号機、定期検査中の3号機、13日停止の4号機と合わせ、同原発の原子炉すべてが停止。
●5月15日(日)
陸自の災派規模、7万人を切って約6万7200人に。ほかに原子力災派に約300人。
東電、福島第1原発3号機の冷却水に原子炉再臨界を防止するため、中性子線を吸収するホウ酸を加え始める。今後、1、2号機にも同様の措置。
福島原発の事故を受け、政府が「計画的避難区域」に指定した福島・飯舘村、川俣町山木屋地区住民の避難が始まる。
●5月16日(月)
松本、広田両大臣政務官が福島県内の自衛隊災派部隊を視察し、隊員を激励。
海自と海保庁が連携して福島第1原発の10キロ以内の沿岸海域で行方不明者を捜索。