国立西洋美術館で開催中の「チュルリョーニス展 内なる星座」でこれは、と思う作品、《門(夢想)》の主観レビューをお届けします。
画面中央には、簡素でどこか神殿のような「門」が描かれ、そこへ導く道と周囲の自然が配置されています。
門の先には垂直線が多く、手前と印象が異なります。
つまり、手前は未分化で柔らかい世界、奥は構造化された硬い世界であると読むことができます。
また、暖色と寒色の対比もあります。
手前は、土の色もあり、やや暖かみがあり、奥は冷たい緑や灰色です。
この対比は、安心できる領域から、よそよそしい領域へ移行すること不安として読めます。
門をくぐって大人になれ、ということでしょうか。
しかし、門は白色という色彩もあり、人を寄せ付けないくらい冷たい印象を受けるため、子供のままでいたいというのが本音だと思われます。
普通なら白は、純粋・神聖・光として読まれがちですが、本作では、無機質・感情の欠如・近寄りがたさとしても見えます。
つまり、この門は「導く存在」でもあり、「拒む存在」にも見える両義的なものです。
ここから、「進まなければならないが、進みたくない」という心理をそのまま視覚化している、という解釈を導くことが出来ます。
チュルリョーニス(1905/1906)《門(夢想)》国立M.K.チュルリョーニス美術館

