薄暗い澱んだ水のなかで
耳のつまりを感じながら
低音と高音のあいだを行ったり来たりしている

重くゆらゆらと漂っている
遠くの人の気配を時おり近くで感じて寂しくなる

重たいな
ずんと何かの圧力を感じる

脱ぎ捨てたくても
産まれたときから備わっていたんだ
捨てられるわけがない

父や母のせいじゃないことは理解している

それでも時折見える
空の光が眩しくて憧れてしまう

ああなれたらいいな
あの人みたいに

同じものを食べれば
同じ空気を吸えば
きっとそうなれると信じていたんだ

悔しくて悔しくて
泣いても何も変わらない

怒ったところで何も変わらない

ただ単調に波に揺られて
ゆらゆらと重いからだをひきずる

見るものといえば
薄い膜のようなキラキラした水面

空はいいな
たくさん空気があって明るくて
自由で何でもできる

私はいつも暗い水の底
もうここにいるのは嫌だな

楽しそうは幻で
私の楽しいは誰もわからない

だから誰のことも私はわからない