昔、娘が大学に入って、家を出た。

私は娘に付き添い、下宿の確認やら、細かい買い物を一緒にした。

そして、私だけ、帰宅した。



帰宅の電車の中で、ずっと泣いてた。

人目もはばからず。

帰宅しても、ずっと泣いてて、夫に「泣いても仕方ないやろ」と言われた。

うっさい、クソジジイと思ったな。



毎晩泣いて生活して、ふと気が付いた。

「娘がいないと、楽だわ…」

それが10年近く前の話。



息子が4月に家を出る。

就職のためだ。

夫が突然死する前から決まってたことだ。



私、泣くわ。

こないだ、ふと思った。



息子が家を出たら、寂しくて泣く。

おいおい泣く。

キッチンでも、お風呂でもトイレでも。

息子の部屋をみても、泣く。



今回、慰めてくれる?夫はもういない。

妖精さんになって、私たちの周りを飛んでるかもしれないけど、目に見えないし、声も聞こえないし



息子に言った。

「お母さん、あんたが出ていったら泣くわ」

「帰って来ていい?」

と息子。

「それはやめて」

と、間髪入れず、私。



泣いて泣いて、でも、しばらくしたら、「息子がいないって、楽!」って必ず思うし。



だからしばらく、息子のいる生活を楽しもう。