私のウツは母が関係している。

母の性格、考え方、振る舞いが、私を縛り付けて、追い詰めた。

私は、一時期、母を殺したい程憎んだ。



昨年の秋頃、自分のウツが良くなったのを感じた。

30年、かかった。



そして、それと同時に、母への有り余る肉しみが、消えていくのも、感じた。

あれほど憎んだ、母。

私の前に立ちはだかってた、巨大な母。

悪魔のように、残酷で、私を支配した母。



目の前にいるのは、小さく、シワだらけの、弱々しい老人だった。


…………



私は自然に母と話すようになった。

挨拶をして、母の手伝いをして。



母も、私の子供達に、「お母さんが、変わった」と、喜んで話していたらしい。



私は変わった。

自分の力で。



母も、変わった。

自分が年老いたと、ようやく自覚したようだった。



でも、相変わらずな所はある。



私が、年内休むと言った時。

「休みすぎて、仕事を首になるんとちかうか?」

相変わらずの、私を不安にさせる言い方で。



自分でも、休みをもらいすぎかもとは、思ってる。

でも、状況か状況だ。

無理して、働ける自信がない。



それに追い打ちをかける言い方。

相変わらずだ。



母は、戦前生まれで、働いたことがない。

専業主婦で、早くに夫を亡くした。

その後は、夫の残した遺産を、親せきに協力してもらって、やりくりして、何とか生活してきた。



それはすごいと、思う。

だけど、働いたことのない人に、仕事の、それも的はずれない嫌味を言われると、イラッとする。



それてなくても、今の私は、色々と考えすぎて、疲れ過ぎてるのに。



「余計なことを言わないで」

という私に、母は、

「親だから、言うんや」と。



それが、余計なこと。



親なんて、誰でもなれる。

子供を産んで、育てれば、それは親だ。

もちろん、自分の子供でなくても、子供を育てれば、親になる。

簡単になれる、は言いすぎかもしれない)



親だから、何を言っても許されるわけてはない。

親だからこそ、気を付けなければ、ならないと、思う。

子供は、親の言うこと、全部受け止めてしまうから。



相変わらず、私の母は、わがままな人だと、再確認した。


気を許すと、傷つけられる。