咳に咳止め薬をほぼ使わないのが自分のポリシー | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

コロナ後に風邪の患者が一気に増えました。マスクをはずしたりしたからでしょうかね。そして咳がとまらない患者も一気に増えました。咳がとまらないので、延々と咳止め薬を出し続けられています。こんなこともあってか、この世の中から咳止めがほぼなくなりました。咳止めがだせないという医師からの苦情はいつも言われています。咳止めが効かないから、ずっと出し続けるのです。

 

僕はほとんど咳止めを使いません。患者がどうしても、咳止めをほしいと強く主張するときしかだしません。咳止めは意味がないと思っているからです。

 

風邪の咳。咳止めなくても1週間もすれば、咳は自然におさまります。咳そのものも弱いので、だす意味もありません。1週間待ちさえすれば、咳はおさまってしまうからです。咳止めを飲んでも、飲まなくても。

 

1週間以上続く咳。これは風邪の咳ではないので、咳止めがほとんど効きません。特にコロナに感染したあとに、こんな人が激増しています。コロナのあとに咳がとまらない。コロナ感染者の半分ぐらいはこうかもしれません。数ヶ月かかれば自然に咳がとまる人も多いですが、コロナ感染後に数ヶ月も咳がとまらないのは大変なんですよね。

 

このような咳は、上咽頭炎+咳喘息だと思い治療しています。だいたい、1~2週間の治療で咳はほぼ落ち着きます。その際も、咳止め薬は使いません。なしで抑えられます。

 

咳止めの薬ってほとんど対症療法だと思っています。熱がでたから熱を下げる薬をだすようなものです。この薬自体は、まったく病気を直してはいないのです。熱がでる理由を見抜くこと、咳がでる理由を見抜くこと。このことが重要なんですけど、咳止めをだすというのは、なぜ咳がでるのかを考えずに対症療法を行ってしまうので、自然に治らないような咳は、治らないでしょう。咳止めの薬のんだら咳がとまりましたという人は、何もしなくても止まる人なのです。

 

他のクリニックで咳止め薬だされていたけど咳がとまらないという人が毎日受診してきます。咳止め薬のような対症療法はせずに、咳の原因となる炎症を抑える治療を行っています。これにより咳はとまってきます。長引く咳の9割ぐらいは簡単に治ると思っています。もちろん、予期せぬ原因で咳がとまらないという人もありえますが、それは本当に少数だと思います。ほとんどが、よくある風邪のあと(コロナも含む)の咳なのです。