旧優生保護法訴訟、最高裁の判断は? | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

 

 

まったく知識がない人はわかりづらいので、解説を加えます。

 

その昔、優生保護法という法律で、障害者の不妊手術が正当化されていました。障害者本人の同意がなくても、その親が同意をすれば手術をしてもよかったのです。この法律の目的は、この世の中から障害者を無くすこと。つまり、遺伝性疾患が疑われる障害者は、その子供ができると遺伝子が移行してしまうため、そうなる前に不妊手術をして子供をできなくするのがいいよねということです。

 

手術を受けないという選択をすれば、その親が非難されます。法律でも定められているのに、それを無視するんだとなるわけです。このため、多くの障害者が不妊手術を強いられました。

 

30年以上前、ある聾者から聞いた話です。10代のころ、「盲腸の手術をしなければならない」と言われて医師につれていかれた。そこで手術をうけさせられた。その後結婚して子供ができないことを不思議に思い、親に聞いたら「不妊手術をしているので、子供はできない」と告白されたそうです。

 

結婚したあとに、「子どもができない」という理由で離縁されたケースも耳にしました。戦後に女性が子供を産めないという理由は、離婚の理由として正当とされていたのです。

 

当時の法律としては正当な不妊手術でしたが、本人の同意をえずに手術が行われ、子供をもてずに苦しんだ人がたくさんでました。

 

今はこの法律はなくなっており、不妊手術も行われていません。このため、ろう者でも多くの人が子供をもてています。

 

そのとき以来の苦痛の謝罪を求めて、国を提訴したのです。

高裁では、判断が分かれました。

そして今回の、最高裁での判決ですべてが決まります。