風邪はウイルス感染なのか? | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

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以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

ウイルスが風邪を引き起こすことに関しては、何も異論はない。インフル、コロナ以外にも、ライノウイルスなど、風邪を引き起こすウイルスはいくつもある。

 

僕が言いたいのは少し違う。患者さんが、「風邪をひいた」と受診してくる。医者も「風邪だ」と断言する。では、このような場合はみんなウイルス感染なのだろうか?

 

以前より腑に落ちないところがありながらも、「風邪だからウイルスに感染したんだよ」と言い続けてきた。ほとんどの医者が同じ解釈をすることだろう。ウイルス感染なんだから、抗生剤はいらないと言い切る医者も多いと思う。

 

今朝がたはすごく寒い。昨日暖かかったのがウソかのように寒い。気温がグッと下がったに違いない。こういうときって、風邪をひく。では、この風邪をひくというのは、ウイルス感染を起こしたということなのだろうか。

 

結論から言うと、ウイルス感染ではない(細菌感染と言う意味でもない)風邪がかなり存在する。急に気温が下がったりすると、のどの粘膜がその変化に対応できなくなり、荒れてくる。ウイルスはまったく関係ない。そのような風邪の人がかなりいるような気がする。

 

慢性上咽頭炎を治療するようになり、それは確信に近くなってきている。低気圧により上咽頭の炎症が一時的に悪化し、のどが痛いと受診してくる人が多い。このような人たちには、上咽頭炎の悪化と説明し、Bスポット治療を行っている。しかし、他のクリニックにいけば、絶対に風邪と診断されるに違いない。患者も医者も、風邪だからウイルス感染だろうと漠然と思うに違いない。

 

実際は、ウイルスがからまない風邪のほうが多いような気がしている。