7月18日「ミヤネ屋」。山上徹也の米本和弘への手紙やブログコメント、そして山上の元推定されるツイッターの言葉が紹介されていました。そのどれもが私には理解できました。
宮根誠司は「難しい」と言っていました。山上は2020年くらいまでは安倍元首相と統一教会とは同視しておらず、分けて考えていたことがわかります。憎悪対象はあくまでも旧統一教会でした。
HNは「まだ足りない」のようです。このコメントがミヤネ屋で取り上げられていました。
家族を尊重する社会こそあれ、
この世どこにも家族を騙し、奪い、争わせる事を奨励し、あろう事かそれを喜びさえする集団を是とする社会は無い。
それ故に統一教会もその価値を利用する。
ヒトラーやスターリンに並べるべきなのは言うまでもない、統一教会の所業が彼らに比肩し得る人類に対する罪レベルだからだ。
こんなものが今の今のまで存在する事は人類の恥としか言いようがない汚点だ。
彼らは彼らの行った業によって
衆人環視の元、その嘘と骨肉の争いを
死ぬまで晒し続けるしかないのだ。
いずれ誰かが殺されるだろう。
私と社会にはそれをビールでも飲みながら娯楽として消費する権利がある。
行使するかは自由だが。
だが言っておく。
復讐は己でやってこそ意味がある。
不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ。
何故だろうな?
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山上は「家庭を幸福にするという統一教会が家庭を破壊する」ことへの矛盾と怒りを表明していました。さてそれを聴いていた論説委員の高岡達之が「だったら安倍元首相にも家庭があるのだから、家族の気持ちを考えない山上は許せない」と極めて感情的に憤懣を爆発させていました。
「あほか」と思いました。山上は「家庭を幸福にする」と言った理念を表明して誰かを指導してはいないのです。家庭を不幸のどん底へと陥れた宗教とそれに力を与える人間への復讐なのです。この高岡という人間は読売テレビの夕方のローカル番組で「高岡目線」というコーナーを持っていますが、フリップの机のたたきつけ方や乱雑な文字、そしてレポーターなどには「ほかの誰も尋ねないことを尋ねます」と言って尋ねるようなことをする人間で、いわば承認欲求の塊みたいな人間です。それ故に感情的になることが多いのですが、そういう人間がカルトに対する無理解と認識不足ゆえにまったく意味不明な発言をしました。
それまで統一教会と安倍元首相を区分けしていた山上ですが、ビデオメッセージを見て殺害を決意したということですので、この二者が一瞬にしてリンクしたのです。それは鬱屈とした日々を過ごし、己の中にある怒りがあるとき一瞬にしてスパークしたのです。そもそも犯罪を起こす人間はある時に一瞬にしてそれまでの感情が爆発するということを高岡は事件記者なら知っているはずなのに、カルト宗教への無理解がその心理を理解できなくさせているのです。
7月19日の「ひるおび」。この日は山上徹也の母親への思いを紹介していました。それを聴いていた八代弁護士もまたカルト宗教への無理解を露わにしました。八代は「当初はカルトへの怨恨を晴らすために安倍元首相を狙ったと思っていたが、ただのマザコンで、幼稚な発想で起こした犯罪だったのか」といました。八代弁護士が自分の主張の矛盾に気が付いていないのは「安倍元首相を狙った理由」にマザコンがどう関係しているのかを解説していないことです。また山上徹也の動機を「マザコン」と言い放ったことで統一教会のおぞましさを軽んじました。こうなるとカルト宗教問題を八代弁護士に相談することはできないと思われます。誰もが抱く母親への愛情をすべて「マザコン」と片付けて問題を単純化しようとするのはおよそ弁護士としての資質が疑われます。個人的には普段の八代の発言には共感することが多いのですが、このコメントは全く論点を把握していない典型的な論点のすり替えを行いました。ただ八代弁護士は、昨年の衆院選前の「共産党の党是」に関する発言をした際にスポンサーからの抗議であっさりと発言を翻したように、ここぞというところで腰砕けになるところがあります。今回はカルト宗教への明らかな無理解がそうさせました。
思うにカルト宗教問題は論点を見誤るとそれぞれが勝手な方向へ思考を働かせるのですが、それはカルト宗教を奉じる人間を異様なもの、特殊なものと見なしている偏見があるからです。オウム真理教の死刑囚の執行に際しNHKの武田アナが江川紹子に向かって「彼らは特殊な人でしょうか」と尋ねたのもそのような偏見からです。
しかし私に言わせれば、たとえばれいわ新選組の熱狂的な支持者やカリスマ経営者の社員などはすべてカルト的要素を持っているがゆえに、カルト宗教の信奉者が決して「特殊な人」であるという認識を持たない限り、この種の事件を理解することは決してできないでしょう。人間の幸福をどんな形であれ熱心に追及する人間はカルト的資質を持っているのです。
プロ野球チームの熱狂的ファン、ひろゆきや堀江貴文やDaigoの支持者もそうです。
カルト信奉者は、カリスマ性を持った人間に対して憧れているからです。
そしてカルト宗教への正しい理解ができないコメンテイターたちは、明らかにカルト宗教信者を見下しているのです。これは絶対確かなことです。メディアにはこの種の人が本当に多いですね。

