居間へ入れば他の3人もいた。
部屋を見渡せば、俺が家を出た時にはなかったはずの鉢がいくつか並んでた。
ハーブかな?相葉さんが持ち込んだんだろう。
翔ちゃんと潤くんは酒を片手に笑顔で迎えてくれた。
ああ、ひとり。もう寝ちゃってるじゃないの。

「ニノが帰るまで起きてるって頑張ってたんだけどね。」
「子どもか!」

ふふふと笑いが弾んだ。
あったかい照明。
あったかい部屋。
あったかい人達。

ふにゃふにゃ眠る最年長の横に座り

「ただいま。」

そう言ってももちろん返事はない。
ただ、しあわせそうにふにゃふにゃと寝ているだけ。




「しょうがないわねぇ、おじいちゃんは。」

笑いながら翔ちゃんが毛布をもってきて
ふわりと寝ているおーのさんにかけてやった。

「おじいちゃん、孫の顔見たがってたのにね。」
「和やー、和やーってね。」

悪のりする彼らに従い俺も続いた。

「おじいちゃーん。起きてお小遣いくれよう。」

また笑いが弾けた。
風呂入ってこればと言われ、おとなしく風呂場へと向かった。
誰かが入ったあとの風呂はお湯がやわらかい。
しっかりとあたたまり、栓を抜き軽く掃除をして換気する。
俺が最後。
お湯はしっかりと熱をもっていた。
帰りに合わせ追い炊きしていてくれたんだろう。

しみるあたたかさ。
優しい気遣い。
ごく、自然にそれらは行われる。

大人というのはひとりで立っている人の事だと思っていた。
それも間違いではない。
自分1人で自分1人を成立させること。
だけど、本当の大人って誰かといてもひとりが成立し
もたれるんじゃなくお互いを尊重して。
なんていうのだろう。
助け合い?それもなんだか違うな。

ああ、そうだ。
答えは前にとっくに出していた。

1人1人であって5人でひとつ。

つまりはそういうこと。
そういうことができるのが大人。
それを共有できる人達を見つけられるのも大人なのかもしれない。

今だから。
きっと、できたこと。

居間へ戻ると相変わらず3人は飲んでいて、
その傍らには、まるまった毛布のかたまり。

「和。お父さんとお母さんのジャマしちゃあれだから
姉ちゃんと2階へ行こう?」

相葉さんが俺の腕を引っ張った。
まだ、その家族設定やってんの?
ふふ、と笑って翔ちゃんと潤くんを見れば。

「そうよ、子どもはもう寝る時間よ。」
「うんうん、さ。母さん。大人の時間だぞ。」
「やだあ。お父さんったら。」

バカな人達。
これが大人?俺、間違ってたかも。