遠藤保仁の後継者は誰だ | おじさんの気ままなブログ

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【あなたはどう思う?】徹底討論 遠藤保仁の後継者は誰だ?
替えの利かない存在であることは百も承知。
しかしブラジル・ワールドカップ時には34歳。
いつまでも遠藤一人に頼っているわけにはいかない。
彼の後継者を探すことは、日本サッカーの最重要テーマだ。
インタビュー・構成 = 岡田康宏
http://www.soccer-king.jp/sk_column/article/106501.html

ここから転載

●鼎談参加メンバー●
田中 滋(サッカーライター)/@gel_tanaka
『J's GOAL』、『EL GOLAZO』の鹿島アントラーズ担当として活躍。
有料メールマガジン『GELマガ』も人気。
著作に『鹿島の流儀』、『鹿島の精髄』(出版芸術社)など。

北 健一郎(サッカーライター)/@kitaken1ro
サッカーだけでなくフットサルにも精通する。
通称キタケン。
主な著書に『なぜボランチはムダなパスを出すのか?』(白夜書房)。
フットサルマガジン『ファイブ』の編集長。

岡田康宏(サポティスタ/サッカーキングプロデューサー)/@supportista
本企画の発案者でサッカーからアイドルまで幅広いネタを扱う情報サイト「サポティスタ」の編集人。
現在は「サッカーキング」のプロデューサーをつとめる。


ザックジャパンが求める役割をこなせるのは遠藤だけ

岡田
 今回の鼎談のテーマは「遠藤保仁の後継者は誰だ?」です。
ザックジャパンのメンバーが固まってから、常に言われてきた問題ですね。
替えの利かないポジションとして遠藤の存在があって、だけど彼もベテランだから、いつまでも頼りきりというわけにもいかない。
ザックは会見で「後継者は見つかったよ」なんて言ったこともあるけれど、その後の選手起用を見ていると本当は見つかってないんでしょと言いたくなってしまうところもある。
じゃあ、彼の後継者になれる選手というのは誰なのか、というのを話していこうと思います。
まず最初に、遠藤の役割って何なの? ってところから、ボランチの専門家である北さんに解説してもらおうかなと。
 

 専門家じゃないですけど(笑)、確かに『なぜボランチはムダなパスを出すのか?』(白夜書房刊)を出してから、こういうお仕事が増えましたね。
というのはさておき、ザックジャパンの持ち味がどこにあるかというと、2列目ですよね。香川(真司)、本田(圭佑)、岡崎(慎司)というところが一番のチームの武器じゃないですか。
今、ザックジャパンに求められている選手というのは、その2列目の武器を生かせる選手なんですよ。
ボランチにはいろいろなタイプがいて、ディフェンスが強い選手もいれば、遠藤のようなパサータイプもいるし、長谷部(誠)みたいにバランスの取れる選手もいるけれど、今のこのチームの構造上最も必要なのは、前線の選手に良いパスを出して気持ち良くプレーさせてあげる、遠藤のようなタイプですね。
その役割をできるのが遠藤に限られているというのが現状なんですよね。
 
田中
 前を向かせてあげられる、ということかな。
 

 例えば、香川だったら左から少しずつ中に入ってくるじゃないですか。
その中に入ってきたタイミングで出してあげないと、香川の動き出しが死んでしまうんですよ。
一発で前を向いて抜けていけるよね、というタイミングで出してあげられるかどうか。それはすごく微妙で繊細なところなんですよね。
パスを出すのは誰でもできるんです。
でも、そのタイミングで、もっと言うなら香川がファーストタッチで持ち出したい場所までイメージしてパスを出してあげられるか。
それはただパスが上手いだけの選手では出せないんですよ。
 
岡田
 遠藤はそういう気の利いたパスを出せる選手ということですね。
でも例えば、それは中村憲剛でもいけると思うんですよ。
 
田中
 僕はそれは遠藤しかできていないと思うんですね。
将棋じゃないですけど、普通は2手3手先まで読むところを、遠藤は5手6手先まで考えてパスを出しているように見ていて感じるので。
例えば、パッと空いているところにスルーパスを出せる選手はたくさんいるんですけど、その前段階を作れる選手がどれだけいるか。
 

 サッカーの監督って試合が始まったらできることは少ないじゃないですか。
選手の配置を決めて送り出した後は基本的にピッチに立っている選手たちに委ねられますよね。
その時に、監督の心理としてはピッチ上にもう一人監督を置いておきたいんですよ。
今、ピッチ上の試合の流れがどうなっているのかを読んでくれる選手というのが必要で。
仮にキックの精度や技術、フィジカルなどの能力値が遠藤と全く同じ選手がいたとしても、試合を読むという部分で彼に匹敵する能力を持った選手はなかなかいないんじゃないかと。
それは経験を積まないとできないことなので。
だから、GKにも近い部分があるんですよ。
GKも経験を重ねて良くなっていきますけど、遠藤もその域に達していると思うんですね。
 
岡田
 2つ言いたいことがあって、一つは、遠藤は監督の言うことをあまり聞かないと言いますよね。
適当に聞き流すというか、言われたとおりにやるのではなく、現場の判断でこちらのほうがいいと思ったら、そのように動く。
そういう選手が監督としても必要だということだよね。
それで上手くいっているのであれば、その判断で問題ないし、監督の指示と違ったとしても、そのプレーを監督としても支持していると。
 

 例えば、トルシエ監督だったら同じことを許したかどうかは分かりません。
ただ、ザッケローニ監督はその部分は寛容で、結果オーライなところもあるので、遠藤を出すことで結果が出るのであれば、それでOKなのかなと思います。
 
岡田
 もう一つ、遠藤はいわゆる「黄金世代」の選手じゃないですか。
あの世代と同じ経験値をこれから日本の選手が積むのは、ちょっと難しいと思うんだよね。
遠藤自身が出た、出ないというのは、また別にして、ワールドユースからW杯まで、日本サッカーの成長を体現してきた世代だよね。 
 
田中
 小笠原満男、高原直泰、小野伸二、稲本潤一、本山雅志、中田浩二……。
 
岡田
 彼らの実績に並ぶことも簡単ではないし、同じように道を切り拓いてく経験というのは、同じレベルではなかなかできないわけですよ。
そう考えると、遠藤のような経験を持った選手が生まれるのは簡単なことではない。
 

 遠藤の場合は、確たるスタメンになったのはオシム監督時代からで、オシム監督の時にサッカー観が変わったと言っているじゃないですか。
それまでは足を止めてプレーするタイプだったのが、オシムにもっと走らないとダメだと言われ、最初はちょっと無理のある攻撃的なMFの位置で使われたりもして。
そこで一度、生まれ変わった部分が大きかったのかなと。
他の黄金世代の選手は、それまでで試合に出て積み上げてきた自分の自信みたいなものもあったから、その時点で完成していた。
遠藤はそこで変われたから。
 
岡田
 結果論ですけど、あの世代の選手がもうほとんどピークを過ぎている中で、遠藤は息の長い活躍をしていますね。
 
田中
 それは代表で試合に出ていなかったというのが大きいと思うんですよ。
野球選手であれば、肩を使えばそれだけ消耗していってしまうように、20代の前半の時期に消耗をしていなかったということが、遠藤が今これだけ動けている要因の一つであるというのは間違いないと思うんです。
 
岡田
 海外移籍していないというのも大きいですよね。
 

 今だったら行っていたと思うし、本人もそう言っていました。
クラブチームでもガンバ大阪で、ずっと西野(朗)前監督の下でやっていて、監督によってコロコロとスタイルが変わるということもなかったですし、だからパフォーマンスの浮き沈みも小さかったですよね。
この年は全然ダメだったね、みたいな年がない。
 
岡田
 という感じで、遠藤の魅力を語ってきたところで、ではそれぞれ自分の推しメン、遠藤の後継者にふさわしいと思う選手の名前を挙げていきましょうか。


遠藤自身も推している? 柴崎岳という可能性

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田中
 僕が出てきている時点でバレバレですけど、柴崎岳(鹿島アントラーズ)かなと。
タイプが一番近いというのが理由です。
遠藤の特徴はいろいろあると思うんですけど、ザックジャパンの中で果たす役割で考えると、スピードがあって速い選手たちがいる中で、あえて遅さを作れる選手だと思うんです。
緩急を付けられる。
柴崎も弱冠20歳ですけど、ピッチの真ん中でボールを持って止まれる。
そういう選手ってなかなかいないですよね。
それが今の段階でできているのはすごいかなと。
 
岡田
 遠藤自身も柴崎の名前を後継者として挙げているというよね。
 

 僕は直接それを聞いたことはないけど、パスの感覚というのは近い気がしますよね。
いわゆる空間把握能力、俯瞰の目でピッチを見られる能力、それって年齢を重ねてからできる部分もあるかもしれないんですけど、割と先天的なセンスの部分が大きいと思うんですよ。
彼が中学生で、僕が『ストライカーDX』(学研マーケティング)で働いていた時に、青森山田中学の大会を見たことがあるんですけど、その時からパスセンスは別格でしたよね。
当時から有名な選手でしたし、見ている人が予想していないところにパスが出てくるんですよ。対面している選手もそういう感覚だと思うんですよね。
僕は彼の性格とかまでは分からないんですが、ストイックな印象もあるじゃないですか。
 
田中
 今、クラブハウスから帰るのが一番遅いのは彼ですね。
彼は鹿島に入ってからずっと体幹トレーニングをやっていて、だから加入した頃に比べれば、目に見えて体は大きくなっていますよ。
 

 そういう面では海外に行くことを視野に入れて、という感じなんですか?
 
田中
 はっきりとは言わないですけどね。
でも一緒にトレーニングしたトレーナーに聞くと、そのためのトレーニングだったよと聞くことはあるので。
 

 日本の場合、アタッカータイプの選手は多いけれど、ああいうプレーメーカータイプの選手で海外で成功した例ってあまりないじゃないですか。
だからプレーメーカーとして海外に行った時に、どこまでやれるのか気になりますよね。
日本人のボランチがサイドバックに回される問題というのがあって、長谷部や細貝(萌)もサイドバックに回されちゃうわけですよ。
本職で完全にボランチをやっている選手があまりいないというのは良くない状況だなと。
試合勘と同じようにボランチ勘というのもあると思うんですね。
ピッチの中央でプレーするのとサイドでプレーするのとでは視野が違うし、それこそサイドバックとして教科書どおりにやるべきことというのは、ボランチとしてやるべきこととはまた違うので。
 
田中
 柴崎の課題的なことを挙げるとすると、例えば『なぜボランチはムダなパスを出すのか?』にも出てくるけれど、ボランチの選手はサイドバックを上げるために、一旦クサビのパスを前に入れて相手を中央に寄せて、サイドの選手をフリーにしてから、そこに展開したりするでしょ。
それは遠藤なんかがよくやる基本的なプレーだけど、それを柴崎がいつもやっているかといえば、そうではないんだよね。
縦に入れないで直接、サイドに展開しちゃうというような場面がちょこちょこあるんですよ。
ズバッと縦に入れるようなパスは出せる。
だけど、次の展開を有利にするための、一見ムダに見えるようなパスを出せるかどうかというのと、まだそうでもないかなと思う。
 
岡田
 つまり技術的な部分で緩急を付けたパスを出したりはできるけれど、一つひとつのパスで試合を組み立てていくというところまではまだいっていないということかな。
北さんは専門家なので推しメンは最後に紹介してもらうことにして、次は僕の推しメンにいきましょう。
 

 だからそういう扱い、やめてほしいんですけど(笑)。


FC東京で輝く米本拓司のポテンシャル

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岡田
 僕が挙げたいのは米本拓司(FC東京)ですね。
米本はもちろんプレースタイルは遠藤とは全然違うわけですが、彼は非常に頭が良くて、チームの中で自分がどう振る舞えばいいか分かっている選手なんですよね。
僕が一番印象的なのは、彼がFC東京に加入した時、目標とする選手に浅利悟(現・FC東京強化部)を挙げたんですよ。
浅利は同じポジションのベテランの社員選手で、すごく上手くもないし、すごく身体能力が高いわけでもないけど、気が利くんですよ。
チームの中で自分がどういう役割なのかをとても良く分かっている選手で。
米本は、その浅利を目標に挙げ、1年目でボランチのレギュラーを奪い、浅利の背番号7を受け継いだ。
米本はそのくらい、自分がチームの中でどういう役割で、何を必要とされているのかというのを分かっている。
ディフェンスはもちろん、パスのセンスもあるし、自分でミドルシュートを打つこともできるタイプ。
 

 パスの中でもレンジが長いですよね。
ズバッと逆サイドに通したりというのはある。
ただ、攻撃のスイッチを入れるようなパスを出すタイプではないから、遠藤の後継者というとイメージに合わないかもしれない。
ただまあ、遠藤の後継者という時に、ただプレースタイルが近ければいいのか、という問題はある。
ああいうプレースタイルの選手じゃなきゃいけないという発想から一旦外れてもいいわけで。
 
岡田
 プレースタイルは違うけれど、チームとして一度その選手を入れたらもう手放せないみたいな存在になり得る選手かなと。
ただ彼はもともと「ダルシム」とあだ名されるくらい、手足がよく伸びる、深いところまで届く選手だったのだけど、2度の故障を経て、身体能力で勝負できるタイプではなくなっていて。
これからコンディションがもっと戻ってくることが前提だけど、今とプレースタイルが変わってきて、もっとクレバーな方向に伸びていったら面白いかなと。
 
田中
 FC東京ってどちらかというと高橋秀人のほうが日本代表に選ばれて注目されているじゃないですか。
高橋はどうですか?

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 高橋の話をすると、最近の日本代表はCKでのディフェンスの脆さを露呈しているじゃないですか。
それは単純に競れる選手が少ない、限られているからだと思うんですよ。
吉田麻也が一番強くて、次に今野泰幸がいて、あとは出ていれば本田、次が前田遼一。
他にも長谷部とか岡崎とか競れる選手はいるんですけど、セットプレーの時にマークを任せて付けられる選手が、3人、ヘタすれば2人しかいないことがあるわけです。
高橋の良さってCKの時の跳ね返し役になれるってところなんですよね。
その部分って世界で戦う上ではとても重要で、CKの守備で爆弾を抱えたまま、W杯に行くのか、それともそこを修正するのか。
これだけ失点が多いとザッケローニ監督も考えるところだと思うんですよ。
守り方を変えればいいかというとそういうものでもなくて、CKの守り方に完璧な守り方なんてないし、だとしたら人を替えるしかない。
その場合、高橋は可能性があるんじゃないかなと思います。
 
岡田
 前号で「国内組で日本代表を選ぶ」というテーマで鼎談をした時も、セットプレーの守備要員というのは話題に上って、それはなぜ1トップが前田遼一やハーフナー・マイクで、佐藤寿人が使われないのかという話の延長で出てきたのだけど、今回も同じ部分がネックになっているということですよね。
簡単に言えば、CKの時の守備要員が足りていないと。
 

 だからそこができるとザックジャパンでは狙い目かもしれないですね。
 
岡田
 そうですね。
ではいよいよ、北さんの推しメンにいきましょうか。


キタケン一推しは湘南の永木亮太

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 僕が挙げるのは永木亮太(湘南ベルマーレ)という選手ですね。
今、湘南でキャプテンをやっているんですけど、中央大学時代に(JFA・Jリーグ)特別指定選手で入って、その頃からスタメンを張っていて、もうプロとして3シーズンくらいフルで出ている感じなんですけど。
永木の良さって、一言で言えば走れるってところですね。
今、日本代表は2列目が止められた時に手詰まりになる傾向が強いじゃないですか。
その時にボランチがもう1列前に出て攻撃に絡んでいかなきゃいけないんですよ。
でも相手が強いと、自分のポジションを守ることを考えて、なかなか行けないし、行ったら戻ってこなくちゃいけないじゃないですか。
永木はそれがすごくできるんですよ。
湘南のチームスタイルでもあるんですけど、運動量は驚異的ですよ。
CKを跳ね返したところから一番前まで上がっていって、相手に取られたらもう一回戻って、というのを90分間途切れずにできるんですよ。
普通、そういう戦い方をしていたらスタミナが切れてしまって、60分、70分くらいで交代してしまうものなんですけど、切れないっていうのが永木の魅力ですね。
テクニックもありますし、なにしろ大きいのは、ずっとチームの中心でやっているということですね。
ボランチってそれがすごく大事で、チームの中でイニシアチブを握る存在になっているかどうか。
強いチームで横に心強い相棒がいて、その選手と一緒にやっているというよりも、そんなに強くないけど、自分がチームの中心でプレーメーカーとしてやっている経験は大きいですし。
大穴かもしれないけれど、推したい選手ですね。
まあ、遠藤の正統な後継者という意味では、僕も柴崎だと思いますけどね。
 
田中
 さっき北さんが遠藤は西野さんとずっとやってきたという話をしていましたけど、柴崎は3年連続で監督が変わっているんですよ。
で、毎年シーズン最初はあまり良いパフォーマンスを発揮できない。
これは本人も言っていたんですけど、天才肌に見られるけど、実は不器用なタイプなんだと。
オリンピック代表に呼ばれた時もチームになじめなかったし。
だからもしブラジルW杯に向けて、柴崎をバックアップにと考えるなら、あまり時間はないかなという気がします。
 
岡田
 ブラジルまでに、もし万が一のことがあった場合のバックアップと、大会が終わってチームを入れ替えますか、という時に、4年後を見据えて浮上してくる選手とでは、また違ってきますよね。
どちらかというと柴崎は後者。
逆に言うと、前者の候補に誰がいいかというのは、かなり難しい。
 

 その場合は、それこそセットプレーの対策を考えて高橋を入れるとか、同じサッカーをしようとするのではなくて、どういう戦い方をするのかというところから考えていく必要がありますよね。
例えば、引いてディフェンス中心の戦い方をするのであれば、細貝(萌)を入れればいいと思いますし、遠藤と長谷部をそのままでアンカーとして入れる可能性もある。
新たにプレーメーカーを入れて、遠藤とスイッチできるようにするというのは、周囲との連係なども含めて、時間的にはかなり厳しいんじゃないかという気がしますよね。
 
岡田
 そうですね。それがこのテーマの結論かもしれませんね。
今日はありがとうございました。

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長友佑都選手は近日中にイタリアで左膝半月板損傷の手術を受けるみたいですね