言葉にしない「以心伝心」
「男は黙ってサッポロビール」
という三船敏郎さんのテレビCMはご存知ですか。かなり古いですが・・・。
「余計なことは言わない」
この美学も言霊信仰の流れなのでしょうか。それとも武士道の精神なのでしょうか。
いづれにせよ今の世の中、なかなかそうはいきません。
ご家庭を例にとりますと「無口な夫・・・」が通じますでしょうか。
「母さん、あれっ」の一言で、昔ならお醤油が出てきたのかも知れませんが、今は絶対にそんなことはありえません。
返ってくる反応は「あれって何」「どれっ」「はっきり言いなさい」と。
まだそれならいいですが「自分で動きなさい」が当たり前です。
「言わなくともわかる」は時代錯誤です。
今は、話すことや相手にしっかりと伝わることの必要性が問われる「説明説得責任」の時代です。
言葉によって双方の理解がなされ、信頼が生まれます。
さらに伝わりやすいように個々が工夫し、言葉を磨き、伝え方の手法を学ぶ。
また言葉と思考が、いつも必ず一致しているとは限りません。直感的に口に出てしまうこともあります。
私の「想い」と私の「言葉」にはズレがあります。
だからこそ場を重ね、幾度と話し合いを行なうことも時には必要です。そこでようやくお互いが納得し理解し合って初めて、心と心で通じ合うことが出来ます。
目指す「想い」は同じでも、言葉が違うと誤解が生じます。
言葉を大切にすることは、まわりの人の気持ちも大切にすることになります。
「以心伝心」とは「言わなくともわかる」ような単純な感覚的なものではなく、お互いの努力の結晶が生み出す実証的なものです。