古今亭志ん輔 日々是凡日 -790ページ目
2005年03月09日

挨拶回り

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二ツ目直前、協会幹部のお宅を挨拶に回るのが常だった。紋付袴の晴れ姿で、新らしい二ツ目達はバスに乗り込んだ。小さん師匠は、午後から一緒に回って下さることになっていた。待ち合わせは上野鈴本。その前で渋滞に巻き込まれた。加えて、運転手が道を間違えた。修正した指示も、また違っていた。悪いことが重なって、上野鈴本に着いた時間は、小さん師匠との約束より大幅に遅れていた。「バカヤロウ!」楽屋に入ると一喝された「サッサと出かけろ」こう言うと、小さん師匠はエレベーターに乗った。紋付袴の団体が、3階から我先に階段を駆け下りる様は、なんとも滑稽だった。しかし、目は血走っていた。ロビーでまた「ナニやってんだ!」と怒鳴られた「・・・」みんなうつむいていた「メシだな」小さん師匠の助け舟だった。近所の鰻屋の二階に鰻重が並んだ。腹は減っていたし、少しホッとはしたものの、誰も箸を付けたがらなかった。黙々と食事は進んだ。なぜか、小さん師匠の鰻は鰻重ではなく、鰻丼だった「へへへ、これか?丼のがいいんだよ」小さん師匠は無邪気にそう言った「こうやって半分食うだろ、ここにな・・」半分残った鰻を崩して飯と和えると、飲まずに取っておいた肝吸いをザッとかけた「鰻茶だよ、美味いぞ」豪快に口へ運んだ鰻の茶漬けだった。「さあ、行くか」小さん師匠の顔は、普段のそれに戻っていた。圓生師匠のお宅に着いた時、日は暮れていた「テヘへ、遅い挨拶でゲスね」こんな皮肉に、小さん師匠は「どうもスミマセン。あっしがドジでして」こう、答えていた。


2005年03月08日

福原 寛

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娘の笛は、手付かずで置いてあった。そっと取り上げて、吹いてみた。音にならなかった。それから数年、人を介して知り合った福原寛さんが、私の笛の師匠になった。優しく丁寧に教えてくれるその姿勢に、何も稽古して行かない自分を恥じながらも、通う内に笛の魅力は、寛さんの魅力になっていた。「こんな噺があるんですが」と切り出した「掛取万歳」を手伝っていただいたことから、違うお付き合いが始まった。「ヒャーヒーイ」と厳しく吹き出す能管の音は、周囲の空気を一気に引き締めた。情緒たっぷりにたゆとう篠笛は、引き締まった空気を、徐々に溶かしていった。お客様は、口を揃えて「素敵ですね」と声をかけた。そんな時、博多人形のようなその顔は、フッと笑顔で答えていた。


2005年03月06日

寄席の Make Up Artsit 小円歌姉さん

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「小円歌姉さんが居なかったら」こう話し始めたのは、江戸家まねき猫さんだった「凄いですよ、素晴らしいんですってば」興奮気味に話しを進めた「私、着物着るのに一時間かかってたんです」かかり過ぎだった「で、自分を追い込んでみたんです」1時間前に楽屋入りしていたのを30分前にしてみた「そしたらね、なんと着れちゃったの、着物が。これだって思って、今じゃ15分前に楽屋に入っても大丈夫になったんです。しかも、メイクの時間も含めて」凄まじい早さだった「小円歌姉さんが教えてくれたんです。何もかも。まず・・」『女の顔は眉が命』らしかった「でね、眉山を・・・眉の最後の位置は・・・で、みんなに褒められちゃって」その、褒めた女性の芸人もまた、小円歌さんの教示を仰いだ人だった。女性の芸人がドンドン増えている。小円歌さんに日参する者が後を絶たない・・・かも知れない。


2005年03月05日

仙一・仙三

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野鈴本の高座に上がった仙一、仙三だった。たどたどしい仙三の口上におこつきながら、傘を回した仙一だった。仙三郎師匠が旅に行っている間のコンビだったが、その二人に、新しい風を感じていた。まだまだ二人ではやれないのだろうけれど、若い瑞々しさを、誰もがそこに観ていた。5年後かもっと早くか、それともその後か、間違いなく若手の時代がやって来る。それは宿命だった。若手とベテランの見頃は、今始まったばかりだった。今日「たまごの会」が開かれる。あのたまご達は、どうなってゆくのだろうか?これも見もの。


2005年03月03日

池上梅園

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お寺の玄関を入ると、梅林が目に飛び込んで来た。壁一面に張られたガラスは、隣の梅園を借景していた。「土日は10000人くらい梅見のお客様がいらっしゃるんですよ」そう教えられた。ホントかなあ?そう思って覗いて見た。何年も来ているお寺なのに、背伸びして見たのは、初めてだった。驚いた。ゾロゾロ、ゾロゾロ、梅見の客で賑わっていた。そのお客様に向けて、ポスターが貼られていた。「このお知らせだけでも、もう何人入ったかしら、今日の落語会」もう一度驚いた。会が始まった。成る程、いつもとはまた違った、どこかお祭り気分のお客様が多かったが、その雰囲気が、また場の盛り上がりにもなっていた。池上実相寺の落語会は、廊下まで一杯になっていた。外も内にも、梅の香が漂っていた。