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2004年05月29日

ありそうで、ない話し (五-2)大空遊平

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「なはは、一緒に帰ろうよ」男から発せられた言葉は、これだけだった。
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2004年05月29日

ありそうで、ない話し (五-1) 大空かほり

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女は怯えていた。なにかに狙われている、間違いない。どうしよう、このままでは不味いことになる。そう思った女は歩道橋を駆け上がった。初夏の爽やかな風に、女のスカートが翻った。すれ違った男達の目は、一様に彼女に向けられた。そのくらい爽やかな後姿だった「冗談じゃない、なんで私が、初夏の爽やかな風景の一部にならなきゃいけないのよ」彼女の顔は怒っていた。しかし、次の瞬間には、おののきに変わっていた。「そうだった、逃げなきゃいけないんだわ」まっしぐらに走った。途中、立教大学と書かれた学校が目に入った。男は、その大学から出て来た。女は振返った。そして、男の存在を確認すると、口早にこう言った「やだやだやめて、お願いやめて、私が何したっていうの、悪いことなんかなんにもしてないし、もし、もしなにか私が知らない所で、気に触ることがあったんなら、それなりに謝るから・・・」こんな言葉を連発した。彼女なりに男を油断させたつもりだっが、男はむっつりと近付いて来た。彼女は、男に体当たりを喰らわせた。彼女の最後の抵抗だった。男目掛けて「エイ!」っとパンチを出した・・・つもりだった。
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2004年05月27日

ありそうで、ない話し (四) アサダ二世

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細い路地には、街灯が一つしかなかった。後にも先にも、70m程の路地の中程に、ポツリと灯るだけだった。前屈みになった男が、怪我をしたのだろうか、足を引き摺って歩いていた。「ちくしょう、あの野郎・・」こんなことを言いながら、男はアパートの前に佇んだ。街灯の方を振返り、そして、真っ暗な方を見て安心したのか、部屋に続く階段を上がった。住人の靴の匂いが、階段の途中まで漂っていた。「クソッ」男はもう一度呟いて、ドアを開ける。軋む音がしたが、今の男にはなんでもなかった。「へっ、ザマァねえや」天井から吊り下がった電球のスイッチを捻ると、敷きっ放しの布団が、遠慮気味に固まっていた。コートを脱ぐのももどかしげに、布団を背に横になる。安手のソファーに寄りかかっている心地がした。そのままの姿勢で、鷲づかみにしてコートのポケットから出された札束を見ながら、男は言った。「本物だったらなあ・・・」
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2004年05月26日

ありそうで、ない話し (三) イエス玉川

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「懺悔なさい、子羊たちよ」この言葉に、今までの過去を話し出す信者は少なくなかった「さあ、どうなさいました」「実は、私競馬が好きです」「認められていることです、気にすることはありません」「ただ」「ただ?」「私、店をやっております」「認められていることです、気にすることはありません」「ただ」「ただ?」「私、結婚をしております」「認められていることです、気にすることはありません」「ただ」「ただ?」「ゴルフが好きです」「認められていることです、気にすることはありません」「ただ」「ただ?」「焼肉が好きなんです」「認められていることです、気にすることはありません」「ただ」「ただ?」「その全てを・・・」「懺悔なさい、子羊たちよ」「その全てを・・・自分の金でやったことはありません」「競馬も?」「店に来る、客の金でやるのです」「結婚は?」「しているだけです」「ゴルフは?」「身銭でやったことなどございません」「・・・焼肉は?」「たまに払うこともあります」「・・・」「お許しくださいますでしょうか」「・・・罪深き子羊よ」「神父様!」こういって神父の格好をした男は、ホントの神父の前にひざまずいた。
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2004年05月24日

ありそうで、ない話し (二) 翁家小楽

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男は寡黙だった。普段の顔と夜の顔は、一緒だった。周りの人は、そういう人だと思っていた。楽屋に入ってテレビを見る。黙々と道具を調べる。高座に上がって見事な芸を披露する。何事もなかったように降りて行く。カッコ良さは、日本人の好む方向だった。ニヒルに帰宅した男は、玄関の戸を開けた。途端に皿が飛んで来た「チョット、コロッケ買って来てって言ったじゃない。なんで買ってこないのよう」「そう言うなよ、並んでたんだよ、沢山さあ」「並んでたら、なんであんたも並ばないのよ」「カッコ悪いじゃないかよう」「なんだって」「ハッ」「もういっぺん言ってみな」「ごめんよう」「ゴメンじゃなあい!」次の日、青タンをこしらえた男を楽屋に見た。
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