前回の球磨川リバイバルトレイル(169km 9400mD+)の記事が、レースレポートと補給、トレーニングの考察とボリュームが出てしまったので、補給とトレーニング部分だけ抜粋しました。

全体の流れも含め確認したい人は、前回のブログを確認してみてください。


球磨川リバイバルトレイル153km地点




【球磨川リバイバルトレイルの具体的な戦略】
■強度の上限は65%HRmax(120bpm)で100mile理想値(~24時間目安)のLT1(私の現在の予測値70%~72%HRmax)より大きく下げ、平均で60~62%(111〜115bpm)を目標。

■脚の痛みがあるため下りや平坦も含め全てでポールを使用

■今回の強度は2時間に一回の食事的な補給+定期的な少量の糖質摂取(時間あたり合計200kカロリー)で維持可能と予想できるが、ポールの使用により上半身のエネルギー消費が増えることと、エイド数が少なく(フードありエイドは6箇所)、狙った(大)補給ができないため、30分に一回のジェルor固形物摂取で時間あたり200キロカロリー(糖質50g程度)を達成することを目指す

■水分は水か麦茶。最初だけスポーツドリンクを入れたけど、ジェル系が甘いのと強度が低いので長時間は必要ないと判断。

■電解質はミネラルタブレットとエイドの汁物。



【100mileのレベルアップを目指すアプローチ】
平均心拍数は111bpm(60%HRmax)と目標通りの結果となりました。胃腸トラブルもなく、100mileを走る上での「最低ライン」のようなものを確認できたことは良かったです。

一方で課題も明確です。

100mileのレベルアップを目指す上で大きく分けて二つのアプローチが必要だと思っています。


①走力の向上。1500m〜3000mの基本的な脚の速さ。マラソンでも良いが、これが低いとマラソンも結局頭打ち。
②LT1の最大化。100mile(〜24時間想定)における維持可能な強度の上限を引き上げる。具体的にはLT2との差を10%未満に。
(80%HRmaxを超えて100mileを走破する選手もいます)


①と②は全くの別物ではなく、トレーニングの大部分はそれぞれに作用するものです。しかしどちらも最大化するためには、基本的には別物として「期分け」を行う必要があります。

ざっくりなイメージは①で高めた走力を、②の時に薄めて、100mileで最高のパフォーマンスを発揮する感じです。ですので①が低ければ全てが低くなります。②が低い場合も同様ですが、順番としては①が先になります。


練習をピラミッドで考えるなら(下が低速で広く上に行くほど高速で狭い)、①と②でピラミッドの形が変わるイメージでしょうか。


トップトレイルランナーの走力が年々高まっているのは間違いありません。100mileといえど、世界ではフラットレースで国内代表に僅かに届かないレベルの選手や、実際に経験した選手が増えています。


以前はスピードが及ばなくても②に長けた選手が上位に入るのも100mileやウルトラトレイルの魅力でした。しかし①の力を持って②のアプローチを行った選手達が力をつけ、DNFが複数あれど層が厚いため入賞ラインがどんどん上がっているのが注目度の高い世界選手権やUTMBです。


テクニックや補給戦術も大事です。
特に補給は②を最大化するとなると時間あたり糖質100g(400kカロリー)は摂らないと維持できないとされています。その訓練も必要です。


しかし日々のトレーニングによる能力向上こそが、何より地道に取り組んでいく最重要事項です。



補給は大事だが年間通して優先すべきはトレーニング内容




【取り組みを参考にすべき選手】
ODO(大瀬さん、土井さん、小原さん)の皆さんの走力が高いことはご存知でしょうか。

UTMBでもトップ10を争った選手達も、年単位で走力向上に専念した期間があるのです。

おそらく今、国内で最も100mileの実力がある川崎さんは、1シーズンの中で明確に期分けをしています。冬の数ヶ月はロードに特化し、山にはほぼ入らないとのこと。多くの人にとって最もイメージしやすく、真似をしやすい方法だと思います。


村田さんの取り組みにも個人的に注目しています。今年はトレイルをほぼお休みして、1500m〜5000mの走力向上に取り組んでいます。トレーニングに対する考え方にとても共感してまして、ぜひ成功してほしいと応援している選手です。


村田さんのYouTube。気になる方はぜひ。



他にも参考になる選手は沢山いますがこの辺で。



この「期分け」の考え方は、「強くなりたい」と思うなら、どんなレベルの選手にも通じることです。全てのトレーニングは自分の才能を上限値まで発揮するための手段ですが、闇雲に取り組んでいては到底届かない領域で、「才能が〜」と嘆く前にやることは山ほどあるのです。
(それがとても大変なのは重々わかっています…)


そんな私の取り組みは、皆さんに反面教師にしてほしい雑さです。


明確な期分けができず、シーズンを通してトラック(ロード)にもトレイルにも出ています。おそらく多くの選手が同じだと思います。
しかし問題は出ることではなく、その取り組み方です。
例えばトレイルシーズンであってもトラックレースを「VO2maxを超えさせることで最大心拍数が落ちないようにする」といった「単発」というか「スパイス」的なものであれば良いのですが、そのレースのために数日、数週間とトレーニング内容を変えてしまうからいけないのです。もちろん逆も然りです。


「目の前のレースの結果が欲しい」

この思考から離れられない人は、先に書いたように才能の上限に届くことは絶対にないでしょう。


闇雲に練習して速くなるのはビギナーの内だけです。それをいつまでも成功体験として追いかけるのは良くありません。「VO2maxのインターバルをして追い込まないとダメ(不安になる)」はその最たるものです(昔の私です)。


そんな訳で私の課題は②のLT1の最大化です。ここを改善しない限り50mileまでと同様のパフォーマンスを出すことは不可能です。


一方で長い目で見たら①に真剣に取り組むべきです。そんな訳でまずは川崎さんモデルで、来年の春までは①に取り組み、その後は浮気することなく②に取り組んでいきたいと思います。
(故障なく継続するための取り組みも忘れずに)





平均心拍数が60%HRmaxでフィニッシュが29時間というのは、裏を返せば「走力が上がればこれだけ楽に走っても29時間」ということです。走力をあげれば、それだけでもタイムは縮まります。




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