先日、「ランニングチーム&スクール東北RIZE」がスタートして無事に一年が過ぎました。当日はこれまで関わって下さった皆様を思い出し感謝する時間でもありました。

 

さて、東北RIZEは大人も子どもも「一緒に成長し夢を実現するチーム」を目標としていますが、とりわけ方向性に関しては一貫してブレない考え方があります。

今回はジュニア(ここでは小学生〜中学生)のコーチングにおける考え方と、練習に関するあれこれを紹介していきます。

 

 

〜目次〜

①子どもの成長力(回復力)にコーチが甘えない

②『6から9』以外の練習で強くなる

③走る距離の目安や内容

④恵まれた練習環境

⑤お腹いっぱい食べよう

⑥モチベーションは理論に勝る

⑦少人数のメリット

⑧指導ではなく「コーチング」〜子どもは小さな大人ではない〜

⑨次のステージへ襷を繋ぐ

⑩最後に

 

 

※ジュニアは月、水、木が基本活動日で、オプションで金と週末も練習可能です。ジュニアのレギュラーメンバーは現在中学生8名、小学生4名(小3〜小5)の12名です。

 

 

①子どもの成長力(回復力)にコーチが甘えない

本人の走るスピードを1から10まで段階分けができるとします。10がスプリントで、6〜9がいわゆるペース走、インターバル走、レペテーションなどの「ポイント練習」だとします。

 

これらの練習は経験年数の浅い選手や回復の早いジュニア期にとっては『劇薬』だと私は考えています。やればやるほどに速くなりますし、連日でもできてしまう。しかし本来は実施可能な上限が決まっている練習です。

 

とりわけ練習量の少ないジュニア期は全て少なくて当たり前。それなのにどんどん強くなる選手を見て、コーチや本人も「もっとできる」と勘違いしてしまう場合があります。その先に待っているのはなんでしょうか。怪我、故障、体調不良、バーンアウト…。その例を見てきた人、今まさに見ている人、実際に経験した人もいるはずです。

 

東北RIZEでは練習の長期的、中期的な流れをお伝えし、この時期であれば日清カップや中総体が大きな目標として練習メニューを毎週作成します。しかし当日に微調整しオーダーメイドして実行します。部活や他のクラブとの掛け持ちの選手が沢山いるからです。必ず選手全員に前後の練習内容や大会の予定などを聞いてから、改めて当日の練習を組みます。自主練の内容も聞きます(言いたくない選手もいると思いますが…)。

 

「休みたくない」、「言いにくい」という感情もあると思いますし、「できる」と本気で思っていることもあります。自分で判断できない可能性も念頭に入れ、こちらからストップをかけることも意識しています。

ですので集合しての練習が軽いジョギングになってしまうこともありますが、本人が「東北RIZEをメインにする」と言わない限り、あくまでメインは部活や他のクラブです。それぞれの先生も選手のためを思って練習メニューを組んでいます。私の立場としては邪魔をしてはいけないと思っています。

 

 

※練習メニューは柔軟に対応しますが、「予定より増える」ということはほぼありません。チームとして大会に出ることもあります。陸協登録もしております。

 

 

 

②『6から9』以外の練習で強くなる

先ほどのスピードの例で言うと、6から9以外の練習で強くなることを常に目指しています。ジョギング、瞬発系や敏捷性のトレーニング、ジャンプ系のトレーニング、ランニングドリルやボール遊びなど、「身体を上手く使えるようになること」、「身体能力そのものの向上」によるレベルアップです。

 

例)

ラダー

ミニハードル

ドリル

ジャンプ

メディシンボール

鬼ごっこ

サッカー

ドッチボール

縄跳び

ダッシュ

他、様々なレクリエーション

 

 

ポイント練習もそうですが、「なぜこの練習(遊び)をするのか」、「何を意識してどんな効果があるのか」を毎回伝えながら行います。ルールや内容を変え、選手に提案してもらう場合もあります。

70分の練習時間の中で、この練習におおよそ30分、最後に10分〜を費やします。これらの練習が土台となり、6〜9の練習効果を最大限に引き出してくれると考えています。

 

 

※走るだけがトレーニングではない

 

※縄跳びで姿勢を覚える(写真は準備運動)。身体を棒やボールに見立て、しっかり「待って」接地できれば身体全体は「弾む」。トランポリンのイメージ。足首を返したり、膝を大きく曲げてふくらはぎや太ももを使う必要がない。後者では足が疲れて長く飛び続けることができない。特に二重跳びでは高さも必要なので回数がこなせない。あとは手首の回し方を覚えればOK。これを走る動作に落とし込む。回数がモチベーションになるし、こなす程に心肺機能も鍛えられる。楽しく強くなれる練習の一つ。

 

 

 

③走る距離の目安や内容

一回の練習で走る距離ですが、小学3〜4年生で〜3km、5〜6年生で〜5km、中学生1年生で〜6km、2〜3年生で〜8kmが一つの目安です。

 

これはウォーミングアップやクールダウン、ドリルや鬼ごっこなどの距離も合わせた数字ですので、「移動距離」といった方が正しいかもしれません。これは選手の力量や性別、目標によっても前後します。長距離のチームですがスプリント系の練習もしっかりやります。

 

もちろん「少ないから楽」というわけではありません。目的に合った強度があるので、その通りに走ればキツさを感じるのは当然です。それでも本数や距離が多いがために、「本来目指す強度よりセーブしてしまう(手を抜いてしまう)」ことがないように気をつけています。

ジュニア期は精神的にもまだまだ成熟していません。精神も高校生活が近づくにつれて徐々に熟れていけば問題ないと考えています。

 

 

※希望者はトレイルも参加OK。距離は調整します。土台作りとして、また山に入ること自体が良い経験になると思います。

 

 

④恵まれた練習環境

場所をお借りし、共催として活動させていただいている《元気フィールド仙台》は素晴らしい環境です。

 

・一周280m程度の芝生

・砂のグラウンド

・一周330m、700m、1kmなどのロードコース

・距離にして50mほどの坂が二つ

・夜間も照明があり

・30mほどの芝生の坂道

 

共催ですが占有ではありません。他の公園利用者様に配慮しながらになりますが、とても理想的な状況で練習ができています。簡易的なクロカンもできますし、芝生の坂でバウンディングもできます。夜間のグラウンドがやや暗く、そこで活動する際に自前の照明が必要な程度です。ジュニアは特にロード一辺倒を避けたい時期ですので大変嬉しい環境です。トイレはもちろん、ロッカーとシャワーも無料で使用できるのも魅力的です。

 

※広く開放的な環境。目の届く範囲でさまざまな活動ができます。手入れも行き届いており、今後は芝生を裸足で走る練習も少し入れたいと思っています。

 

 

⑤お腹いっぱい食べよう

「食事制限は必要ない」と常々伝えています。帰宅まで時間がかかる選手は補食を準備する。家では“ご飯も野菜も肉も魚も”満足するまで食べること。お菓子はほどほどに。お菓子でお腹を満たすなら、食事をしっかり摂ってからプラスでお菓子を食べ体重が増えた方がマシです。

 

身体が軽くなれば速くなります、でもそれは一時的で、その後に苦しい未来が待っています。成長期に記録を狙う上で、特に女子選手にとっての「減量」は、これもまさに劇薬です。詳細は省きますが私も経験がありますし、経験した人も多いと思います。“食べないと”走るのも人生も楽しめないというのが私の考えです。

 

※大人と一緒に懇親会。大人の分も食べるくらいで丁度良い。次は7月末かな。プレゼント企画もあります。

 

 

⑥モチベーションは理論に勝る

運動生理学を学び、コーチングの手法も学び、理想の練習メニューが作れたところで、選手が実行できなければ「絵に描いた餅」です。例え威圧的かつ強制的に実行させたとしても、選手の心がここにあらずでは、長期的なスパンでこなすことはできないでしょう。私もトレーニングについて学ぶことが好きですが、現場でそれを扱うのは全く違うものだと感じる日々です。

 

やはり「夢中」こそが最高の状況です。ですのでコーチは「モチベーター」としても、いかに選手のやる気を引き出すか、「楽しい」と思える環境を作れるかが大切になってくると思います。たとえ専門的な資格や知識がなくても、これに長けたコーチは素晴らしいと思います。

 

「楽しい」と感じるためには自主性も大切です。これは練習メニューやレクリエーションの内容などを選手自身に考えてもらうことでも育まれるものです。

「こうすれば楽しいはず」と考える時間そのものが楽しいものですし、自分で決めたことには自然と責任も伴うものです。「自分で決めたことだから最後までしっかりやろう」と練習にも集中して取り組めます。大きく目的から外れた場合はこちらで修正することもありますが、「自分で決めたことで上手くいかない」という経験も成長の一助になるでしょう。

 

 

 

※モチベーションという点で、小学生はもっと目に見える形で日々の成果を確認できる工夫が必要かなと思っています。チェックシートを作ってシールを貼ったり…。外発的な動機付けも工夫次第では有効な手段だと感じています。主催大会も成果確認の場の一つです。

 

 

 

⑦少人数のメリット

“各々の練習メニューを確認して調整する“といったことは、少人数だから実現できているというのもあるでしょう。これは少人数の良さでもあると思います。

しかしメニューが一人になってしまうことは避けたいので、強い選手に部分的に参加したり、私が順番に引っ張ったりと、「一緒に入ることによるメリット」は少人数でも消えないようにしています。

 

これがもし50人もいれば、部活のように全員がある程度同じ方向を見て進んでいかないと難しいでしょう。ですので東北RIZEが今のスタイルである限り、今後も人数を大きく増やすつもりはありません(そもそも希望者がいないというのもありますが笑。ただもう少し増えたらジュニアの新しいコーチも必要です)。

 

全員の顔が見えて、「この選手にはどんな練習が良いだろうか」と考えることが私の楽しみでもあります。

 

※ジュニアに限らず誰もがチームを巣立っていくものですが、東北RIZEの卒業生であることを誇りに思ってくれるチームにしていきたいものです。

 

 

 

⑧指導ではなく「コーチング」〜子どもは小さな大人ではない〜

「指導」ではなく『コーチ』、「コーチング」という言葉を使っているように、東北RIZEは“選手の目標達成をサポートし自主的に考え行動ができるように導く”チームです。

 

もちろん社会的規範に背くような言動がないように伝えます。それでも理想とするのは「チームの一員である」という意識が自分自身を律してくれる未来です。大人と子どもが一緒に活動するという空間の中だからこそ、私が伝える以上のことを子ども達は吸収してくれていると信じています。

 

そして「子どもは小さな大人ではない」ということも忘れてはいけません。だから練習内容も大人の練習を少なくすれば良いというものではないし、自主性が育まれるまでの過程やキッカケも大人とは異なります。それを理解し実践できるかが、「コーチ」としての力量が試される場面でもあります。

 

 

※夜練は冒険。大人も子ども達の影響を多いに受けています

 

 

⑨次のステージへ襷を繋ぐ

東北RIZEの使命は次のステージへ襷を渡すこと

それは東北RIZEから中学や高校の先生であったり、別のスポーツのコーチであったり。何より選手自身が「未来の自分自身」へ向けて襷を繋ぐことー

 

だから、中学や高校の先生に

「東北RIZEの選手に来てほしい」

と思っていただけること。

 

また選手自身が

「進学しても(就職しても)続けてみよう」

と思ってもらえるチームになることが目標です。

 

そうなるためには何年もかかるでしょうし、東北RIZEに在籍する間は爆発的な成長が見えず、選手本人や保護者の方からも魅力的なチームには見えないかもしれません。

それに続けるのは走ることじゃなくても良い。東北RIZEで作った土台を他のスポーツに生かしてもらえたら、それも嬉しいことです。

 

これは先にお伝えした「今できる最高のトレーニングを積むこと」や「計画的な減量」を完全に否定している訳ではありません。各世代でしか獲得できないタイトルもありますし、耐えることや勝つこと、実感できる成長が自尊心を高め、人生の糧になることは間違いありません。それが続けるきっかけになることもあるでしょう。だからもちろん相談した上ですが、本人がそれを希望するのであれば「厳しいトレーニング」を課す覚悟もあります。

 

それでも正確な未来は誰にもわかりません。だから東北RIZEのトレーニングが正解かは絶対にわかりません。それでも私は思います。「あの頃は良かった」と厳しい練習を共にした仲間と飲む酒と同じくらい、「もっと強くなりたい」と未来を語りながら仲間と走り続ける日々も素晴らしいものだと。だから東北RIZEのトレーニング指針はこれからもずっと変わりません。

 

 

※自分自身の未来をどう描くか。ちょっと難しいかもしれないけど、その選択を迫られた時に後悔しない土台を作ってあげたい。

 

 

※「強い」や「速い」ことは「すごい」が「偉い」と履き違えてはいけない。それでは身体的な才能のある選手が「偉い」ことになってしまう。それぞれの取り組みや成長の全てが尊いものです。だからこそ競技力に関係なくお互いに精一杯取り組んできたことをリスペクトし合えること。それが競技の枠を超え、生きていく上でも大切なことだと伝えていきたい。(成長速度は違うからね。1500mで1分も違う選手に1年後、2年後追い越されるなんてこともジュニアでは沢山あるものです)

 

 

⑩最後に

とても長い文章になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

「東北RIZEについてもっと知りたい」、「一度体験してみたい」。そんな時はLINE公式アカウントかインスタグラムのDMにてお気軽にご相談ください。

 

 

一緒に「未来の自分」へ襷を繋ぎましょう!

東北RIZE代表

( JAAF公認スタートコーチ・トレイルランナー)

須賀 暁

 

 

Photo.

Sho Fujimaki

 

 

《インスタグラム》

 

《ホームページ》

 

※現在月謝部分を更新中です。

2025年2月より以下のようになっております。

ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

 

 

■週一コース
(曜日固定)
7,500円(税込)
年払い85,500円(税込)5%OFF
(曜日選択)
8000円(税込)
年払い91,200円(税込)5%OFF

■週二コース
(曜日固定)
9300円(税込)
年払い106,020円(税込)5%OFF
(曜日選択)
9,800円(税込)
年払い111,720円(税込)5%OFF

■オンライン
月謝 4,000円(税込)
年払い 45,600(税込) 5%OFF

■ジュニア/小学3〜6年 17:10-18:10
(週1)4,100円(税込)
(週2)5,800円(税込)
(週3)6,700円(税込)

■ジュニア/中学生 18:20-19:30 ※同時間帯の小学生含む
(週1)4,300円(税込)
(週2)6,000円(税込)
(週3)6,900円(税込)

■都度参加
(ロングラン)2,500円(税込)
(トレイル)3,500円(税込)
(朝or夜練)1,800円(税込)
(ジュニア)1,300円(税込)

■その他
Tシャツ(レギュラー) 3,500円
年会費(傷害保険)2,500円(ジュニア1,500円)は必須から任意に変更